花束みたいな恋をしたのレビュー・感想・評価
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菅田将暉の演技にゾクゾク♡
少女漫画原作の恋愛ドラマや映画化が多い中、大学生から25歳までのリアルな恋愛を描くオリジナル脚本 さすがは坂元裕二。私とそう変わらない世代なのになんでこんなに若者の感覚がわかるのだろう。
【二人の恋の入り口】
夢中になって大学も就活もサボって彼氏の部屋に(ベッドに)入り浸り食料がなくなって3日目に外に出る、とか。自由な時間の持てる恋愛初期にあるある!
【二人の愛の終わりの始まり】
焼きそばパンの美味しいパン屋さんが閉店になって麦にLINEで報告する絹。返事は「駅前のパン屋で買えばいい」
共感が欲しい“女“性と解決策を提示したい“男“性。相手への熱が覚めた男女の食い違い あるあるの場面だ。
病気になったり、ライバルにいじめられたり、親の大反対にあったり、貧富の差があったり、
そんなドラマにありがちなネタが一切なく淡々と麦と絹の日常をのぞいているような展開に物足りなさを感じる観客もいるだろう。韓国ドラマとは大違い。
けどその分、ドラマは普遍性を帯び老若男女誰にでも共感が得やすい。
加えて主演の2人もおそろしく自然に見える。有村架純は可愛すぎてアイスクリーム店にこんな可愛い子いたら話題になるに違いないと思うけど、対する菅田将暉はカッコいいオーラ消してフツーの20歳代男子。こういうとこ菅田くんてさすがですよね。
最後のファミレスでいつもの2人の席に若いカップルが座り昔の自分たちと同じようなやり取りを始める。それを聞いた麦「別れたくない、まだやれるんじゃないか」という思いが自らの中で断たれ瞼を閉じて涙を流す、この菅田くんの演技にゾクゾクさせてもらいました。
花束がドライフラワーになっても
若い時に見たかった!
10代後半、20代の人は見たほうがいい!
恋愛の終わり方のお手本みたいな映画。
あんな終わり方出来たら そりゃ花束みたいだった。と振り返られるだろうな。
多感で大人の仲間入りしたあたりの頃、
好きなものの良さを共感できることが「特別」と思って、毎日距離が縮む美しい日々
いつしか、相手が自分の求めている人ではない、、という時期を経て、浮気したり傷つけあって、
結果、
あーあ、娯楽をそのまま楽しめる世界
社会人になってもパズドラ以外する気がわかないとかじゃない世界
人間らしく娯楽を楽しむ余裕がずっとある世界があれば違ったのかな。って思うのが現実
あんな真っ直ぐ感謝を伝えて終わるなんて最高の終わり方だな。という感想です。
最後の空気みたいになる結婚をしたいという麦くん。
しなくて正解!選ばなくて正解!ワンオペ育児で喧嘩の日々も容易に想像できちゃう。
40代になった私はそう思って想像できました。
新しい人と新しい時間ができても、それでもやっぱり
でも、ドライフラワーになっても 昔の花束の時間は輝いていて、宝物です。
やがて枯れゆく"恋愛=美しい花束=ファミレス"を見事に示した映画
清原果耶ちゃん贔屓の僕なので、もちろん観に行こうと思っていた映画なのですが、公開直前になっても清原果耶ちゃんの場面写真が上がってこない、予告編にも出てこない、果たして本当に彼女は出演するのか?なんで3番目にクレジットがあるのか?非常に不思議な気持ちで映画館に向かいました。
坂元裕二脚本の連続ドラマは、「それでも、生きてゆく」「最高の離婚」「Mother」「カルテット」「いつかこの恋を思い出すときっと泣いてしまう」は観ています。特に「最高の離婚」と「カルテット」が大好きです。とにかく情報量・固有名詞の多い会話劇、かといって状況説明をしてしまうのではなく、関係ない話をしているように見えて登場人物の内面や趣味趣向などを明らかにしていき、物語は確実に前進しているという、明らかに鬼滅の刃とは一線を画す作品ですよね。ながら見を許さない。だからこそ視聴率に苦しんでも熱心なファンがつく。そう見ています。
ということで、この映画なんですけども、本当に最高でした。パンフレットを購入するくらいに。良かったです。恋愛映画は障害やカセなんかなくても面白い、キラキラしてなくても面白いことを示してくれた一本でした。
冒頭からこれだよな…って入りでしたね。一つの音楽を二人でイヤホンを分け合って聞くカップルに対して、菅田将暉と有村架純が交互に言い合っていく。意訳ですが、イヤホンで聞く音楽は右耳と左耳両方で聞くことで完成される。分け合ってたらいい(正しい)音楽なんて聞けない。恋愛もそうだ。持ちつ持たれつなんてない。
