ファーストラヴのレビュー・感想・評価
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島本作品に通ずる問題提起をつぶさに拾った素敵な作品
島本理生作品の熱心な読者として鑑賞。圧巻の一言だった。島本作品全てが持つ問題の提起「女性が無意識のうちから男性に傷つけられていること」を忘れることなく、ひたすら原作に沿った内容だったように感じる。
出演者全ての演技が素晴らしかった。環菜の情緒不安定さを丁寧に掬い演技に乗せられていた。由紀が過去の思いに苦しむ場面は何とも生々しく、観ているこちらも胸を締め付けられた。それを受け止める我聞。自らの兄である我聞を信じるように由紀に薦める迦葉。由紀や迦葉の話を聞く途中に怒りが止まらない環菜の母。それぞれの迫真の演技から、今まで個人的に描いていた「実写化は原作に劣る」というイメージを払拭させられた。
今回大きなテーマとなった「親子の在り方」であるが、メインである環菜とその両親はもちろん、個人的に心打たれたのはそれに強く影響され自らを顧みる由紀であった。二人に共通する「男性は性行為をするために女性に近づく」という認識、個人的にも同感だったからであろう。男性の性的な視線、特に自らの父親から伝わる「普通の親子とは異なる視線」を経験している人間が多いことを、この作品を通して知ることができた。それにより苦しむ人間が多いことを、世間の男性らは知らねばならない。
「つらいことを無理矢理いい思い出みたいにして、苦しまないようにすることで逃げているんじゃないの(曖昧)」由紀のこの台詞が印象的であった。人間皆苦しい経験をしたことはあるだろう。それから逃げずに向かい合う。そして昇華していく。苦しみばかり思い出して何度泣き濡れた夜を超えたことか知れない私としてはとても刺さった。諦めて忘れることが良いのだろうかと思ったが、もう少し向き合ってみたい。
由紀が我聞に父親の話をする場面では、涙を零さずにはいられなかった。迦葉からの「兄貴なら受け入れてくれるから」「気持ち悪いのは由紀じゃなくて由紀の父親だろう」という言葉に後押しされ、苦しみながら打ち明けていく場面は見事。何より、それを受け入れてくれる人間が存在することを知った。人間不信に陥っている筆者であるが、もう少し誰かを信じ、頼ってみてもいいかもしれない。そう思えた。
冒頭にも述べた「女性は無意識のうちに男性に傷つけられている」これを観た男性は何を感じたのだろう。是非とも聞いてみたい。
問題提起と俳優の熱演は見ごたえあり
性的虐待について考えるには非常に良い映画です。実際に体に危害が加えられなかったとしても、性的な目で見られたり、からかいの言葉をかけられることがどれだけ心を傷つけるのかを改めて考えて欲しい。
それと、親が子供を、夫が妻を、自分の所有物のように扱っています。
父親2人は吐き気がするほど気持ち悪いです。でも母親たちも、夫に尊厳を傷つけられ、本来守るべき娘を守ることを放棄し、あるいは娘にも自分の苦しみを負担させようとしました。
環菜の母役の木村佳乃さんの演技がとても良く、もっと観たいと思いました。また、由紀の母親も明らかに悪意があり、高岡早紀さんが車の中でほくそ笑む表情が怖かったです。私には子供が居ないからわかりませんが、娘は自分の分身、という気持ちと、夫の血を引いている、という気持ちがあったんでしょうか。
芳根京子さんの演技は素晴らしいです。「累」も良かったですし。北川景子さんは美しい、人を惹きつけます。ただ、回想シーンは良かったんですが、公認心理師としてはもっと抑制した方が良いと思いました。過呼吸とか情熱とかは凄いですが、情緒不安定過ぎです。弁護士か、被害女性を支援するNPOの人だったら良いのにと思います。中村倫也さんと窪塚洋介さんは流石です。
見ごたえはあったんですが、惜しかったところも。
・環菜がユウジ君に惹かれていく過程や母親との関係よりも、由紀の昔の恋の方がかなり目立ってました。
・デッサン会。いくら何でも。モデル代が高いのに裸の男2人ってありますか?構図的にも。美大生のモラルが低すぎだし、女子には教えないなんてアリですか?
