「魂の叫びが満ちていた」ミッドナイトスワン ちいさなせかいさんの映画レビュー(感想・評価)
魂の叫びが満ちていた
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凪沙が通うクリニック、いやらしいな。おそらく自由診療のバカ高い注射を毎週毎週打ちながら手術も勧めてくる。人の弱みにつけ込んでぼったくりのにおいぷんぷん。ショーパブの稼ぎは「女として見られたい」という気持ちに吸い取られていく上、弱いもの同士助け合い、そりゃ手術費用はなかなか貯まらないわ。それでも一果の才能と夢のために自分のことは二の次で精一杯支える凪沙。その心は紛れもなく母だよ。でも産みの母と対峙するには女の身体が必要だと思い詰めたんだよね。切ない。一果を諦められないならあんなに弱ってしまったのは解せないけど。だから私は凪沙は死んでないと解釈してる。海で沖へ向かう一果を力を振り絞って助けたはず。弱っていたのは心でバレリーナとして成長していく一果を見るために回復に向かったと思いたい。甘い?エンドロールのラスト、そういうことでしょ。りんちゃんの飛び降りはちょっと余計だったかも。人の死はもう少し慎重に扱って欲しい。もしも凪沙も死んだということなら、死を美しく描き過ぎなのも気になる。でも、全編に渡り自分らしくあるためにもがき続ける凪沙と一果の魂の叫びが満ちているのが良かった。
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