二人の出会いのシーンは、終電を逃したことから始まるんですが、それまでにモノローグでそれぞれの登場人物の考え方や趣味趣向が明かされていくんですが、これがまた坂元節満載で。固有名詞がバンバン出てくる。「2014年ブラジルワールドカップで開催国なのに大敗したブラジルよりは最悪ではない」という自己内省なんて最高に坂元脚本でした。終電を逃して、二人の趣味が近いことにものすごく共感を覚える。ライブチケットを取っているお笑い芸人も、文学や音楽の趣味趣向も合っていることに運命を感じていくわけですけど。
社会人になって決定的に考え方の面で違いがあることに気づいていくんですよね。菅田将暉演じる男の方は、関係の現状維持こそ大事と考えていて、趣味は社会人の忙しさによって少しずつ楽しめなくなっていったり、ビジネス書に興味を持ったり(ビジネス書が悪いのではなく、彼女の趣味趣向とは異なっている)、別れを決意して臨むシーンでさえ「結婚しよう」ということで、恋愛関係ではなく生活共同体としての生き方を維持しようとする。この生き方もわかる。一方有村架純演じる女の方は、就職氷河期の中転職もできる、趣味に費やす時間もしっかりと確保できる、「楽しいことしかやりたくない」と主張するからこそその生き方もちゃんとできている、恋愛関係にもそれも望んでいる。この生き方もわかる。
結局、趣味や好きなことが一緒ということで混ざり合っても、年月が減ることに美しさは減っていく。また、最も大事な根っこの部分、考え方が合わなかったら美しさはさらにすごいスピードで衰えていってしまう。これこそ"花束"と"水"の関係に象徴されるものだと思いました。バラを100本とはよく言いますが、花束と言われると色々な花をきれいに調和させて作るものだと思うし、実際にこの作品のエンドクレジットでに出てくる花束も一つの花だけでできたものではありませんでした。時間とともに花は枯れる。水がなければもっとすごいスピードで枯れる。ずっと咲き続ける花束はない。恋愛もそんなところなんだろうなと苦しくなる。
告白のシーンも別れのシーンもファミレスなんですけど、ファミレスという場所も花束的な意味合いが強いと思っていて。つまり専門店とは違ってファミレスにはいろいろな料理がある、ドリンクバーなんてまさにそうで。趣味趣向の混ざり合う場所といっていいんじゃないかと思うし、そこで主人っ港の二人が心を通わせ合うのも遠ざかってしまうのも必然のような気がしてきます。
別れのシーンなんですけど。5年間の出会いと別れを描いたと予告編で言ってるわけですから、別れるってわかって見てるわけで、観てる側としてはかなりハードルが上がった状態なんですけども。そこに出てくるのが清原果耶ちゃんなんですよね。この演技が実に見事。詳しくはネタバレになるので言及できませんが、菅田将暉さんと有村架純さんだって若いはずなのに、あのキラキラした感じにはもう戻れないんだという栄枯盛衰を示すには最高のシーンだったと思います。思わず涙を流してしまいました。
菅田将暉と有村架純がちゃんとその辺にいる人に見えるのが素晴らしいです。これも演技力の賜だと思います。何度見ても面白い新たな恋愛映画の傑作の誕生を実感させられることでしょう。
現実はロマンチックなだけとはいかないラブストーリー
特別なことが起こらない恋愛映画
大好きな坂元裕二脚本作品でハードルを上げ過ぎたせいか少し期待外れでした。
印象としては特別ことが起こらない恋愛映画です。
難病や死を泣かす為の手段にする安易な恋愛映画は好みませんが映画に求めるのは非日常でもあったりします。
出会いこそ心地よい非日常を感じモラトリアム期間に幸せを満喫する2人はとても魅力的でしてたが、別れに至る経緯はとてもありきたりな展開に思えました。
坂元裕二脚本のドラマに感じる日常と非日常の絶妙なバランスによる緊張感を本作ではあまり感じることが出来ず少し残念でした。
とても普通の有村架純は素晴らしく魅力的でした。
この手の映画は
本来、とっても苦手とする恋愛映画。
菅田将暉主演の前作の恋愛物もかなり酷評した。
俳優菅田将暉が好きな一人としてはお洒落な恋愛映画は若手に任せてもっと内側から湧き出るような演技が観たいと思っていた。なので正直、あまり期待はせずに観たんだけど、すごく引き込まれたもんだから自分が一番びっくりした。
無理のない等身大の恋愛映画。現在進行の人にも過去にこの様な経験をした人にも、老若男女当てはまる人が多いのではないでしょうか。
大人になりたくないけど子供のままではいられない現実と向き合う時に側にいた恋人。生活や価値観が変わることによって恋人との関係も少しずつ変化していく。自分の今はどうやって今の自分になっていったのかな?気付いてなかったけどきっと、こんな時期もあったはず。今が幸せじゃないとか昔に戻りたいとかとも違う。だけど一番、心に張り付いてる昔の恋人をきっと誰もが思い出したんじゃないだろうか。
