ファーストラヴ : 特集
北川景子×中村倫也 隠された2人の過去と、
“ファーストラヴ”に秘められた殺人事件の真相とは?
観客から称賛の声が続出…必見のエンタメサスペンス!
父を殺害した女子大生は、警察の取り調べに対してこう語った。
「動機はそちらで見つけてください」
公認心理師である主人公・由紀(北川景子)は、ドキュメンタリー本の執筆を依頼され、この女子大生・環菜(芳根京子)を取材することに。動機を探るため周辺人物に聞き取りをするなか、明らかになる環菜の過去。由紀は彼女と面会するごとに、混乱と動揺を深めていく。由紀自身にも、環菜と同じく“閉じ込めた過去”があったからだ。
2月11日から公開される「ファーストラヴ」は、事件の全容をめぐって二転三転する展開と、強い感動をともなう圧巻のクライマックスが見る者を虜にするエンタテインメント・サスペンスだ。
北川景子と中村倫也という、人気・実力ともに申し分ないスター俳優が共演し、謎深い物語を重厚に体現。彼女らの“ファーストラヴ”に隠された謎と、父殺しの事件はどのように絡むのか? 秘められた過去が明らかになり、結末が眼前に突きつけられたとき、あなたは“ファーストラヴ”の言葉の意味を考えずにいられないだろう。
この特集では、試写会に参加した観客の感想から始まり、作品の見どころ(物語、キャスト、キャラ)、そしてクオリティを担保する監督・原作・主題歌に言及していく。まずは、この予告編で物語を把握していただこう。
【試写会を実施】観客から称賛が続出!満足度93%!
サスペンスの“スリル”と結末の“カタルシス”に注目
映画.comでは本作の試写会を実施。来場した44人の観客(10代後半~50代まで/女性が多いように見受けられた)にアンケートに答えてもらい、本作への満足度や、印象に残ったシーンなどを聞いた。読者の皆さまには、鑑賞するかどうかの参考にしていただければと思う。
○満足度は驚異の高数値を記録 謎解きの魅力にも高評価続出
まずは、単刀直入に「満足度」を聞いた。すると驚いたことに、44人中41人が「とても満足した(33人)」「満足した(8人)」と回答していた。割合にすると、満足度は驚異の93%。コメントの一部を抜粋して紹介しよう。
「原作の大ファンでしたが、その雰囲気をまったく壊さずに、映画だからこそよりリアルに表現していたことも含めて、胸に突き刺さりました」(27歳・男性/会社員)
「表現できないくらい素晴らしい映画。原作とは終わり方が違いましたが、心が温まりました」(17歳・女性/学生)
物語が、鑑賞者の心の奥底まで届いたことがよくわかる。「周囲にオススメしたい作品」といった声も複数寄せられていた。
さらにピックアップしたいのが“サスペンスのスリル”について。「伏線がつながり、謎が次第に解けていく快感はあったか」という質問に、84%の人が「とても快感があった(16人)」「快感があった(21人)」と回答していた。
「全編を通じてハラハラドキドキが続いた」(35歳・女性/会社員)
「それぞれが隠しておきたい過去が次々と紐解かれていくところがすごかった」(44歳・女性/主婦)
「絡まっていた糸を丁寧にほどくような作風が好きでした」(17歳・女性/学生)
「印象に残ったのは、北川さんと中村さんの過去のシーン。2人とも過去になにかがありそうと感じていたので、すべてが結びついたように感じました」(22歳・女性/大学生)
○結末に「感動した」の声多数 「自分を大切にしたくなる映画」
本作は一見すると重厚なサスペンスだが、観客からは“意外な意見”が。「鑑賞後、どんな感情になりましたか?」との質問に、「感動した」との回答が多く寄せられた。
「悩みを抱える人や、自分に素直になれない人が見たら“前に進める”作品。想像していた以上に感動的で、胸に刺さる作品に仕上がっていました」(28歳・女性/派遣社員)
「人にはそれぞれ過去があり、それと向き合っていかなければいけないと思った。自分で自分自身を大切にしたい、と思った」(19歳・女性/学生)
「(ある人物が)最後に心から笑えていて、良かったなあと感じました」(26歳・女性/保育士)
「胸がキュンと締め付けられるような気持ちと、優しい気持ちが入り混じっています。美しく壮絶、素敵な映画でした」(38歳・女性/会社員)
「自分の娘たちが小さいころに観ていたら、子育てに影響したかもしれないです。娘たちにもぜひ観せたい」(59歳・女性/主婦)
際立ったのは、「自分を大切にしたくなった」という回答の多さ。さらに「印象に残ったシーンは?」と聞くと、ほとんどの人が「病室で由紀が過去を打ち明けるシーン」を挙げ、「優しさに涙を誘われた」と語っていた。
本作は心に力いっぱいぶつかってくる壮絶な場面も、多くある。しかしそれ以上に、魂を洗うような、優しく美しい物語運びが素晴らしいのだ。
【キャストが渾身の熱演】北川景子の新たな“代表作”
中村倫也、芳根京子、窪塚洋介らが愛と感情ぶつけ合う
本作の見どころのひとつは、なんといってもキャスト。同年代の俳優ではトップクラスの人気・実力を誇る面々が織りなす名演が、物語のサスペンスとドラマを深く、多層的なものにする。ここではそれぞれの役どころに言及していこう。
