ミッドナイトスワンのレビュー・感想・評価
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心に響いて優しい気持ちを余韻に残す映画
主人公がトランスジェンダーという事情で生き辛さを抱えているのだが、この作品の登場人物殆どの人が何らかの生き辛さを抱えながら懸命に足掻きながら生きていると感じた。脚本を書いた内田監督始めキャスト、スタッフ全てが、この登場人物…特に凪沙と一果を愛していて、2人の優しくて儚いラブストーリー(男女愛だけがラブストーリーじゃない)を美しさと残酷さと至極なバレエシーンで表現している。
中盤からの展開に賛否両論あり、トランスジェンダーを感動ポルノ扱いだという方も居るが、監督キャストスタッフ皆、凪沙と一果を愛し、彼女らの物語の中から色んな想いを馳せてほしいエンターテイメントと感じた。
私個人としては『感動ポルノ』は某チャリティ番組のようなドキュメンタリーで実在の人物を出演させて人々の感動を呼ぼうとする行為の方に感じてしまう(個人的意見)からだ。
キャスト陣のドキュメンタリーを感じてしまうような演技に『感動ポルノ』と表現してしまいそうだが、演出意図として音楽や役者の如何にもの芝居から泣かそうとしているように感じられない。
その為か、観賞後の余韻が登場人物の行く末や幸せであってほしいという優しい気持ちになってしまうのかもしれない。
キャスト…主演の草彅剛さん、期待以上の素晴らしさ、御本人は見当たらず、男性の扮装になっても凪沙の眼であったのに驚き、対するヒロインの一果役服部樹咲さんが素晴らしい…初演技とのことだが、初めから一果の心情の変化や態度、服装、眼や表情から伺えて、監督の演技指導、順撮り、本人の真摯な吸収しようとする姿勢、共演者との芝居なキャッチボールの賜物ではないか…特技のバレエは素人の目から観てもなかなかのモノ(下手な所から上手くなっていく段階も絶妙)とお見受けし、今後も活躍が楽しみな俳優の一人となった。
一果の友人りん役上野鈴華さんも素晴らしいバレエと一果との友情や嫉妬心を描いて、いてとても良かった。
バレエ講師実花役真飛聖さんは、今作一フラットで偏見の無い役柄で、台詞のさりげない一言から作品の優しい空気をより一層高めてくれた。凪沙の笑顔を引き出した時のセリフがもう絶妙。
一果の母早苗役水川あさみさんのやさぐれて僅かに残る一果への愛情が独りよがりで…絶妙な心情を上手くやっていて、憎らしさもとても良かった。
出演キャスト皆さん素晴らしく違和感無く作品に没頭できる演技と言えないくらいに自然でした。
渋谷慶一郎さんの音楽も素晴らしく、要所要所に演技に寄り添って世界観を高めてくれる。サントラが売れていると聞くのも頷ける。
映画の後半の展開が早く観る者の想像の余白が多いので、気になる者は小説を購入してもいいかも…
が、私は映画の終わり方が好きではある。
キャストの感情が揺れ動く眼の芝居、圧巻のバレエシーンを考えると、このコロナ禍でも劇場に脚を運んで観ることを是非ともお薦めしたい映画であることは確実です。
予想以上に深い作品
観賞前に60秒予告を観て
セリフのない100秒を観ただけで
予想していなかった世界観だと思って
映画館で本編を観て
さらに作品の深さにどんどん引き込まれて
いきました。
凪沙の女性として暮らす
小さな幸せと現実の生きづらさ。
草彅剛さんの演技を通り越した
凪沙としての生き様が
見事でした。
これほど違和感なく演じられるとは、、、。
一果の目や健気さ、バレエへの執念
服部さんもまた一果そのものでした。
2人の心が寄り添う時間
美しさと逞しさをずっと味わっていたかった。
観てからこうして感想を書けるまで
時間がかかってしまうほど
言葉にするのが難しいくらい
深く、切なく、美しい映画館でした。
凪沙のことが頭から離れないので
また、観に行きたいと思っています。
心にいつまでも残る名作
ありがとう。凪沙、一果。そんな気分。
凪沙、美しい人。
性的マイノリティという途方もない葛藤と深い苦しみと生きづらさを見事に体現した草彅剛、本当に素晴らしかった。
この容赦ない世界で独りで生きていくには強くなるしかない。高いヒールを履きこなし裏町を生きるその姿は強くて、厳しくて、どこか哀しげで、でも人間味があって、優しくて。
凪沙という一人の女性が歩んできた人生を想って胸が熱くなった。
誰だって自分のことで精一杯。毎日少しずつ貯めたお金を眺めながらため息をつく。これが一杯になったらこの人生がいかばかりか輝くのだろうか。
霧がかった凪沙の日常に一果が光を与えてゆく。天使の羽を身に纏いくるくると舞いながら。凪沙の瞳がその眩しさに吸い込まれてゆく。それはなりたくてもなれなかったもう一人の自分。
二人でバレエの練習をするシーン大好きです。まるで親友のように。姉妹のように。母子のように。この柔らかな時間がずっと続けばいいのに、そう思った。
一果役の服部樹咲ちゃん。初々しかった。バレエシーンもめちゃめちゃ見応えあります。
切ない映画だったけど、別れと悲しみと生きてゆく勇気と間違いなくそこにあった愛を持って、一果が自ら切り開いた道を真っ直ぐに歩いていく。
そして真っ白な白鳥の衣装で堂々と力強く舞い踊るその崇高さにいつまでも拍手を送りたくなった。
圧倒的な佇まい
めちゃくちゃ良かった
15分の予告を見て、すぐに見に行きたくなって一人で見に行きました。
悲しいけれど、幸せも感じられる、あたたかな気持ちにもさせてくれる、「見に来て良かった」と心から思えた映画でした。
主人と一緒にまた見に行きたいです。
雑な描写が気にならない方向け
究極に美しい映画
言葉なき2人の目指す居処
世界で戦える作品
各界の著名人・鑑賞済みの方達の多数の称賛によって上がりきったハードル。見事に超えました。さすが草彅剛にハズレ無し。号泣まではしなかったけれど静かな涙が止まりませんでした。
観終った後の余韻もすごいです。まぎれもなく凪沙というひとりの人間が存在していました。佇まい・表情・一筋の涙・鼻水‥特に目に魅了されます。
もう一人の主役ともいえる服部樹咲さんも素晴らしい。一果の変化・成長を見事に表現。バレーシーンの美しさと素人目にもわかる技術の高さはストーリーに説得力をもたらします。
他のキャストの皆さんもとても良かったし、渋谷慶一郎さんの音楽が抜群に素敵です。
後半部分には賛否があるようですが、決してお涙ちょうだい的な無理な演出とは感じませんでした。説明的な台詞がなく早い展開でシーンが変わるため観る側の想像力が求められます。良い点でもあり、わかりにくいという感想にもつながるようですね。監督による小説版によって補完できるところも多いので消化不良の方にはおススメです。
気持ちの変化
忘れられない映画になりました。
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