今がまさに麦と絹の様に甘い毎日の中にいる若い子にはきっとこの先、自分にもこんな思いになる時が来るのかな…って思った人もいると思う。
ただの青春恋愛映画じゃない。
本当に優しい気持ちや、ついフッと微笑んでしまうそんな作品だった。
個人的には恋愛映画をこんな風に楽しませてくれた監督や脚本家さん、当然演者さんに感謝したい。
トキメキ続けるなんて無理?だけど
絹と麦の対比
サブカル好きの若者がお互いの趣味嗜好が一緒で惹かれあい恋に落ちる
金銭的にも精神的にも独立していない若者が、大人になる過程を経て、すれ違い別れが訪れる
あの一瞬の儚い恋を誰もが懐かしくもあり、羨ましくもあり胸をくすぐるもの
そんな簡単な話ではない。
趣味嗜好が一緒のようで、絹と麦は実は全然違うのだ。
絹は人数合わせでも呼ばれていく場所が「西麻布」
麦は「明大前」
ワールドカップの結果を受けて
大敗したブラジルに比べて自分を奮起させる絹と
ブラジルキャプテンの言葉に感銘を受ける麦
そしてエピローグ
偶然の出会いのあと、お互いが思いをはせる
麦は事象を通じて絹への思いを
絹はただ事象について
「社会人」と「学生」
「GReeeeNとセカオワとワンオク」と「きのこ帝国とフレンズと羊文学」
「たべるのがおそい」と「人生の勝算」
散りばめられた様々な対比
甘酸っぱい恋愛の物語だと思ったら、実質4年間の時間の経過の中で、半分は倦怠期が描かれている。
恋が始まった絶頂期に、絹はどこか達観していて
「はじまりはおわりのはじまり」を意識する
「白いデニムは苦手です」とはっきりと意志を伝えるとこ
花の名前を教えないとこ
コリドー街に名刺集めにいくとこ
絹の転職を巡って口論となったときに発した言葉が決定的だった
「わたしはやりたくないことしたくない。ちゃんと楽しく生きたいよ」
対照的なふたりだけど
ちょっとの交差があれば、お互いを意識することができ
そして、恋の始まりのトキメキは誰にも平等に降り注がれる。
ファミレスでの新旧カップルの、始まりと終わりの対比の演出が秀逸だった。
この時点ですでに絹は別れを決めている。
麦の気持ちはまだ吹っ切れていないまま。
ドキドキ、ハラハラ 愛おしく、照れあって
そんな凛と亘を見て、いたたまれなくなる絹
別れを決心して新たに進みだそうとする意志と
愛おしい思い出の狭間の刹那に胸が締め付けられたであろう絹
の気持ちがあの場に居続けることができなかったのだろう。
とにかく劇場でパンフレットを購入して
三浦しをんさんのレビューを読んでください。
パンフレット自体も絶品です。
選択
学生時代からフリーターを経て社会人3年目くらいまでの映画です
形の違いはあれ、普通の恋愛経過ですし、その年齢の自分と重ねた人が多いでしょうね
「始まりは終わりの始まり」というのはわかっているのですが、終わり方が難しいんですよね
「サヨナライツカ」みたいに終われない人もいますし、「ナラタージュ」みたいに強い意思で終わることができる人もいます
人間は、いろいろと選択して生きてきていますが、あの時こうしていれば違った人生だったかもと誰もが思うでしょう
学生と社会人は環境が大きく変わりますし、麦(菅田さん)と絹(有村さん)のような選択をした人が大多数だと思います
私はファミレスのシーンのような状況で、そのまま結婚しましたので、違う選択をしていたらと思うことがありました
映画を観ているときもその想いが思い出されました
しかし過去に戻って選択し直せるわけもなく、また、社会人になって出会った人に同じように会えるわけでもなく、コロナ禍でいつ感染し亡くなるかわからない時代ということもあり、自分の選択した結果による今とこれからを大切にして生きていきたいと思いました
自分好みの作品だったけど、ラストが微妙な感じで残念だった印象。
菅田将暉さんと有村架純さんが本当の恋人の様な感じ。
二人の趣味や考えている事がシンクロしている表現方法が素晴らしかった。
付き合いはじめてからの熱量が徐々に下がって行く展開もリアル。
成田凌&岸井ゆきのさんの入浴シーンを彷彿させるシーンは本作の方が良かった感じ(笑)
本作で満足度が高かったのは自分の馴染みのある場所が多かったところ。
調布。飛田給。環八。国道20号。多摩川。
静岡のハンバーグ屋「さわやか」まで登場(笑)
知ってる場所が多く、とても親近感が沸いてしまった感じ。
ストーリー的に二人が付き合う続けるのか、別れてしまうのか?