・裁判員裁判では無かったですよね。素人の私は刑が重いと感じました。
男性を蔑視することは悪じゃないのか?
予告編から漂う並々ならない雰囲気がたまらなかったので見に行きましたが、少し拍子抜けのように思えました。
演技面に関しては文句なしです。(一部除く)
特に芳根さんの意気揚々と演ずる狂気じみた演技が素晴らしかったです。北川景子さんホント綺麗。ショートカット最高です。
予告編をうまく使い観客を誘導していた点はナイスだと思います。客を取り込めれば勝ち申したと言っても良いと思います。予告編の出来が良かったのも相まって批難されてる方もいらっしゃいますが、それもまた戦略ということで…
ミステリーよりかは恋愛や過去のトラウマが話のメインになっていたので、そこが拍子抜けでした。恋愛部分もダイジェスト的なもので、出会ってすぐに髪を切らせてくれなんて狂気にも程があると思いますが、わりかし普通にストーリーが進んでいくので恐怖です。
そりゃいきなり処女膜破ろうとされたら怖いに決まってますよ。でも男性全てがそんな生物じゃないことくらい原作者も分かってるはずなんですが、やたら男性に対して厳しい映画だなと思いました。女性に対してこういう発言をする映画は批難される割に、こういう映画は批難されないんだなと思いモヤモヤしました。
判決のシーンも少しご都合主義に傾いてしまっているのもいただけないです。虚言癖が活きる部分ではあると思いますが、のらりくらりした展開をもっとスマートに進められなかったのかなと思います。どうやって来ないと言った証人を連れて来れたのかなとのバックボーンも薄いのでもっと語ってほしかったです。
ただハッピーエンドに終わらせなかったのは良かったと思います。これで無罪なんていう展開があったら思いっきり親指を下にしていたと思います。懲役8年もやってしまった罪を背負うにはちょうどいいんじゃないかなと思いました。
全体的に良い作品だとは思いますが、所々気になる場面ががあったのでこんな評価です。Uruさんの曲最高です。
鑑賞日 2/15
鑑賞時間 13:00〜15:10
座席 L-20
俳優たちのエキセントリックな演技が光る
あんまりタイトルと内容があってなかったような?
父親殺しの容疑者となった少女の動機を探るサスペンス映画。
少女の過去を取材する北川景子演ずる公認心理師は取材をするうちに、
自分の過去がオーバーラップしてきて追い詰められていく構造をとっている。
歪な過去に歪まされてきた2人の女性が描かれており、追い詰められた2人
のエキセントリックな演技が光っていた。
それにしても旦那さん素敵すぎるでしょ。
芦根京子
一番印象に残った。
北川景子 いっぱい出演してるね。
悪くないんやけど…なんやろ…
北川景子って印象、、かな。。
(すみません)🙇
サスペンス映画 やった。
悲しい切ない話でしたね。。
なぜに? 『ファーストラヴ』?
あいだに挿入歌? 2回入ってたけど…
(飽きてきたなぁーて タイミングで)
自分的には、、 うーん😣
ご年配の男性には伝わらない…かも…
主演や脇を固める俳優陣が豪華で見応えあり。
物語もわかりやすく、カメラワークも面白かったです。
登場人物も少ないのでそれぞれのストーリーもとてもクリアです。
重いテーマですが清々しさが残ります。
……
北川景子が病室で泣くシーン、あのシーンがとても刺さりました。
複雑な感情や込み上げるものを抑えながら、愛する人にさらけ出すということは、ああいうことなんだと思う。
それを演じられる北川景子はスゴイ女優さんです。
何度かある面会時に2人が対峙するシーンも圧巻です。
演技力もさることながら、お二人の美しさは息を呑みます。
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一つ飛ばした隣の席に両親と同世代のご夫婦がいらっしゃいました。
会場内ですすり泣く声や嗚咽が聞こえる重要なシーンで、そのご主人がイビキをかいて寝ていました。
劇中つまらなくて寝てしまうのは好みもあると思いますし、自由だと思いますが、同じ空間を共有しているわけですから、イビキはさすがに不快です。
奥様は涙を流していただけに、なんだか私が切なくなりました。
映画自体は本当に素晴らしいです!
