ファーストラヴのレビュー・感想・評価
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相変わらず演出は平板。しかし、浅野妙子の巧みな脚色と、北川景子と芳根京子の熱演で原作の精神が伝わってくる。そこに泣けた。
(原作既読)①同じ日に『すばらしき世界』を観たせいで、西川美和の演出に比べ堤幸彦の演出の平板さが際立ってしまった。特に“絵”が平凡。工夫もうま味も感じられない。②環菜はかなりの難役である。それを見事に造形化してフィルムに焼き付けた芳根京子の説得力のある演技が映画化が成功した第一の要因。北川景子もこれだけ演技力があるとは思わなかった。③甘い題名から連想されるような恋の話では全くありません。と言うか、かなり救われない話である。特に我々男性にとっては耳の痛い(目に痛い?)話でもある。原作では由紀と迦葉とが我聞の大きな愛に支えられて過去の確執を乗り越え心の傷を癒し行く姿が救いとなっていたが、映画ではユウジが保身の為に過去に環菜を見捨てた罪滅ぼしに勇気を持って証言台に立つ姿を大きく扱うことで物語に救いをもたらしている。④木村佳乃の徹頭徹尾冷たい演技がこの母親の抱える闇を原作以上に際立たせている。⑤中村倫也はイケメンではないがイケメンに見せる演技が上手い(誉め言葉です、これ)⑥窪塚洋介の控え目な好演も映画に安定感をもたらしている。
私は嘘つき……と言う芳根京子ですが、もしかすると「私は嘘つき」という言葉自体が嘘なのではないかと思わせる、まるで気が触れたかのような女性を演じていて、これは凄かったと思います。
しかし、なんだかなーと思ったのが、ストーリーの拙劣さです。
登場する数名に同一種のトラウマが設定されていたり、人間関係を設定=偶然に頼り過ぎている点など、ストーリーとして許せる限度を超えており、鼻につきました。
誰であれ、人間である以上は、親にまったく反発を抱かないことはあり得ないはずです。
しかし親を許せないと考える人の気持ちを安易に尊重してしまっている現代の風潮はどんなものなのでしょうか。
それは、もしかすると、「尊重という名」のもとで、単純に社会が責任逃れをしているだけなのではないかと、特にこの作品を観て、違和感を隠せませんでした。
安易に「男が悪い」と、男を一方的に断罪し、責任者探しをする女性たちの「被害者コスプレ」を、そのまま肯定してストーリー化してしまったのが、やはり失敗ポイントだったのではないかと思います。
北川景子はうまくなったと思います。結婚は彼女の演技力にとって大成功だったのだろうなと思いました。
中村倫也の、ズルくて厭味な演技も迫真の出来ばえです。
芳根京子のフッ切れた演技も言うまでもありません。
このように、主役級がみんな熱演を魅せてくれていただけに、ストーリーの組み立てが残念でなりませんでした。
一言じゃ言い表せないです
父親殺し。暗くて、悲しくて、難しいテーマですよね。
過去に負った心の奥の深い傷、忘れたくても忘れられない傷。
心の傷と向き合う、芳根京子さん演じる環菜と、北川景子さん演じる由紀の姿が、胸を締め付けました。
あと、中村倫也さん演じる迦葉の由紀に対する想いと、窪塚洋介さん演じる我聞の由紀に対する愛、それぞれに胸が熱くなりました。
環奈に面会に来た由紀とのシーンで、環菜が取乱すところがあるんですが、あえてサイレントで、動きと表情だけで表現されてて、とてもグッときた心に残るワンシーンです。
ストーリー的には、父と娘の間にある性的な問題、母と娘の心の距離、自傷、殺人、夫婦愛、兄弟愛…とっても複雑で難しい内容だったと思いますが、ちゃんと闇に光がさすのが見える終わり方で、私は久しぶりにエンドロールの間、余韻に浸りました。
とても素敵な映画でした。
印象に残ったファーストラブは?
逮捕された女子大生。殺された父親。「動機はそちらで見つけてください。」
公認心理師の由紀が本当の動機を探ろうと女子大生と面会を重ねていく。
情緒不安定な女子大生のウソかホントか分からない供述。
そして、徐々に見えてくる真実。
女子大生の過去が見えてくるにつれ、由紀の記憶の奥底に閉じ込めていた記憶も甦り・・・
テーマが非常に重く、考えさせられる作品です。何ともやるせない内容ではあるものの、少なからず何かしらの光と感動を最後には与えてくれます。
観終わった後、タイトルのファーストラブは果たして何を指していたのだろう?と考えていたが、よくよく考えてみると様々な形の愛が語られており、見る人によって印象に残る愛が変わってきそうな作品だと感じました。
自分にとっては子供への愛。
親の一言がどれだけ子供に影響を与えるのか。
自分は果たしていい父親ができているのか。
ふとそんな事を考えてしまいましたね。
北川景子VS芳根京子の演技合戦!
