「ナターシャの家路」ブラック・ウィドウ しゅうへいさんの映画レビュー(感想・評価)
ナターシャの家路
マーベル・シネマティック・ユニバース第24作。
Disney+ プレミア アクセスで鑑賞。
コミックは未読です。
幾度もの延期を経て、遂に公開! 「アベンジャーズ/エンドゲーム」で唯一残された謎―ブラック・ウィドウ/ナターシャ・ロマノフが下した決断の裏に隠された真意が明かされる…との触れ込みにずっと楽しみにしていました。ですが今回は残念ながら映画館に行くのを控え、配信で観ることにしました。
今までの作品とは一線を画し、本格的なスパイ・アクション映画になっていました。宇宙人などの超常的な敵が登場せず、現実感のある作風は久しぶりで、逆に新鮮に感じました(笑)
これまで断片的にしか語られて来なかったナターシャのルーツが描かれていました。暗殺者として生きたかつての自分と、ヒーローとしての今の自分…拭い去れない過去と贖罪のために活動している現在の間で揺れる彼女の心の動きを、スカーレット・ヨハンソンが繊細な演技で表現していました。時系列的に「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」の直後なのが、その描写をより切なくしているように思いました。
そして、"家族"の存在。彼女の戦いは、いつでも家族を求める戦いであった気がします。常からアベンジャーズを家族であると言っていたナターシャには、実はもうひとつの家族があった…。任務のための疑似家族だから血の繋がりは無く、21年ぶりの再会でしたが、そこには確かな絆がありました。想いの吐露を経て団結し、敵に立ち向かう展開が胸アツでした。
"レッドルーム"の首領ドレイコフを殴り倒し、洗脳されていた"ウィドウ"たちを開放したシーンは、男性優位と云う旧弊的価値観の打破を比喩的に表現しているのかなと思いました。
さらに、己の弱さを受け入れて強さへと見事昇華させ、進むべき道を手に入れたナターシャ・ロマノフの姿に、これからの社会を生きる逞しい女性像を垣間見た気がしました。
結局のところ、「エンドゲーム」での決断に繋がるものは、直接は描かれていませんでした。なので以下の文は、本作の出来事を踏まえた上で、これまでのナターシャの活躍を振り返って、私が勝手に類推したものとなります。
"家族"のために…。それだけが彼女の行動理由だったのかもしれません。あの決断の裏には"家族"を取り戻したい、自分の手で守りたいと云う想いがあったのだと想像しました。
"指パッチン"でエレーナたちも消えていたのかも…。
敗北の傷を抱えながらも、逆転の可能性に全てをかけ、自分を犠牲にしてクリント・バートンを生き残らせ、アベンジャーズと云う"家族"を信じて後を託したのだと思いました。
[余談]
「ファルコン&ウィンター・ソルジャー」にも登場した謎の女が本作にも登場していました(本来は公開順が逆だったので本作が初登場となるはずだった)。
アベンジャーズを引っ掻き回そうとしているように思えますが、彼女の目的と正体とは? 非常に気になります!