女性なら誰しも考えるテーマ
原作より登場人物を省き、生々しい行為も映画では描かれなかったのがかえって良かったです。芳根京子さんの演技がとても良かった。そして男と女について考えさせられました。いかにもな母親だったが、思春期の少女が初恋をした。故にモデルはもう嫌だと拒む。あまりにも切ないストーリーで泣けた。最後に刑務所での笑顔の環菜はちと無理やり感がありましたが、由紀と共に前進できたということで後味はすっきり。
ファーストラヴとは…?
島本理生の直木賞受賞作品の映画化。原作を既読のため、内容や結末はわかっていたが、『ファースト・ラヴ』の響きが持つピュアな恋心とは裏腹に、幼少期のトラウマからの殺人事件を描いている。しかし、単なる殺人ミステリーとしてではなく、堤幸彦監督らしいヒューマンドラマとして、人間の深層心理に迫るストーリーを、見事に描いている。
そう思わせたのも、主役の北川景子をはじめとする役者さん達が、とても良い味を出していたからかな。北川景子と中村倫也の二人については、現代から大学時代の初々しい青春像も含めて遜色なく演じている。窪塚陽介も、懐の大きな愛で妻を包み込む穏やかな夫役を演じ、普段あまり見られない役どころだった。
特に、素晴らしかったのは、芳根京子。現在放映中の『君と世界が終わる日に』でも、他の役者とは秀でいる演技を見せているが、本作でもトラウマを抱え、情緒不安定な加害者役になりきった迫真の演技を見せていた。
ストーリーは、画家の娘・環菜が、幼少期から厳格な父のあまりに理不尽な養育に従う中で自分自身を責め続け、その行き場のない憤りは、アナウンサーへの就職活動にまで反対された父の殺害によって淘汰されるところから始まる。それは、美しい娘による父親殺人は、センセーショナルな事件として世間を賑わせた。
その事件についての書籍出版を依頼された、臨床心理士と弁護士であるその義弟と共に調査や面会を始める。そこで明らかになったのは、環菜は幼少期から父親のアトリエのモデルを強要され、父を含めて、様々な男達の歪んだ性愛の視線に曝されてきた事実であった。また当時、唯一心を開き、信用していた男性からも、結局裏切られトラウマを抱えてきた。
本当の心の居場所を探る中で、自分自身を欺き、自分の本当の気持ちを封印して生きてきた環菜。実は、その中に、事件の真意が隠されていた…。
それにしても、北川景子はどんな役をやっても、どんな年齢を演じても美しい!
