一人っ子の国のレビュー・感想・評価
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身体の自己決定を奪われるということ
本作の監督は、一人っ子政策時代に生まれた。成人後、アメリカに移り住んだ彼女は子どもを授かり、祖国では一人っ子政策の終了がアナウンスされ、あの時代のことを調べようとする。
次々と衝撃の事実が明るみに出てくる。監督には弟もいたが、そのことでいじめられたと言う。さらには、親戚には子どもを捨てた者がいた。強制的に病院に連行され、不妊手術を受けさせられた女性も数多いという証言が飛び出す。道端に赤ん坊を置き去りにすることも珍しくない時代だったと言う。さらには、二人目の子どもを生んでしまった家庭の子どもを海外の養子縁組に出す組織も存在していた。しかも国家の役人もそのビジネスに絡んでいたという。
生き別れになった双子の姉妹が、SNSを通じてつながるシーンは感動的だ。しかし、その背後には多くの悲劇がある。ウイグル自治区でも非人道的な不妊治療が行われているという報道もある。一人っ子政策が終わっても中国は変わっていないのかもしれない。
アメリカに暮らす監督は、アメリカの一部で導入されている中絶禁止についても触れる。女性が自分の身体を自分で決められないという点で一人っ子政策のひどい実態を何が違うのだろうかと問う。中国でもアメリカでも、国家に翻弄される命がある。
一家の跡取りである男の子が生まれなかった場合、 多くの家庭は女の赤ん坊を道端に捨てていた。 ナンフー・ワンの叔母さんも自分の娘を捨てたというインタビューもある。
動画配信で映画「一人っ子の国」を見た。
2019年製作/88分/アメリカ
原題:One Child Nation
ワン・ナンフー出演、監督
中国映画だと思って見始めた。
しかし、この内容の映画が中国で撮れるはずがない。
中国人監督ワン・ナンフーは劇中の説明は英語である。
中国国内のインタビューは半分が普通語で、
半分がまったく何も聞き取れない方言だった。
監督は米国に移住後、息子を産んだ。
そして中国の「一人っ子政策」に疑問を持ち、この映画を撮ったという。
中国政府は人口抑制政策のために
多くの妊婦たちに中絶手術を無理やり行っていた。
一家の跡取りである男の子が生まれなかった場合、
多くの家庭は女の赤ん坊を道端に捨てていた。
ナンフー・ワンの叔母さんも自分の娘を捨てたというインタビューもある。
多くの子どもを堕胎させた助産婦。
1万人以上の子どもを誘拐していた家族が家族全員逮捕され、
数年から十数年服役した話。
自治体が子供を売買し、
米国などに養子を売り渡していたことなど、
衝撃の内容だった。
皆罪悪感を持ちつつも、政府のすすめる強力な政策の下、
しかたなかった、
あれしかできるすべはなかったと異口同音に語る。
責任をすべて政策になすりつけているような気もするが、
それが事実なので仕方がないとも思える。
一人っ子政策に反した家庭は家の屋根を取り壊されたり、
家そのものを壊されたりした。
この国では36年間も国を挙げた人権侵害が行われていたことは、
誰も否定できない事実だと思う。
この映画は中国人民もそれ以外の国の人にも皆に見て欲しいと思う。
満足度は5点満点で5点☆☆☆☆☆です。
一人っ子政策(ひとりっこせいさく)は中華人民共和国における産児制限政策。特に1979年から2014年まで実施された、原則として一組の夫婦につき子供は一人までとする計画生育政策(计划生育政策)を指す。
2015年から2021年までは一組の夫婦につき子供二人までとされていたため、俗に二人っ子政策と呼ばれた。2018年時点で91万3593か所の拠点と9400万人のメンバーを持つ中国計画出産協会が取り締まっていたが、二人っ子政策も効果がほとんどなく廃止が検討され[1]、2021年5月31日には中国共産党が一組の夫婦が三人目の子供を出産することを認める方針を示した[2]。同年8月20日には法案が正式に可決された[3]。
1953年中国で初めての人口センサスが行われたが、その結果は衝撃的なものであった[19]。人口センサス実施前は4億人から5億人と見込まれていたが、実施してみると6億193万人(国外華僑、留学生人口を含む)という、予想より1億人多い結果が出た[19]。さらに農業危機にもぶつかったこともあり、中国の人口増加政策は、政策転換を余儀なくされた[19]。そのため1954年から1957年には、計画出産が公式に奨励された[19][20]。1957年の第1期全国人民代表大会第4回において「新人口論」を提出し、人口統制を説いた[19]。
賞罰制度のまとめ
「一人っ子」宣言をした夫婦は「七優先」という優遇策をうけている[32]。
月5元(当時の平均月収の約1割)の奨励金を子供が14歳になるまで受領できる。
託児所への優先入学、学費免除をする
学校への優先入学、学費補助をする
医療費支給
就職の優先
都市部における住宅の優遇配分、農村における「自留地」の優先配分がある
退休金(年金)の加算と割り増し
「一人っ子」宣言をしなかった夫婦は以下の不利益を受ける[32]。
超過出産費(多子女費ともいう)の徴収、夫婦双方賃金カット
社会養育費(託児費・学費)の徴収
