劇場公開日 2020年9月25日

「重くて痛くて、それでいて強く優しく美しい」ミッドナイトスワン Pegasusさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0重くて痛くて、それでいて強く優しく美しい

2020年11月29日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

クチコミで話題の『ミッドナイトスワン』
ついに、観ました!

てっきり虐待を受けた少女とトランスジェンダーの主人公の交流を描いた感動作かと思っていたけど、トランスジェンダーの実状を禁忌とも言える領域まで克明に描いている重く深い衝撃作だった。
なんだか『37セカンズ』を想起させられた。

性別って違うだけで結局人間なんだからそんなに大きな差は無いと思ってたんだけどやっぱり決定的に違う「何か」があるんだろうね。
子供のときから「なんで私はスクール水着じゃないんだろう」と思うということは感覚なのか体なのかそれともまた別な「何か」なのか。
これだけは死ぬまで絶対に分からないよな。

そしてその「何か」を感じてしまう作中でいうと「私達みたいな人達」って本当に可哀想だなって。
好きでそう感じてる訳じゃないし、自分の中で女になっても書類上は「男」だし周りから見たら「オカマ」だから対した就職も出来なければ、対した恋愛も出来やしない。
本当に不公平だよな。
今LGBTがあれこれ言われていることがやっと理解できた気がする。

ただストーリー的にはちょっと物足りない、というかそっちじゃなくない?って感じ。
なんか重くしたいが故に結構派手な展開が多くてちょっと違和感を感じたし感動が薄れる。
もうちょいで泣きそうなのにそこで切るか!ってなった。
個人的には凪紗と一果の交流をメインでそれにバレーが花を添えるって感じにして欲しかった。
まあでもメッセージ性や社会派要素は薄れるからこれで良かったかもしれないけど。

でそれを体現した草彅剛と服部樹咲が凄すぎる!もうオーラがすんごいのよ!
いるだけで味が出るし演技がなんか自然過ぎて間違いなく私は凪紗と一果を観ていた。あれぞまさしく「体現」!
この2人のこれからが楽しみ。

この映画に未熟者が点数を付けていいのか分からないし正当な点数を付けられるか分からないけどあえて点数をつけるならば、☆4かな。
ホント未熟者の点数なんであんまあてにはしないで下さい。
減点ポイントはやっぱりストーリー展開とラストの着地点かな。
なーんか物足りなさを感じたんだよね。
初見で内容が衝撃的だから理性がついていかなっただけかもしれないけど…

この映画の余韻からしばらくは抜け出せそうにない

Pegasus