誰しもが抱える心の闇
心の闇がない人間なんていない!というほど、登場人物にはそれぞれの暗い過去があり、何らかの形で思い出したくもない過去が暴かれていく心理サスペンス。この際、父親を殺したという尊属殺人事件はモチーフにしか過ぎない。でも、気になるよねぇ。
公認心理師という聞きなれない職業が登場したけど、かつて人気のあった産業心理カウンセラーはいったいどうなったんだろう?なんか、アンケート中心だったし、ハローワークでの相談窓口でしかなかったような。やっぱり国家資格のほうが安心できるなぁ・・・と、まだまだ心理学での資格制度が確立してないんじゃないかと思わせてくれる。劇中ではクリニック勤務だったし、医師に次ぐ立場だった気がする。
弁護士・庵野迦葉と心理師・真壁由紀のコンビ。かつては恋人だった?と思わせる意外な序章から始まり、それぞれの過去も暴かれていく。そんな由紀を優しい目で包んでくれる迦葉の義兄でもある夫の我聞(窪塚洋介)にしても戦場カメラマンを思わせる作品もあったし、つらい経験をしてるはず。そして加害者である環菜(芳根京子)の陰惨な性的虐待の過去も明かされていき、心の奥底のPTSDで気持ちが繋がっていく様子も描かれる。でも、誰が一番変態やねん!?と考えると、板尾創路なのだろう・・・
芳根京子の千変万化の演技にも驚かされたが、男目線で見ると、小泉裕二(石田法嗣)の告白に泣かされてしまう。さすがに小学生に手を出しちゃいけないけど、少女に対する恋は本物だったに違いない。“初恋”を最も感じられるのも環菜よりも彼だったし。法廷で見せた慟哭にも禁断の年齢差恋愛の苦しみと贖罪を訴えてくるものがあった。
一番おぞましかったのは性的拷問のようなデッサン画。集団レイプされるかのようなトラウマとアナウンサー試験の面接官が重なるところでもらい泣きしてしまいました。そしてまさかのリスカ痕つながり・・・最近の女性蔑視発言が話題の問題や閣僚の買春疑惑にも絶妙にリンクしている作品だとも感じるし、法廷劇かと思いきや、鑑賞者の心を抉ってくる作品でもありました。さらに傷を埋めるかのようなか細い声のUruの歌声が心地よかった。
堤幸彦ということもあるけど、例によって予告編では北川景子のびっくり顔がクローズアップされてホラー感を醸し出すところもニクい。予想外の内容という点では予告編も絶妙ですなぁ。
もっとドロドロにドロンドロンしてたらグサグサ刺さったのに。
アメリカNBCのドラマ「HEROES」に遅まきながらはまっていたのが2010年頃の事。同じころ、日本では「SPEC」です。劇場版「SPEC天」が2012年で堤幸彦監督でした。HEROESに比べると、ちょっとなぁ、でも低予算でこんだけ面白ければ上等だよ。などと。実は、堤幸彦監督と言うと、「20世紀少年」でも「Trick」でも、「ケイゾク」や「くちづけ」などの作品でもなく「Spec」だったんです、俺の中では。最近は「人魚の眠る家」「12人の死にたい子供達」「望み」と、社会性のあるテーマの作品が続いてますが、一貫してるのは「最後はポジティブ」。なので、好きなんですよね。
ドローンの高高度映像から始まるのは最近の堤作品のルーチン。今回は更に高度をあげて空撮も多用。これが社会を鳥観する、俯瞰的に眺める、と言う印象を与えます。いつものように、画は丁寧です。キャストロールを見損なったんですが、特徴からすると相馬大輔さんでしょうか。個展から立ち去ろうとする由紀を我聞が呼び止めるんですが、立ち止まった由紀の半身がドアの太いサッシに隠れている画とか、個人的には物凄く好き。恋人になり切れなった男の兄に呼び止められた由紀の心理を、この画一発で表現です。良いなぁ、って思います。
正直に言うと、北川景子さんが嫌いでした。もうね。役者になっとらんやん!って思ってたんですが、最近、明らかに超進化してると思うんですよね。今回は、声が違いますもん。昔は、常に妙に緊張して声帯収縮してるから、みたいな声しか出てませんでしたけど。使い分け感ありました。途中から、やたら芝居が大げさになる所は、「ハリウッド女優かよ?」って思いましたが、これくらい「熱演感」を出してやってくれた方が、彼女のすました印象を強く与える、整った顔立ちには合ってると思います。
