「不穏な怪奇な迫力」ライトハウス nakadakanさんの映画レビュー(感想・評価)
不穏な怪奇な迫力
白黒の映像に、汽笛のような重く響く耳障りな音と、不穏な空気が嫌と言うほど漂っています。
規則よりも俺流のやり方を偉そうに語る粗野なベテラン老人に、肉体労働を押し付けられる新人。
不満を抱きながらも過酷な肉体労働をこなす新人ですが、それを先に言えよとか、危険過ぎるだろとか、老人からの嫌がらせのような扱いが酷いです。
しょっぱなから老人が屁をかましまくる場面も秀逸で、滑稽ながらも、この人と二人きりで4週間も生活しないといけないのか……、と嫌な気分にさせられます。
殺伐とした島で淡々と過酷な労働に従事する様も、悲哀を感じます。
この環境では、精神的に追い詰められるのも分かるような。
しかし、その過酷な労働環境に、夢か幻か分からない怪奇なものが入り混じり混沌としていき、最後まで観て、正直、どこまでが幻でどこまでが現実か、よく分からなくなりました。
そもそも新人が真面目に肉体労働をしていたのも妄想なのか、老人が嘘をついているのかも、よく分かりませんでした。
ラストシーンも、何故そうなるのか、これは現実なのか?呪いなのか?と。
老人は死神のような存在で、罪人を連れてきてこき使う罰の場なのか?もしかして新人はこの状況をループしているのか?とか想像しましたが。
神話がモチーフになっている部分があるようで、そういうところに詳しかったらもっと面白かったのかもと思います。
よく分からないながらも、二人の説得力のある演技や、不気味さを増す映像など、不穏な怪奇な迫力は楽しめました。
ウィレム・デフォーの下卑た威圧感は貫禄があり、ロバート・パティンソンの不服を堪える繊細な演技から怒りや混乱の激しい演技と変貌ぶりも見応えがありました。
クライマックスの灯りを見る場面も、正直何が起こっているのかはよく分かりませんでしたが、人知を超えたものに触れてしまったような、奇妙な表情や映像が異様な迫力でした。
ちなみに、この作品は以前から気にはなっていましたが、白黒映画で限定空間の二人芝居らしいということで、眠くなるかもしれないし劇場で観るのはやめとこうかなと思っていました。
しかし、好きな漫画家の伊藤潤二がパンフレットにあらすじ漫画を描いていると知り、パンプレットが欲しくて観に行ったものです。
異様な雰囲気で眠気には襲われず、無事に最後まで観ることができました。
パンフレットについては、7/15に大阪なんばのTOHOシネマズなんば別館で観ましたが、パンフレットは完売で買えませんでした。
が、梅田の大阪ステーションシティシネマの方にないかと思い行ってみたら、まだ販売していたので、買うことができました。