○北川景子/主人公・真壁由紀…事件を取材し、自身の“初恋”と向き合う
主演を務めるのは北川景子。原作のキャラ設定に合わせるべく、髪の毛を30センチ以上もカットし、デビュー後初のショートヘアに。これが自身の発案だというから、本作への思い入れは非常に強い。
北川が演じた由紀は、公認心理師(心の問題を抱えている人に対して、心理状態の観察・分析・相談・助言・援助を行う)として事件に関わり、容疑者である女子大生・聖山環菜と向き合う。職業柄、常に冷静沈着かつ理性的に振る舞うが、環菜が“初恋”について口を開いたことを境に、大きな混乱を見せるようになる。
○中村倫也/弁護士・庵野迦葉…ともに事件を担当。由紀の“過去”を知る重要人物
ドラマ「この恋あたためますか」などに出演し、今やカリスマ的人気を誇る中村倫也。今回の中村は、目と声の繊細な芝居で“魅せる”。試写会では「細部の見せ方が本当に素晴らしい」など多くの絶賛評が寄せられていた。
演じた庵野迦葉は、弁護士として環菜の事件と関わる。由紀とは義理の姉弟という関係だが、どうやら“それだけ”ではないようで……。憂いを帯びたナーバスな表情に注目だ。
○芳根京子/容疑者・聖山環菜…父を殺した容疑で逮捕。二転三転する供述が事件を混沌とさせる
今回の試写会で、最も称賛が集まったのが芳根京子だ。演じた環菜はアナウンサー志望の女子大生で、就職面接の直後に父を殺した容疑で、逮捕される。彼女が父を殺した背景には、誰にも言えない“過去”があった。
「累 かさね」での芳根も吹っ飛んだ演技力を見せたが、本作の彼女はそれを凌ぐかもしれない。環菜のジェットコースターよりも壮絶な感情の起伏を、鬼気迫るオーラをまとって演じた。法廷での独白シーンは大きな見どころ。
○窪塚洋介/理解者・真壁我聞…由紀の夫で、迦葉の兄。信念と優しさがにじむ
巨匠マーティン・スコセッシ監督作「沈黙 サイレンス」などに出演し、独自の地位を確立した窪塚洋介が、本作ではまた新たな“奥行き”を見せる。演じたのは、優しい眼差しと落ち着いた態度で妻・由紀や弟・迦葉を温かく見守る真壁我聞。
物語冒頭、我聞がキッチンでポトフを作りながら、由紀の帰宅を待つシーンがある。その場面だけでも、窪塚の類稀な存在感が網膜に焼き付くだろう。包容力と信頼感の塊のようなこの男が、物語をさらに味わい深いものに昇華している。
また本項目の最後に、大事なことを記述しておく。劇中の登場人物を注意深く観察していると、芝居がかったセリフ回しと、流れるような自然なセリフ回しが混在していることに気がつく。
それはまるで、人物の建前と本音が代わる代わる顔をのぞかせているようだ。監督の堤幸彦が中核に埋め込んだこの“道標”をたどれば、まったく別の姿へと化けた“真相”に遭遇するだろう。
【質実剛健の極上エンタメ】監督は堤幸彦
原作は“稀代の問題作”!島本理生の直木賞受賞小説
[監督]サスペンスとしての堤幸彦 入魂の一作
メガホンをとったのは、「十二人の死にたい子どもたち」をはじめ「TRICK」「SPEC」シリーズなど、さまざまなトーンのサスペンスを世に送り出してきたヒットメーカー・堤幸彦。本作にはいくつかの仕掛け(セリフ回しもそのひとつだ)を施しており、由紀(北川)と環菜(芳根)の面会シーンにも注目してみてほしい。
アクリル板越しに北川と芳根が向き合う。カメラが北川の顔を正面からとらえると、板に反射した芳根の顔が重なる……この構図が何を意味するか、感じ取れるだろうか。本作は“映像に行間を忍ばせるシーン”が非常に多い。語らずとも心情を表現する堤監督の手腕は、圧巻の一言に尽きる。
[原作]島本理生の直木賞受賞小説 題名に隠されたドラマとは
原作は「ナラタージュ」などの島本理生氏が2018年に発表した、第159回直木賞受賞小説。予測不能な結末と、タイトルに隠された濃密なヒューマンドラマが話題を呼び、“稀代の問題作”とも称された傑作だ。
映画化に際し、島本氏はこんなコメントを寄せている。「近年、女性が理不尽に対して声をあげる、という流れが少しずつ生まれている中で、映画『ファーストラヴ』を鑑賞し、そのスリリングな面白さはもちろんのこと、今の日本においてこの映画は社会的にも非常に重要な作品だと確信しました。原作者として関わることができたことを心の底から嬉しく思いました」。
[主題歌]今最も注目される歌手Uru 透明な歌声があなたの心に沁みわたる――
今最も注目されるシンガー・Uruが、主題歌「ファーストラヴ」を書き下ろし、挿入歌「無機質」を提供。透き通り、それでいて胸に突き刺さる歌声が、美しくも残酷な物語に一筋の希望の光を見せてくれている。
さらに音楽には、イタリアの作曲家アントンジュリオ・フルリオ。同じテーマを、アレンジを変えながら繰り返し、登場人物たちの感情の変化に寄り添うよう思いを込めている。
物語が幕を下ろし、ある家族の写真、そしてスクリーンに広がる景色にUruの歌声と柔らかな楽曲が重なるとき――あなたはきっと、温かい空気の膜に包まれるような気分になるだろう。