芳根京子、中村倫也、窪塚洋介はいつも通りに御座います。やっぱり、芳根京子ってすげーよなぁ。個人的には、土屋太鳳と芳根京子が、この年代の双璧です。先週みたシンデレラの土屋太鳳も良かったですけど、この役は芳根京子にしか出来ねぇよ、って思わされる。
ロリペドに始まり、親から守ってもらえない子供の問題に帰結する流れ。法廷映画部分が、明らかに物足りなさがあって、途中で盛り上がった気分が、終盤失速してしまいました。芳根京子の「自分を傷つければ逃れられる。許して貰える。だから、そうしました。」との告白場面は胸にズシーンと来ました。
懲役8年なら5年で仮釈放ってところでしょうか。
全てを忘れて人生リセットするには、丁度良い時間かもしれんねぇ。
塀の中は、シェルターでもあり。
むしろ。
ロリペドを重罪にしろよ。
って思うけど。
ドロドロしてる物語の割に、ドロドロさの描写が中途半端で、映画としての満足度はボチボチでした。
ベッドシーンなのにブラウス着たままってのも。事情があるんですね。お察ししますw
映像表現としては、やはり「留置所の強化ガラスを挟んで対話する由紀と環菜」に力が入ってました。
最初。二人を斜めから撮る画から始まります。インタビューする者とされる者の立場の違いと心理的な距離がある事を象徴。
次に、二人の顔を正面にとらえる画が使われ出します。話をする由紀の顔に、環菜の顔が薄く投影されます。由紀が環菜に自己との共通性を見出し始めたことを象徴。投影される環奈の顔の影は、次第に濃くなって行き、最後にはどちらの顔を映しているのかが判別できないほどになります。由紀が環菜に自己を投影しはじめ、自分の過去と向き合っている様な心理になる段階では、ガラスに映る両者の輪郭さえ曖昧になって行きます。そこにあるはずの2人の人格の存在の曖昧さ。蓋をして忘れ去ってしまった記憶が、今の自分を脅かすものであることを象徴している。的な。
この映像表現は、面白かったですし、見ごたえがありました。
ファーストラブ
予告を観ていた時に『ファーストラブ』
なんでこのタイトルなんだろうなぁと不思議でしたが
何となくですが理解できたような気がします。
人によって感じ方は違うかもしれませんが、ワタシ的
迦葉の事なのかなぁー?と ん?違うかなぁ?
迦葉のユキを影ながら支えてくれていた事
泣けてきました。
そして我聞の人間力。素晴らしい。
私は原作を読んでないので、勝手に【窪塚洋介さんだから何か怪しいなぁ】と勘違い。
最後の最後まで優しく思いやりのある人でしたね。
皆様の素晴らしい素敵な演技、最高でした。
今日も素敵な作品に出会えて感謝です。
清々しくも考えさせられました
原作を読まずに鑑賞しました。
メインビジュアルや予告編から、もっとダークな結末を予想していたのですが、ラストには光が見え、なんだか清々しい気持ちに。
多くの方もレビューされているように、美しい映像や、芳根京子さんはじめとする俳優の方々の演技に引き込まれます。ハラハラというよりは、役者さん達の表情や言葉をじっくり味わえる作品でした。
と同時に、親や周りの大人が子どもに与える影響の大きさについて考えさせられました。幸い自身には劇中に出て来るようなエピソードはありませんが、確かに幼い頃、特に思春期においては、親との距離感や大人の異性の視線など、いま想像するよりも遥かに心に作用していたはず。
少女時代の環菜ちゃんを観ながら、我慢しなくて良いんだよ、と応援する一方で、声を上げても誰も助けてくれない・助けてくれたと思ったら…みたいな環境にいたら心を壊すしかないよね、という無力感も。そんな中、法廷で既に家庭のある「初恋の人」が証言台に立ったのは(償うには遅過ぎですが、そして自分のしたことは言わずじまいでしたが)よくぞ!と思いました。
作品の中で主に取り上げられたのは大人の男性対少女でしたが、性別や年齢、立場は様々に、こうした歪んだ関係性は、見えない・見ようとしていないだけで、現実のあちこちにあるのだろうな。自分がその当事者だったら?周りの一人だったら?
