「新感覚の超能力作品」FREAKS フリークス 能力者たち R41さんの映画レビュー(感想・評価)
新感覚の超能力作品
冒頭からこの作品が何を意味するのか二転三転するように設定されていることで、問題点が掴めないのがもどかしく思える。
父とは本当の父なのか? クロエはアブダクションされたのでは? アイスクリーム屋の爺は何者?
やがておかしなことが起きる。物置と何処かが異空間で繋がっているようなのだ…
こうして中盤に来てようやく彼らが何をしているのかわかってくる。
同時にこの映画の世界の設定もわかってくる。
フリークとは別名アブノーマルで、普通ではないことを意味し、ある種の人種差別的要素を含むが、これは長らく西欧社会がしてきたことだろう。
肌の色が身体能力に及んだ世界だ。
そしてフリークは社会悪だと言う決めつけのもと、彼らを探し出しては始末するという社会だ。日本語で遣うラーメンフリークとか言う場合の差別的表現である。
幼い子供の無知ながらも精一杯の力を発揮して母親を救い出すシーンは共感を誘う。
逃げるしかないという選択を長い間続けてきた父は、なかなかその枠を超えられない。
母の救出に全力を注いでいるクロエを守るため、父と祖父が犠牲になるが、犠牲にならなければ見ごたえがないというのが制作者の意図なのか、またはアメリカの視聴者へのウケなのか、判断がつかないものの、疑問だけは残ってしまう。
日本人なら家族一緒という感が否めないからだ。
もう逃げないと宣誓するクロエの最後の言葉は、キング牧師の言葉を彷彿とさせる。これがアメリカ人という国民性の表現なのだろうなあと思った。
個々人の考え方とそれぞれ違う能力、そしてアメリカ人ならではの個人技が優先し協力は二の次というスタンスが、このスタンスを明確化することで、計算されたように見えないプロットが紡ぎ出されている。行きあたりばったりだとしてもだ。
そこもまたアメリカらしいと感じた。