「中国とアメリカが絡み・・・」PMC ザ・バンカー kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
中国とアメリカが絡み・・・
途中から監視カメラ映像やCIA本部のやり取り、そして出産間近の妻との電話を指令室で世話しなく切り替えるエイハブ隊長。地下トンネルの複雑さも相まって目が痛くなるほどだった。9割くらいはこの地下映像が占める。
2024年の近未来。序盤では、アメリカ大統領が再選を目指すために北朝鮮の非核化を画策していたようだが、その核施設の座標を吐かせるという目的で北朝鮮の最高指導者“キング”を確保せよというものだった。何もかも仕組まれたスカッドミサイルとPAC3の攻防。しかし、失敗するとみて、アメリカ(そして多分全世界)でラプター16の隊長エイハブがキングを暗殺したというフェイクニュースが流れたのだ。汚名を着せられたエイハブは生き証人でもある捕獲したキングに真実を語ってもらおうと指令室に連れてくるのだが・・・
隊員の裏切り、米政府のフェイク、そして陰には中国の陰謀と恐ろしい罠が待っていた。米中の経済逆転というリアルな設定や大国の思惑の間に取り残された傭兵の物語。いや、マッケンジーが操るCIAステーション10だって信じられないという悲観すべき状況下、とにかくキングには生きてもらわなければならないのに、なんと死んでしまった・・・という最悪な展開。キングの主治医だけが頼みの綱となった。
傭兵たちは次々と倒れ、ラプター16のバンカーも空爆のピンチ。蘇生術を医師に教えてもらいながら、苦戦する。こりゃ、キングもエイハブも闇に葬られるぞ!という中、戦友を救うことの意味を問うかのような物語に変化してゆく。エイハブは元韓国軍在任中にパラシュートで事故を起こし、片足を失っていたのですが、これも新米の戦友を助けるためだったのだ。自分が生き残るためには友も犠牲にするか?と観ている者に問うてくる・・・しかし、映像などの安っぽさ、大統領演説に迫力がないことなど、全体的には不満足。「北朝鮮人!」と呼ばれる医師を演ずるイ・ソンギュンは『パラサイト』でもユニークな富裕層を演じていたが、この作品でもいい演技。ハ・ジョンウよりもよかった。