個人的にはサスペンスというより、社会派の印象が強く残りました。観て良かったです。
相変わらずの「だろう運転」映画
休日のはしご観賞二本目にまあ新作だし
時間の都合も合うしであまり注目はして
いませんでしたが観賞
堤幸彦監督作品は「望み」も観ましたが
この監督は実情より「どうせこのテーマはこうだろう」
「どうせこういう職業はこう考えているんだろう」
「俺の映画よくできてるだろう」という
「だろう運転」映画だなあといつも思います
そのだろうがなんかズレてる感じがあり
どうも乗っていけない印象がいつもあります
今作もやはりそうでした
画家の父を殺害し逮捕されたた女性・環奈は
動機を語らず主人公の心理士の由紀は妙に
この女性の担当を引き受けるところから始まります
そして由紀は環奈の担当をする庵野という弁護士
の名に気が付きそれが夫の弟で元恋人である
という過去から由紀の過去をもなぞらえながら
話が進んでいきますがこれがまあ展開的に
嚙み合っておらずだんだん眠くなってきます
環奈の犯行の背景には父に無理やりモデルをやらされ
性的な虐待に関しても親が関心を示さなかった
といった背景が早い段階でわかっていくのですが
由紀の父も出張先で買春をしていたとか
クルマから写真が出てきたといった記憶から
トラウマに陥っている感じから環奈にシンパシー
を覚えているようですが
なんか釣り合っている感じがしませんし
プロがこんな主観で仕事するだろうかという
疑問が生まれてきます
このへんに「心理士とかって自分も過去に
そういう経験があるからそういう仕事してるんだろう」
みたいな作り手の思い込みを感じます
そういうとこがなんか不快に感じました
由紀の過去もトラウマのせいで男性に抱かれる
事ができず関係をうまく進められず
迦葉(この名前入れるのめんどくさい)と
うまくいかずその兄の無条件でやさしい我聞と
結局結ばれるとかそんなに関与してこない男性なら
付き合ってられるあたりいい加減な設定に感じて
さっぱり移入することができません
北川景子特有の上っ面な演技も手伝ってですが
でなんやかんやで環奈の境遇を理解し本人に会うと
本人は突然刺そうと思って刺したんじゃないとか
殺意の否定をし始めて話がややこしくなりますが
由紀は感情丸出しで環奈の言い分を肯定します
するとなんやかんやでトラックにひかれそうになり
(なんかこの人こないだもトラックにはねられてた気が)
無事だった割には色々バイタル管理されてる
ようわからん状態で今付き合ってる我聞は
もうフェミニストが理想化したかのような
すべてを受け入れて肯定し都合の悪いことは
一切聞かないでいてくれる男性像を披露し
もうちょっと現実感が感じ取れなくなってきます
で裁判では無茶振りされた迦葉は
頑張れるだけ頑張ってみましたが
結局環奈は情状酌量もされたが包丁自分で
買ってるし色々で懲役刑が下り服役します
生き生きと刑務所で過ごすシーンとか
なんかよくわからないエンディングで終わっていきます
えーとこの映画何がテーマなんだっけ
ファーストラヴってなんのこと?
ちんぷんかんぷんで終わってしまう映画でした
だからよくわからないまま思い込みで作られ
だろう運転で作られた映画だなと
感じてしまいました
芳根京子の演技は良かった?
彼女のポテンシャルを全然発揮できていません
のでこんな映画で評価できません
原作は女性だから映画版の監督も女性で
よかったんじゃないんですかね
罪悪感のある人間
サイコパスと囁かれる父親を刺殺した女子大生と、彼女の取材をする公認心理師の女性話。
犯行は認めているものの「動機はそちらでみつけて下さい」とか宣うし、笑ったり泣いたり叫び出したりと情緒不安定な容疑者の、家庭や思考や過去を、公選弁護人となった義弟の助けを借りつつ追っていくストーリー…もあるけれど、その取材の中で心理師が容疑者のことを知り、感じ、自身の生い立ちに重ね合わせて巻き起こっていくストーリーも。というか、そっちがメイン!?
