劇場公開日 2020年1月3日

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「「理想化」と「超人化」の行きつく果て」マニカルニカ ジャーンシーの女王 Imperatorさんの映画レビュー(感想・評価)

2.0「理想化」と「超人化」の行きつく果て

2020年1月5日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

映画「パドマーワト 女神の誕生」同様、大げさなだけで、中身に乏しいガッカリな作品だった。

主人公が女性という設定だからこそ、驚異の肉体能力なのであり、ジャンヌ・ダルクばりの勇気と活躍が面白いはずだ。
しかし、CGででっち上げられた映像世界には、もはや“生身の”人間の肉体感覚は存在しない。
男女どころか人間すら超えて、あまりに“超人”すぎる。
だから、もはや観客の身体が主人公の動きに合わせて反応したり、共感して“手に汗にぎる”ことができない。
「演出が、設定を破壊している」と言って良い。

また、何回か大きなバトルがあるが、「どれも同じに見える」というか、実際、全く同じなのだ。
銃と大砲の時代の、戦陣を組んだ戦術的な戦いが見られない。
ひたすら騎兵戦や、入り乱れて斬り合う白兵戦が続くだけで、うんざりだ。

映画「パドマーワト」には、センスの良いアートがあったから映像美だけは楽しめた。
しかし、本作品はゴテゴテなだけで、美術の点でもレベルが低い。

ずっとハイテンションな状態が続くだけで、“起伏”がないのが致命的だ。
もはや、何が「史実」なのかすら、見分けがつかない。
こんなに理想化され、“あり得ない”ことだらけの作品で、「独立」を謳っても空虚なだけだ。
もっとローテクで良いから、人情味溢れるリアルな歴史物語が見たかった。

Imperator