医療費と出産入院費の自弁
昇給や昇進の停止
少子高齢化が明らかになっても、中国政府が一人っ子政策の廃止になかなか踏み込まなかったのは、これらの罰則によって生じる罰金が魅力的であったためとの報道もあったのである[35]。
一人っ子政策の問題点
一人っ子政策の影響と長寿化のため、中国の人口の高齢化は急速に進むと予想された[43]。これに社会保障制度の設計が追い付かず、中国は高齢化への備えが不十分なまま少子・高齢化社会へ突入することになる[43]。このことが貯蓄の減少・消費の低迷・設備投資の鈍化などを通じて経済成長にボディーブローのように影響を与えることが懸念された[43]。
一人っ子政策により、都市部の若者の多くは、兄弟姉妹を持たず、「1-2-4体制」(子供1人を2人の親と4人の祖父母が世話をする)の中で成長したことで、他者とのコミュニケーションの能力に欠けた利己的な子供を生みだしていると言われる[46]。また、第2子以降を産んだことによる不利益を恐れて公式に届出がなされず戸籍に登録されないままとなっている、いわゆる黒孩子が多数発生しており、2010年の中国政府の統計においてすらその数は1300万人に上るとされている[47]。
高齢化のペースが日本などの先進各国より早いペースで進むことも、一人っ子政策の結果である[50]。中国民生部の統計によると2014年末時点で65歳以上の高齢者は1億3755万人であり、人口の10パーセントを占めるが、2034年には人口の20パーセントに達すると推計される[50]。国が豊かになる前に高齢化の波が押し寄せるという意味の「未富先老」という言葉も中国メディアを賑わすようになった[50]
一人っ子政策が緩和され、2人目が産めるようになった2016年は、2人目の子どもを産みたいと願っていた夫婦が相次いで子供を作ったため、合計特殊出生率が向上し、1.29となった。しかし、翌年の2017年は出生率は再び下がり、1.24であった。中国の出生率は、日本(2015年の出生率は1.46)よりも低い状態が続いていた[64][65]。
2020年に登録された出生数は1005万人で過去最少であった[66]。
2021年の出生確認数は、1949年の中華人民共和国建国以来過去最少の1062万人に減少した[67]。
廃止後も長らく続いた政策により、中国人の間では「子供は一人」という認識が広まっている[68]。
衝撃
中学生時代に社会?世界史?の勉強で中国の一人っ子政策については勉強した。けっこうヤバいことやってるらしい、という事は知っていたけど、この映画で事実を知って衝撃だった。なんとしてでも一家に子供は1人までを守るため、産まれた後に捨てたり、胎児をゴミとして棄てたり…ただの人殺しやないかい。今生きてる者が飢えない為、後から産まれてくる子供は口減しのために殺す。正気の沙汰じゃ無い。でも、政策だからと、国民は問題にすら思わない。
今、中国国外にいる中国の血を引いた人達の中には、養子として人身売買の成り行きの人達がいるという事にもビックリした。
この映画で取り上げられている双子の姉はたまたま良い境遇に恵まれているみたいだが、人身売買による臓器売買もあると聞いた事がある。
この国では人権よりも国益が優先される。
女であるのに、女の子の子供は捨てられても仕方が無いとか言えてしまう。怖いな。時代が違っていたら捨てられていたのは自分なのに。
今は中国では3人までは子供を産んでいいらしい。
一人っ子政策は終わっても人数の制限はあるんだ…。
今は少子化に悩んでいるから、4人目を産んでも黙認しているらしいけど…。どこまでも国の都合だな…。
日本にも色々問題はあるけど、中国人に産まれなくて良かった、と思う。もし中国に産まれてたら、今頃どうなっていたかわからない。
ひとりっ子政策について私は何も知らなかった
本作は、中国のひとりっ子政策が恐ろしい事実と共に、自分の国の政治についても考えさせられる名作でした。
「ひとりっ子政策」という言葉は耳にしたことがあるし、なんとなく一家族に子どもは1人までっていうルールくらいにしか認識してなかった。
インタビューを受けるのはひとりっ子政策に翻弄されてきた人々。
辛い過去に蓋をした監督の親戚
役人の言いなりになるしかなかった村長
政策が絶対正しいと信じる委員会のおばさん
罪滅ぼしをする助産師
逮捕された斡旋業者
消えた赤ちゃんを追う人々と、消えた赤ちゃんの家族
人生をめちゃくちゃにされた人々の話を聞いていく中で、「ひとりっ子政策」がどれだけ中国の人々の心に闇を落とし、そして行政と戦う闘争心を剥いでいったことがひしひしと伝わってきた。
途中、多くの人が口にする「仕方がなかった」という言葉が虚しい。
ひとりっ子政策の残酷さを痛感すると同時に、中国政府に抱く恐怖の念。ウイグル自治区の件もそうだが、政府にとって人の命は軽い。
また、これはどの国のどんな人にも言えることだけど、「国を信じるということは、政府や党を信じること」が如何に危険かというとこも語ってる。
民主主義の国であっても、体制側の言うことを鵜呑みにしているうちに、「仕方がなかった」では済まない事態が訪れる。
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