「「The Fugitive」の現代進化版」ブラック アンド ブルー h.h.atsuさんの映画レビュー(感想・評価)
「The Fugitive」の現代進化版
話の展開やタネの仕掛けは「逃亡者」には及ばないかもしれないが、スピード感や捕まったら即殺されれる緊迫感はこちらの方が一枚上手。
本作の内容は「捕まったら最後のリアル鬼ごっこ」。複雑なストーリーは皆無だが、逆に素直にスクリーンに引き込まれる面白さがある。新米警官ながら2回のアフガン派遣の元軍人の設定がアクションの説得力を持たせている。
昨今の事件やデモを通じて、白人警官の黒人への暴力がクローズアップされている。WSJによると、NYPDの非白人警官の比率は5割を超えているような一見ダイバーシティが進んでいるようみえて、いまだに白人警官による黒人警官への差別や嫌がらせが続いている。くだんの路上での暴行事件と本質は同じだ。
本作でも、主役のウエストはいきなり白人警官から通りで不快な職質を受けたり、署内のなかでも女性の黒人警官ということで不当な扱いを受けている。
作品はシンプルながらも、背景の米国の社会差別や貧困、人種の分断構造は丁寧に描いている。
BlackとBlueは映画のタイトルになるほど、米国社会ではまだ「普通」な関係ではないということなのか。
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