「浅草の次は銀座で良くない?」サイレント・トーキョー ゆり。さんの映画レビュー(感想・評価)
浅草の次は銀座で良くない?
邦画でテロを扱ったもので傑作に出会ったことが無いので、期待はしなかったですが、渋谷のシーンが凄いらしい、というので鑑賞しました。渋谷の街や群衆の再現は本物みたいでしたが、そのほかはリアリティはあまり感じません。
実際に爆発物が仕掛けられた可能性があるのに、封鎖があんな狭い範囲で、近隣の店も休業させず、機動隊はどこに行った?それに、一昔前ならともかく、現に世界でテロ事件が起こっているのに、さすがに呑気に見に行く人は少ないでしょう。爆発は迫力がありましたが、ちょっとSFっぽかったです。
話は説明が足りないのでわかりにくかったのですが、こういう事でしょうか。
恐らく20年以上前、朝比奈は、国連軍の地雷処理部隊の先輩が帰国した時に妻と東京観光をする為のデートプランを作った。しかしそれは実現する事無く先輩は自殺し、自身もPTSDで離婚した朝比奈はその妻山口アイコを心配して時々連絡を取っていた。そして今年のクリスマスイブ、アイコがそのプラン通りに観光している時に事件は起こった。犯人は誰?目的は?これで合ってます?
犯人の動機は浅いですが、それは気になりません。テロリストの動機など私に理解できるはずもなく、失われる人命の重さに比べれば非常に軽い理由で大量殺戮をするのがテロリストなので。
ただ、本作の、戦争に巻き込まれて死ぬ命は重く、テロに巻き込まれて死ぬバカの命は軽いかのような描き方は好きじゃないです。予告と違う場所が爆破される方が良かったですね。
違和感をもう一つだけ書きますと。
若かりし頃の佐藤浩市さんが作ったプランが、浅草寺にお参りした後、恵比寿ガーデンプレイスでショッピングして、サンドイッチのおいしいカフェでお茶してレインボーブリッジって、全然ピンと来ないです。
第一、恵比寿は遠いし。
浅草の次は銀座でショッピング、じゃないですか?(笑)
共感&コメントありがとうございます。
確かに本作を観ると、日本人の危機意識の甘さがよく分かります。
爆弾は爆破するもの、コロナは予防しないと感染するという危機意識が圧倒的に不足しています。
危機意識というのは、危機に対する想像力だと思います。
現時点のコロナ感染状況で、コロナ対策のたのマスクを、いつ、どういう時に付ければ良いのか。過去のコロナ感染期間で養われたはずの想像力が問われる時だと思います。
では、また共感作で。
ー以上ー
hachi様、コメントありがとうございます。原作はどうなんでしょうね。爆弾を仕掛ける場所は恵比寿と渋谷で良いと思うんですが、どうしてデートコースと同じである必要があるのかがわかりません。
bacchus様、ご賛同ありがとうございます。朝比奈は「俺も田舎もんだから、定番の観光コースしか思い浮かばなくて」と言ってました。あのルートだとロケバスで回る人たちが見栄えのいい場所を選んだ感じで、観光するには不向きだと思いました。
kossyさんの見方は深いですね。込めたいメッセージは幾つもあったのでしょうが、私は映画の出来は良くないと思いました。99分にこだわるより、ドラマをきちんと仕上げた方がメッセージは伝わりますが、短い方が緊張とスピード感が持続できると考えたのかな。
彼の家に行ったことが地雷なのか、彼を選んだことが地雷なのかの二択ですね。気になるところがあるのでもう一回観てもいいかな~なんて思ってますが、原作を読んだ方がいいのか・・・迷います。
動機に関してはPKO法案が可決された時期とか、PKOの日報隠蔽問題とか、いろんなことが頭をよぎりました。
自衛官の自殺って毎年50人くらいいるらしいので、それもテーマの一つかもしれませんね。
あのコメントでお察しいただけるなんて、流石です。
私はハヤカワ文庫の1979年版で読んだので、訳の言葉遣いが結構古くて笑えるところもありました。ただ、最先端の家事手伝いロボットという意味合いだと思いますが、〝文化女中器〟みたいに今だと差別的な表現も含まれているので、時代を感じました。結果的に過去と未来の違いを醸し出すことにもなってました😄
ゆり。さん、コメントありがとうございます。
「地雷を踏んだ」って?ありましたっけ(汗)
結構カットされてるみたいなので、伏線もどこかでカットされてるかもしれませんね。原作も読んでみなきゃかな…