「新しい太平洋戦争ものとしてはまあまあかなぁ…」ミッドウェイ タロウさんの映画レビュー(感想・評価)
新しい太平洋戦争ものとしてはまあまあかなぁ…
まぁ概ね史実には沿っているかなと思いました。
ただ、アメリカ視点からの米軍ヒーローもの
の傾向が強く出てますね。
あと登場人物の恋愛表現とかは入れて無くていいのですがその代わり妙に米側の人情味とか正義の側の人間性の表現に一生懸命なのが鼻につく感じはします。
興行や資本を考えれば止む得ない面もありますがちょっと日米の公平さはそれで大きく損なわれてると感じました。ただ、日米の兵器、一部の米側の軍用機以外殆ど実物が既に存在しない中、CGを活用して実物の再現に努力してるのはある程度みえました。既存の太平洋戦争ものとしてはニヤリと思った部分有りました。いままで多かったなんちゃってハリボテや例え実物兵器でも似ても似つかない現用兵器での代用や全然異なる時期・戦場の映像なのに当時の記録映像を使ったりの誤魔化しより抜群に雰囲気が感じられました。
ただ、気になった点は次の通りです。
日本の駆逐艦上でアメリカ人を処刑もどきにしたエピソードはほぼほぼ事実だから描くのはいいとして、上官が指パッチンで処刑の指示をするのは、悪の組織のボスかよ!いくら悪い性根の日本軍人でも日本海軍の軍人はそんな仕草はしねぇよ!って笑ってしまいました。
あと兵器の表現ですが、1)珊瑚海海戦にエンタープライズが救援に駆けつけるくだりで、手前で復旧作業をしてると思われる空母はヨークタウンだからエンタープライズと同型なのはいいととして、画面奥で明らかに沈みかけてる空母はレキシントンなはずなのが、これまたエンタープライズど動型空母なのはいただけない。2)東京初空襲関連で、B-26を積んだ空母ホーネットの艦の横からのシーンで独特の艦迷彩の表現が皆無だったこと、B-26の発艦シーンで空母の飛行甲板上の白線がやはり空襲時にB-26を搭載したホーネットを表す上で独特かつ象徴的なラインでなかったこと。3)南雲艦隊を上空から見たシーンで空母の随伴艦が大和型としか見えない艦がやたらいること。
4)空母赤城の爆撃シーンなのに飛行甲板がまるで加賀だし艦橋が左なのはいいがやはり加賀同様に前寄りのある。5 )同様に空母加賀の爆撃シーンで艦橋が左舷にある。実際は右舷。6)蒼龍の飛龍からの遠影でどう見ても飛龍とそっくり艦橋が中央よりの艦。7)実際には日本艦隊の爆撃機に4機しか参加していないはずのアメリカのB-26がウンカの様に大量に押し寄せている。8)全体的に空母上を含めて日本艦載機のシーンが少なめ。日本側は実機が皆無だからしかたがないが。
以上、どうせCGを多様してるならそこらまで凝ってほしかった。たぶんCGの共有・使い回しは予算の都合だろうけど。
あと、珊瑚海海戦前、エンタープライズ機が南方の島の日本軍を攻撃してるシーンで島に比叡型戦艦と思しき艦がいて雷撃を喰うんだけどコレもちょっと史実からはなれてる。
ってことで、以上、CGの進歩と表現力の素晴らしさにには感動しやけど、それを活かしきれてない事の残念さを感じる作品でした。