「ファーストラヴとは…?」ファーストラヴ bunmei21さんの映画レビュー(感想・評価)
ファーストラヴとは…?
島本理生の直木賞受賞作品の映画化。原作を既読のため、内容や結末はわかっていたが、『ファースト・ラヴ』の響きが持つピュアな恋心とは裏腹に、幼少期のトラウマからの殺人事件を描いている。しかし、単なる殺人ミステリーとしてではなく、堤幸彦監督らしいヒューマンドラマとして、人間の深層心理に迫るストーリーを、見事に描いている。
そう思わせたのも、主役の北川景子をはじめとする役者さん達が、とても良い味を出していたからかな。北川景子と中村倫也の二人については、現代から大学時代の初々しい青春像も含めて遜色なく演じている。窪塚陽介も、懐の大きな愛で妻を包み込む穏やかな夫役を演じ、普段あまり見られない役どころだった。
特に、素晴らしかったのは、芳根京子。現在放映中の『君と世界が終わる日に』でも、他の役者とは秀でいる演技を見せているが、本作でもトラウマを抱え、情緒不安定な加害者役になりきった迫真の演技を見せていた。
ストーリーは、画家の娘・環菜が、幼少期から厳格な父のあまりに理不尽な養育に従う中で自分自身を責め続け、その行き場のない憤りは、アナウンサーへの就職活動にまで反対された父の殺害によって淘汰されるところから始まる。それは、美しい娘による父親殺人は、センセーショナルな事件として世間を賑わせた。
その事件についての書籍出版を依頼された、臨床心理士と弁護士であるその義弟と共に調査や面会を始める。そこで明らかになったのは、環菜は幼少期から父親のアトリエのモデルを強要され、父を含めて、様々な男達の歪んだ性愛の視線に曝されてきた事実であった。また当時、唯一心を開き、信用していた男性からも、結局裏切られトラウマを抱えてきた。
本当の心の居場所を探る中で、自分自身を欺き、自分の本当の気持ちを封印して生きてきた環菜。実は、その中に、事件の真意が隠されていた…。
それにしても、北川景子はどんな役をやっても、どんな年齢を演じても美しい!
れいすけさん(^^)コメント、ありがとうございます😊
環奈の奥底に潜む、闇が次第明らかになっていく芳根京子の演技は、北川景子以上のものを感じましち。
bunmei 21さん、はじめまして。
環奈の隠してきた気持ちが少しずつ開かれて徐々に問題が明らかになっていくところも見どころでしたね。北川景子がショートカットがよく似合い一段と美しい作品でしたね。丁寧でまとまりがあり読みやすい文章ですね。