どちらになるのかが見所だった印象。
後半に清原果邪さんと細田佳央太さんの若々しいアベックがファミレスで会話するシーンがとても良い!
全体的に間延びしたストーリーだけど、このシーンはとても良かった!
最近の若い方はこんな感じなのかと思わせる作品。
オッサンには若い人の考えている事が解りません( ´∀`)
理想から現実へのラブ・ストーリー
大学生から社会人にかけての、理想と現実の生活の狭間で揺れ動くラブ・ストーリー。
いつも相手のことが気になり始める出会いから、相手を思いやる気持ちを忘れてしまう別れの時までの、恋愛感情の変化を、菅田君と架純さんがリアルに演じていた。一つ一つの会話や言葉の中に、同じような立場の現代の若者の声が聞こえてくるようだった。
確かに最初の出会いは、趣味や考え方があまりに同じで、やや都合よ過ぎの部分もあったが、ほのぼのした2人のやり取りに、思わずニンマリした人も多かったのではないだろうか(笑)逆に、最後のファミレスで、以前、自分たちの座っていた席に、別の若い男女が、あの時の自分たちと同様に、初々しく語り合うシーンは、胸にグッと来るものがあった。
菅田君は、昨年、『糸』で話題の小松奈菜さんと共演し、ラブ・ストーリーを演じたが、『糸』は様々な人たちが絡み合う中で、2人の愛の運命を劇的に演出する切なさがあった。しかし、今回の作品は、登場人物も限られ、2人の恋愛の様子だけをカメラで追い、そこに映し出される表情は、等身大の若者そのものであったように思う。
架純さんの演技も、4年の歳月の中で、可愛らしい女の子から、大人への女性へと新たに踏み出していく心の葛藤と変化が良く伝わってきた。2人とも、素で演じていたのではないだろうかと思うほど。
それから、それから、静岡の今や名物た『さわやかのハンバーグ』や牧之原が舞台となったのには、静岡県人として、うれしかった(笑)
若い時を思い出しました
恋愛物では普通の面白さ!
エモい描写がとっっても素敵
終始有村架純さんの魅力に引き込まれました。
言葉のチョイスがとても素敵で、心が和やかに感じました。
最後のシーンはとても実物ですね
感動し、涙する映画がいい作品だと思っていましたが、それを新しく塗り替えられました。
涙するだけが感動ではなく、喜怒哀楽を感じ、2人の関係に心が温まったりすることも感動なのだと感じられました!
映画よりドラマで短編で放送されても面白かったなあと思いました!
2時間にまとめなければいけないですから、出会い、途中の関係、最後それぞれ内容が簡潔になってるので物足りなかったです。
でもメインキャストが菅田将暉さん有村架純さんだったからこんなにひきこまれたんだとおもいます!また見たいです^^
若い時に見るのと、その後いろいろ経験した後で見るのとで、感じること...