女優二人の演技に感嘆!改めて、演技力の高さに圧倒された。
男や家族に虐げられた少女の犯罪。しかし、環菜の存在は、それだけではなく、男尊女卑の社会が生み出した「呪い」ともいうべきもののように思う。由紀父の件も環菜の過去も、「その程度のことで…」と当人の痛みを意に介さないヒトもいるのではないだろうか。だからこそ、環菜は真実を語らないし、由紀は真っ向から「呪い」に立ち向かうのだ。そこが胸を打つ。由紀のエピソードもストーリーの横軸となり、作品に深みを与えていた。(支える夫の姿には、観てる女性としたらグッときたのでは)
主題歌挿入歌も、学生由紀(北川景子の表情よ!)にマッチしていて、雰囲気を盛り上げていた。
しかしながら、ミステリとして観たら一級品とは言えないかなぁ。芳根京子ちゃんの怪演はよかったけど、環菜が負った傷が、証言を翻したり激昂して暴れたりする理由と完全に結びついているかというと…。説得力としてはどうなんだろ。見方がひねくれているけど、ミステリ好きとしては、個人的に評価を下げざるを得ない…。
共感できるかできないかで評価は分かれる
原作既読。
登場人物たちに共感できるかできないかで評価が大きく分かれる作品かと思います。
古傷をえぐるような、観る人によっては、特に女性はフラッシュバックが起きるようなシーンもあるかもしれません。
過去と、自分と向き合うことになった登場人物たちがもがく姿に何度も涙しました。
演者さんたちもよかったです。
(子役さんが、嫌な気持ちになっていないか、ケアされていたかはとても心配になりました)
北川さんはこんな表情見たことない、という表情を見せてくれました。
この作品に出てくる多くの登場人物たちは混乱しています。
その混乱の原因がなんなのかを探ろうとすると、自分と向き合うことになり、さらには自分を傷つけたもの、かつて自分を傷つけた人間たちとも向き合うことになります。
傷をかさぶたにするために美しい記憶に改竄したり。
傷のこと自体を忘れようとしたり。
しかしそうするのは、生きようとしているからなんですよね。
この作品の登場人物たちにまったく共感できない、退屈だと感じたのだとしたら、それは幸せなことだと思います。
こんなことは普通はない、こんな男たちはいない、と思った人もいるでしょう。
しかし、これが当たり前のような世界で生きている人たちもまた、いるからです。
女性にはもちろん、男性にも観てほしい作品だと思いました。
「うーん」と唸ってしまう映画でした
予告が面白そうなサスペンス&中村倫也
ということで公開初日に見に行きました。
が、内容が内容なだけに良い意味でも悪い
意味でも「うーん」と唸ってしまいました。
映画のレビューとは関係ないかもですが、
今は治療に専念している清原翔さんも出演。
少しの間でしたが、やはり輝きを放っている
俳優さんだと感じました。テレビや映画で
また拝見できる日を楽しみにしています。
トラウマと後悔。これらが巧みに絡んでいく
結構、観終わった後、なるほど。。。と思わせる映画でした。
「ファーストラヴ、、かあ。。考えたな。。」と。
特に心理系の勉強や職種に関わりがある人は興味深い内容かと思います。
一人の殺人を題材として、多方面の関係者が過去のトラウマ、そして後悔を苦いり、
そして乗り越えていく映画です。
観ながら、自分にも何等かのトラウマと後悔というものがあり、
「あー、あの時あーだったなあ」などと思い出させてくれます。
配役もいいですね。結構あっていると思いました。
ポイントポイントでやはりこの役はこの人で合っていると思うところ多しです。
ラブストーリーではありませんが、誰しも共感する部分が多いこの映画、
ぜひお勧めします。
見どころは芳根京子の演技と北川景子の美しさ
北川景子は相変わらず美しいし、驚いたのが芳根京子の演技のうまさ。彼女こんなに上手でしたっけ?
一方で、物語的には今一つすっきりしません。
殺人被疑者の心の闇を解き明かそうとする公認心理師を北川が演じ、その夫と義弟の関係、主人公の過去を絡めて物語が進行します。
殺人被害者に関して、ペドフィリア(少女性愛)の被害という要素をはっきり出せばわかりやすいけど、児童ポルノの関係で中途半端にしか映画で描くことができなかったんですかね。
また、主人公の過去のトラウマが今一つ説得力がないというか、しっくりこない。〇〇に対する嫌悪感というのならわかるのですが。
ついでに言えば、△△の初恋の人が一度断った法廷での証言を行った動機の説明もないし、××の母親のリストカットも理由が不明。
原作は賞をもらった作品なのに、今一つすっきりしないのは何故でしょうか?
最後に一言、北川と中村倫也の学生時代の妙ちくりんなラブシーン。あれ何なんですかね?
