「心のどこかでは認めて、受け入れている」真実 特別編集版 みにこさんの映画レビュー(感想・評価)
心のどこかでは認めて、受け入れている
予告を見てからとても楽しみにしていたのだが、自伝に書かれていない真実を巡って激しい口論や険悪な場面はほとんどなく、予想外に淡々とストーリーが進んで行った。
これが是枝監督らしさなのかもしれない。
国民的大女優が母という親子関係はちょっと、いやかなり特殊なケースなので、娘のほうは小さい頃から達観して色んなことを受け入れてきたのだと思う。
そんな母親の書いた自伝については、それなりの内容になっているだろうことは見当はついたものの、やはり娘として、家族としてはるばるニューヨークからお祝いに駆けつけるのだが…。
カトリーヌドヌーブの決して動じない圧倒的な存在感が素晴らしく、彼女そのものだった。
ビノシュ演じる娘は、母親が嫌いで仕方ない訳でもないし、大女優としての母親は尊敬もしていると思う。それは脚本家という仕事を選び、自身もまた、家族を持ち歳を重ねるごとに母親の偉大さもひしひしと感じるところもあると思う。
自伝に書かなかった真実から見えた母親の弱さを感じることができた時、娘として真にこの偉大な母親を受け入れることができたのでは。
それを見守るイーサン・ホークがいい味を出していた。
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