「擬似的な自死」ファーストラヴ Kさんの映画レビュー(感想・評価)
擬似的な自死
クリックして本文を読む
以前から小説を読みたいと思っていたが気力が湧かず、映像になったので気力を振り絞って行く。絡まった連立方程式は綺麗に解けて丸く収まり、現実のおぞましさを少しだけぼかし、社会派サスペンスを基軸にしながらもながらも観る人の視点によって違う捉え方ができそうな多角的な構造は素晴らしくよくできていた。こちら側の人間と自分で言うのはおこがましいが、その端くれとして楽しめたのはトラックのシーンで、あのように人生の鍵となる二人の男の前で死んでいたらどんなに幸せだったろうと思わずにいられなかった。擬似的な自死の果てに生まれ変わってみたいものだという欲を満たすに十分だった。もちろんラストシーンもひねくれて捉えるなら擬似的な殺人に擬似的な罰という癒しに見えなくもなかった。
コメントする