スタートがぐだぐだ
あるある
内容は、「ああ、あるある」なことばかりで、上手かった。
主演二人のファン層とも相まって、今の大学生〜社会人5年目くらいには刺さると思います。
また、何十年も一緒に暮らした夫婦にとっては違う見え方がし、違う楽しみ方ができると思います。
好きな人との暮らしを守るために好きでもない仕事をしてるうちに、仕事が大事になっていく心理に、身のおぼえがあるかどうかで共感度は変わるかも。
責任感が強く、優しくて真面目で誠実であればあるほど、心がすり減ってささくれ立ち、「好きな人と暮らすためにお金を稼ぐ」はずが、「お金を稼ぐために好きな人をないがしろにしてしまう」。
信頼している相手だからと甘えているうちに、目的と手段が入れ替わっていることに気づかないまま、パートナーと心がすれ違っていく。
趣味や価値観が同じで一緒にいたはずが、日々の疲れで大事にしていたものを蔑ろにしてしまう。
特に平成の後半、仕事口は少なく、給与が安くといった、労働条件が悪い時代には、鬱寸前まで追い詰められていく人も多かっただろうし。
時代を問わず、上司や取引先のパワハラなんかも、あると思うし。
私も、今では「パートナーを幸せにできないんだったら、収入は減っても辞めればいい」と、優先順位は間違えないように言い切れるけれど、自分に自信が持てない若いうちは、苦労して手に入れた仕事や立場に固執していたように思い返すので、この気持ちに至るのもわかったりしました。
逆に、合わないと思ったらあっさり別れてパートナーを入れ替えることに躊躇しなかったり、若いころから自営・フリーランスの道を選んだり、勤めていても定時退勤や転職にためらいないタイプの人にとっては、「よくある自滅型の恋愛パターンを見せられてもなんだかなー」とつまらなく感じると思います。
それと、どんなにきれいに別れたつもりでも、「二度と顔も見たくない」ってしこりは残るので、最後のくだりは美化しすぎかな、と。
また、モノローグ的ナレーションで、心理状況まで説明してしまう、セリフ過多な部分には少々辟易とする部分もあり。
映画としてはどうなの?と演出面では疑問も残ったりしました。
その辺を、菅田・有村の俳優としてのオーラというか、キャラがカバーしていたので、観ている間は嫌味に感じませんでしたが、時間がたつとともに「どうだったんだろあれ?」と。
くすぐり程度の話ですが、2015〜2019年の時代を映すのに、作家や作品の実名が出てくるので笑った笑った。
『シン・ゴジラ』『新海誠』『ゴールデンカムイ』『宝石の国』など、馴染みのワードが盛り沢山。
押井守監督が本人役で出てきたところでは、うっかり大爆笑してしまいました。
京王線沿線、同い年で過ごした身としては
私の人生ベストドラマ『カルテット』の劇中に、主要人物の一人であるすずめが「行かなかった旅行も思い出になる」と話す場面がある。
本作では「行けなかったお笑いライブも思い出になる」し、それが2人の距離を縮めるきっかけの一つにもなっていて、同じ坂元裕二作品の中に変奏を見た気持ちになって嬉しかった。
平成5年生まれ学年、京王線調布駅近辺、早稲田松竹、下高井戸シネマ、ユーロスペース、多和田葉子、希望のかなた、ミイラ展等いちいち刺さるカルチャー。
加えて、生きる為・一緒に居る為・文化享受の為、の労働のはずが、搾取と摩耗で文化資本や恋愛を満喫する余裕が無くなっていくプロセス、現実味ありすぎてしんどかった…私の友人にもそういった人たちをたくさん見てきたし、自分自身もギリギリのところで踏みとどまって生きているからだ。
特に「誰でもできる仕事をしたくない」とトラックを捨てた25歳男子の気持ちがわかりすぎたし、学生気分が抜けない絹も、夢と現実の狭間で社会的に染まって疲弊してゆく麦も、全部自分だった。
しかし、全く同時代を生きているのに音楽が全く分からなかったのショックだった。そんなに疎かったんだ。何をして生きていたのか記憶にない…
とはいえ、坂元さんのファンとしては台詞のささやかなところに坂元節を感じて嬉しかったし、自分の好きなものが重なり、分かち合える幸せもよくわかるので、在り得た自分かもしれないと感じながら切実に観ていた。
直前に『ヤクザと家族 The Family』、そして本作と続けて舞台挨拶観てたら、綾野さんも坂元さんも同日公開の他の映画達の名前を出した上で、この時下に映画を公開して観てもらう意味を問うて考えて話されていて、やっぱりこの人たちとこの人たちが創るものが好きだなぁと心から思った。
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