劇場公開日 2020年1月24日

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「【”Never too late” 夫の介護に長い年月、人生を捧げて来た高齢の女性が独り立ちし、新たな人生の一歩を踏み出す姿が印象的な作品。】」イーディ、83歳 はじめての山登り NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5【”Never too late” 夫の介護に長い年月、人生を捧げて来た高齢の女性が独り立ちし、新たな人生の一歩を踏み出す姿が印象的な作品。】

2021年8月6日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

知的

幸せ

ー 私事で恐縮だが、30代中盤まで仕事の傍ら、キビシイ登山をして来た。最近は事故は減ったが、当時、高年齢の方々の登山での遭難の報を知ると、その装備の甘さ、計画性の無さ、ガイドに頼りっきりの登山スタイルに、残念な気持ちを持っていた。
 だが、今作品は映画館で観たかった作品であった・・。
 それは、主人公の女性が83才と言う事ではなく、人生の再出発の手段に、キツイ登山を選んだという点である。ー

◆感想
 ・序盤で描かれるイーディス・ムーア:イーディは、長年の夫の介護及びその前の高圧的な夫に黙って従事する女性として描かれる。夫が亡くなった後も、娘から老人施設への入居を勧められる。

 ・そのような背景があり、序盤のイーディは頑固で”全て一人でやる!”と言う女性として描かれる。

 ・彼女は、且つての夢だったスコットランドのスイルベン山に登る事を決意し、ロンドンからスコットランドへ・・。
 ー 少し、唐突な感はあるが、気持ちは分からないでもない。
   あと、スイルベン山は屹立した山であり、ロッククライミングスキルを必要とするが、標高が731mと言うところが絶妙である。何故なら高山病の恐れがないからである。ー

 ・そこでイーディが出会った、調子のよい、登山ガイドの金目当ての若きアウトドア店主、ジョニー。
 ー 最初、二人の関係性は良くない。お互い、相手を信頼していないからだ。ー

 ・が、徐々に交流を深めていく二人。ジョニーは逡巡しつつも、彼女の単独行を認める。
 ー イーディの単独行の中で、印象的なシーンがある。
   山小屋で出会った眼光鋭い登山者が、疲弊しているイーディの姿を見て、何も言わずに食事を作るシーンである。
   ”真の山男は寡黙だが、心優しき男が多いのである・・”と書きたいところであるが、私を含めておバカが多い。けれど、困っている他人につい、手を差し伸べる所は似ている・・。ー

 ・イーディの身を案じて登って来た、ジョニーの姿。そして、イーディが漸く登頂した時に、山頂に積まれていたケルンに、小さな石を置くシーン。晴れ晴れとしたイーディの表情が沁みる。
 ー このシーンは、登山をした方であればイーディの”私はやり遂げたのだ。”と言う達成感を味わう気持ちは良く分かるのではないかと思う。ー

<自分の人生は、夫に従い、介護をするだけだった・・、と悔いを口にするイーディが初めて自分の意志で行動し、目的を達した後に浮かべた笑顔。山頂から見た広大な光景。
 彼女は、その過程の中で頑なに”自分一人でやる!”と言う意識から、”人に頼る事の大切さ”も学んでいく。
 ”Never too late”の意味合いを考えさせられた作品であった。>

NOBU