虚言なのか、妄言なのかという話の裏を取り、ピースを繫げて行くところ期待値は高まっていくし、ちょっとイッちゃってる容疑者の母親や、コンビニのユージ君、見え見えながら義弟と主人公の関係性とか、旦那の神か仏かという振る舞いにとか、脇もしっかりドラマあるし。
そして勿論父殺しの真実は!?もちゃんと捻りをきかせているしで、痛く、悲しく、やり切れない感じがとても良かった。
ちなみに、芳根京子ちゃんの顔面どアップ泣きの供述には胸がギュッとなったので☆+0.5
窪塚洋介ファンの女性なら、昇天して更に☆+0.5つけてしまうかもw
相変わらず演出は平板。しかし、浅野妙子の巧みな脚色と、北川景子と芳根京子の熱演で原作の精神が伝わってくる。そこに泣けた。
(原作既読)①同じ日に『すばらしき世界』を観たせいで、西川美和の演出に比べ堤幸彦の演出の平板さが際立ってしまった。特に“絵”が平凡。工夫もうま味も感じられない。②環菜はかなりの難役である。それを見事に造形化してフィルムに焼き付けた芳根京子の説得力のある演技が映画化が成功した第一の要因。北川景子もこれだけ演技力があるとは思わなかった。③甘い題名から連想されるような恋の話では全くありません。と言うか、かなり救われない話である。特に我々男性にとっては耳の痛い(目に痛い?)話でもある。原作では由紀と迦葉とが我聞の大きな愛に支えられて過去の確執を乗り越え心の傷を癒し行く姿が救いとなっていたが、映画ではユウジが保身の為に過去に環菜を見捨てた罪滅ぼしに勇気を持って証言台に立つ姿を大きく扱うことで物語に救いをもたらしている。④木村佳乃の徹頭徹尾冷たい演技がこの母親の抱える闇を原作以上に際立たせている。⑤中村倫也はイケメンではないがイケメンに見せる演技が上手い(誉め言葉です、これ)⑥窪塚洋介の控え目な好演も映画に安定感をもたらしている。
北川景子VS芳根京子の演技合戦!
女優二人の演技に感嘆!改めて、演技力の高さに圧倒された。
男や家族に虐げられた少女の犯罪。しかし、環菜の存在は、それだけではなく、男尊女卑の社会が生み出した「呪い」ともいうべきもののように思う。由紀父の件も環菜の過去も、「その程度のことで…」と当人の痛みを意に介さないヒトもいるのではないだろうか。だからこそ、環菜は真実を語らないし、由紀は真っ向から「呪い」に立ち向かうのだ。そこが胸を打つ。由紀のエピソードもストーリーの横軸となり、作品に深みを与えていた。(支える夫の姿には、観てる女性としたらグッときたのでは)
主題歌挿入歌も、学生由紀(北川景子の表情よ!)にマッチしていて、雰囲気を盛り上げていた。
しかしながら、ミステリとして観たら一級品とは言えないかなぁ。芳根京子ちゃんの怪演はよかったけど、環菜が負った傷が、証言を翻したり激昂して暴れたりする理由と完全に結びついているかというと…。説得力としてはどうなんだろ。見方がひねくれているけど、ミステリ好きとしては、個人的に評価を下げざるを得ない…。
見捨てる親と手を差し伸べる他人
過剰さを排除した演出に共感。作り手のエゴに左右されず真っ直ぐ作品のテーマに向き合えた気がします。
殺人事件の加害者とされる人は100%その人が悪いのでしょうか?
ニュースで切り取られた一部分だけで安易に加害者を非難することはよくあります。その背景も知らず。本作は父親を殺した娘の動機を探る話しですが、とても納得出来たし救われました。
子供は親や幼少期の環境を選ぶことが出来ません。親から愛されて育つ子もいれば、愛を知ることなく居場所を見つけることが出来ないまま歳を重ねる子もいます。
父親を殺害したことによって娘は初めて本当の愛を知ることになります。彼女を本当に救おうとする臨床心理士の女性によって。
愛は親だけから享受するものではない。
堤幸彦監督は『SPEC』に代表されるやり過ぎ演出も魅力ですが、前作『望み』でも感じた作品のテーマに寄り添い過剰さを排除した演出も素晴らしく魅力的です。
全83件中、61~80件目を表示