胸くそ悪い
ファーストラブってタイトルがあまりしっくりこなかったので誰か解説してくれ…
告知でサスペンス要素煽りすぎたせいでこんなものかってなってしまった。
芳根京子の心の扉が結構緩かったのか、それとも北川景子の心理師としての腕が神業だったのか知らないが、結構あっさり真相がわかった印象。
エピソードが胸クソ話ばかりで、うけつけない人はホントに無理かもしれない。
芳根京子が今作のような役を演じると、あのキュートで可愛らしい大きくクリクリした目と丸い黒目があんなに怖くなるのかと思った。
終始どんよりした雰囲気ではあるが、窪塚洋介の優しさが全てを包み込んでくれる。
心の中を探る
大学で美術を教える父親を殺害した女子大生の聖山環菜(芳根京子)の事件を、公認心理師の真壁由紀(北川景子)が本人への面談や関係者を取材をする中で、彼女の心の奥底を探りながら、自分の過去とも向き合う話。
殺人事件と言えば犯人が誰かを推理するのを楽しむ場合が多いが、本作はその背景にある深い心の中を探る所に面白さが有った。
また、夫の弟で弁護士の庵野迦葉(中村倫也)の法廷での尋問も良かった。
夫、我聞(窪塚洋介)の優しい姿勢に癒される。
そして、ショートの北川景子が素敵だった。出産前最後の主演作かな?
良い意味で裏切られた、こういうテーマなのね
予告通り、、と話だと思ったらちょっと違った。
なるほど「ファーストラブ」ね。
女優二人の涙の演技はさすが。
芳根京子の狂気から○○の変わり方はさすが。
特に、北川景子の涙のシーンは、どれも違った印象で良かったです。
中村倫也は裁判シーンがカッコよすぎだね(笑)。
さらに窪塚洋介は力の抜けた男前です。初め、誰か分からなかった。カメレオンというか。いい役者です。 これからもずーと観ていきたい。
板尾創路がお父さんなので、こういうテーマなのかなとは思っていましたが、最後は予想を裏切られてしまった。
Uruの歌もいいなぁ。
挿入歌とエンディングの両方とも良い曲。
ただ、MVか!という感じもして、ちょっと出しすぎというか。ちょっと気になった。
堤さんの演出も良かったです。
重々しいテーマで、その通りに映像にすると問題があるようなシーンも、ちょうど良いと思った。もう少しグロテクスに描いてもいいかもしれないけど、デリケートなテーマなので。原作はどこまで踏み込んでいるのか。
セリフ以外の表情や振る舞いなどで感情の変化が出るのは、スクリーンに集中して気が散らない映画ならでは。
少しずつ解けていく本当の心
父親殺害容疑がかけられたサイコパス少女、なぜ彼女は父親を殺したのか?
時間をかけて少しずつ明らかになる事件の真相に、なんとも言えない気持ちになるサスペンス。
芳根京子さん演じる環菜の閉じ込め切った心が少しずつ解かれていく様が、環菜にのめり込んで自分を追い込んでしまう由紀の心情と併せて、丁寧に描かれていました。
悲しいときや苦しいとき、心の内を言葉に出せずに生きている人も少なくないと思うし、何が救いになるか一概には言えないけれど、求めるものは愛なのかなと思います。きっと環菜にとっての初恋も、悲しみや痛みだけではなく、少しの間でも安らぎや愛が感じられたから、特別なものだったのではないでしょうか。
心は脆くて人によって簡単に傷付けられるけど、寄り添って理解してくれる人がいるだけで救われる。
改めてそんなことを思う作品でした。
見捨てる親と手を差し伸べる他人
過剰さを排除した演出に共感。作り手のエゴに左右されず真っ直ぐ作品のテーマに向き合えた気がします。
殺人事件の加害者とされる人は100%その人が悪いのでしょうか?
ニュースで切り取られた一部分だけで安易に加害者を非難することはよくあります。その背景も知らず。本作は父親を殺した娘の動機を探る話しですが、とても納得出来たし救われました。
子供は親や幼少期の環境を選ぶことが出来ません。親から愛されて育つ子もいれば、愛を知ることなく居場所を見つけることが出来ないまま歳を重ねる子もいます。
父親を殺害したことによって娘は初めて本当の愛を知ることになります。彼女を本当に救おうとする臨床心理士の女性によって。
愛は親だけから享受するものではない。
堤幸彦監督は『SPEC』に代表されるやり過ぎ演出も魅力ですが、前作『望み』でも感じた作品のテーマに寄り添い過剰さを排除した演出も素晴らしく魅力的です。
女性の叫びのような
これは理不尽な暴力や無遠慮な視線にさらされることを我慢してきた女性の叫びを凝縮した映画なんだと思った。女性の大半が多かれ少なかれ、大なり小なり味わってきた嫌悪感だと思う。男子大学生が罪の意識を持ってないところが象徴的。そしてどっちの母親も気持ち悪い。同じ女だからこその気持ち悪さ。でもこのお母さんたちにも同情できないわけではない。
我聞さんのような人がいたら環菜ちゃんも救われただろうな、と思う。裁判での10年越しの謝罪は彼女がようやく救われた瞬間だったのかな。救われるのに10年もかかってしまったことは悲しいけど。
だいぶ削ぎ落としているハズなのでいつか小説も読んでみようと思うんだけど無意識に受け流してきたモノを思い出すことにもなりそうなのでちょっと怖いような気もする。
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