「世界的に見ても数少ない女性英雄の一人。」マニカルニカ ジャーンシーの女王 Naakiさんの映画レビュー(感想・評価)
世界的に見ても数少ない女性英雄の一人。
映画の冒頭、主人公のマニカルニカが虎と彼女ひとりが対峙し、弓矢を虎に向けて構えている。取り巻きの人たちは、ただ見守るだけで精いっぱい。彼女のその美しさは、長い長いターコイズブルーのスカーフがたなびき、あたかも絵画で描かれているようで、魅了されると同時に自分の死をかけても無駄な死を生み出さない賢人の心を備えていることをこの場面ですべて見ている者に表している。その精悍な姿を藩王ガンガーダル・ラーオの臣下が見ていた。そしてそのことがジャーンシーの女王ラクシュミー・バーイーの誕生となるが、藩王自らが語るように.......
The sun rises in the east and set in the west.
It's often said that the sun doesn't set on the Company.
But, the sun hasn't risen in Jhansi since the past 50 years.
(the Company:イギリス東インド会社)
藩王が亡くなり、寡婦として生きるかと思えば、またしてもイギリス軍がそうはさせない。彼女が立ち上がる時が来る。
I, Laxmibai...wife of Maharaja Gangadhar Rao,
a Navalkar bride,
pledge...Till there's blood in my veins...
till the last beat of my heart,
till my soul leaves my body,
I will serve Jhansi with utmost loyalty.
I will not let Jhansi lose her self-respect.
I will not let her bow her head down.
Victory to Laxmibai !
彼女は右手を真正面にかざし、臣下の前で宣言する醍醐味のある場面。カンガナー・ラーナーウト彼女の演技のすごさを垣間見ることが出来る。実際の女王も美貌の上、演説など人を魅了するカリスマ性があった方とされている。
サウンドスケープにもなっているインド特有の音楽。この映画では、女性が主人公ということも相まってか、歌声はいつもの甲高い女性の歌声が挟まる映画が多い中、すごくマイルドでもあり、躍動感もある音楽作りがされている。その音楽に呼応するかのように衣装や付属品の楽器、例えばタンバリンを模した太鼓の色の鮮やかさや全体的なコントラストの良さが際立っていて、見入ってしまっている自分に気が付かないでいた。
この映画の肝と言ってもよいイギリス軍との戦闘のシーン。なぜか見ていてもわからない場面も登場し、個人的には頭の中が混乱してしまう。裏切り者との戦闘シーンがそれで、何故インド人同士が鉄砲で打ち合うのかわからないでいたりしていた。大がかりな見ごたえのあるものでは間違いないが、何故かすっきりと見ることが出来ないでいた。しかも、いくらカンガナーが訓練をつんだからといって、決して完璧に剣さばきのできていないところも乗馬もしていない作り物と思えるところが散見している。(冒頭の弓を扱う場面、矢の位置が矢を放つ前と放った後では、左右逆になっていた。御愛嬌か?重箱をつつく者より)
物語自体も陥落された城を高い城壁から馬で幼い子供と二人だけ脱出するのは、ほかの城に残された人はどうなるのか?と思ってしまうし、頭のどこかで引っかかってしまう。まあ、女王が何度もイギリス軍に義勇軍を募って戦う不屈の精神の持ち主であることを描きたいのはわかるし、史実としてあるならそうだけれども....?
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ラスト…”インドのジャンヌ・ダルク”といわれる所以的描かれ方で映画の幕は閉じられます。