「見る側によって正解が異なる映画」ライトハウス らびさんの映画レビュー(感想・評価)
見る側によって正解が異なる映画
この映画の寸評を書くのも製作者側の意図から外れるとは思ったものの、その辺りに触れた寸評が見受けられなかったので視聴から時間が開いたものの書くことにしました。
個人には心が揺さぶられる映画でした。
人が狂っている様を主人公視点で上手く表現しています。
個人的に映画を見る際に俯瞰で楽しめる方だと思っていたが主人公視点の狂気を見ているうちに自らが狂っていってるかの様に感じてしまいました。
一連の答えは映画の中では一切語られません。
エンターテイメント作品に慣れた映画ファンには意味不明に感じるだろうが、この映画を見てその様に感じる人はその感性がこの映画は合わないということでしょう。
別の映画の話になりますが某評論家の動画にて、アニメ映画版の火垂るの墓の冒頭のシーンとラストシーンは繋がっているのですが、その大事な部分を大半の方々は覚えていないといいます。だから製作者の意図とは異なる反戦映画やお涙頂戴映画という解釈を勝手にして映画を語ってしまうらしいですね。作り手の意図がエンターテイメント作品ではないとしていても勝手にエンターテイメント作品として脳内補完して誤った見解を導いている例になります。
この映画はその脳内補完すら許しません。だから合う合わないがはっきりするだろうし、映画の感じ方は人それぞれとなるのでしょうね。主人公がどこから狂っていたのかが見る人によって異なるというのがこの映画では正解だと思いますね。
あと白黒映画としているのは泥と血の判別が見る側が付けられないという意図を感じます。とにかく見る側にその判断を委ねるというスタンスは見事だと思いました。