「1858年」マニカルニカ ジャーンシーの女王 ワンコさんの映画レビュー(感想・評価)
1858年
1858年、この闘いの年、日本では、安政の大獄が起こり、江戸幕府が米英仏と通商条約を締結した。
所謂、不平等条約だ。
その後、日本は倒幕、維新が加速する。
インドでは反乱が鎮圧され、独立は第二次世界大戦後の1947年インド・パキスタンの分離独立まで待たなくてはならなかった。
日本は幸い外国に植民地化されることはなかったが、欧米列強同様、植民地政策を強化する。
植民地主義の禍根は大きい。
今もなお不安定化が続く、中東は石油利権を求めた欧州列強の陣取り合戦の名残だ。
独立後も、利権が自国にはなく、自分たちの為に農作物を作ることがほとんど出来なくなった地域もある。代表的なのは、バナナのプランテーションや、紅茶畑だ。
ここでは、苛烈な労働集約性が求められ、人々は植民地で働いていたのと同様な状況だったりする。
現在は、発展途上国の経済成長で状況は変化しているが、発展途上国の格差や民主化の遅れ、或いは、旧植民地で経済成長から取り残された地域の貧困などは、解決には程遠い。
映画は、冒頭のテロップで流れるように、脚色もあるし、ちょっと大袈裟なところもある。
あと、英国人役の俳優ははっきり言って、ヘタだ。
だが、この映画のように、自分たちの歴史を誇りを持って見つめ直そうとする動きは広がるような気がする。
確かに、ポピュリズムの為にナショナリズムを喚起するのは、どうかという意見はあるだろう。
だが、貧困から抜け出ようとするなか、先進諸国があの手この手で更に搾取を続けようとすれば、この動きは加速する気がする。
それほど、植民地主義は被植民地にとって侮辱的なのだ。
インドは、世界最大の民主主義選挙を実施している国だし、国民の祝日が多く、ヒンドゥー教のみならず、イスラム教、キリスト教、仏教、シーク教の祝日が設定されていて、宗教差別の軽減にも取り組んでいると思う。
しかし、一方で、特定の宗教を押さえ込もうとして起こる揉め事のニュースにも事欠かない。
世界が民主的で、特定の人種や宗教などで差別がないことを祈りたい。
映画のマニカルニカは、美しく、勇敢で魅力的だった。