「ささやかな、希望と再生の物語」すばらしき世界 pekeさんの映画レビュー(感想・評価)
ささやかな、希望と再生の物語
良い作品でした。
ちょっとキツイ話だったけど、観てよかった。
ただシリアスというだけではなく、おかしみを感じるところもあり、ダレることがなかった。
根は悪い人じゃないのだけれど、感情を制御できず、すぐに爆発させてしまう元ヤクザの三上(おそらく人格障害なのでしょう)。
世間の多くは、彼のようなニンゲンにはあまり関わりたくないだろう。
そんな三上にあえて関わって支えていく人々。えらいなぁ。やさしいなぁ。
けれど、大きく脱線した車輪を再びレールに乗せるのは、並大抵のことではない。
言うまでもなく、はみ出し者には、世間の風は冷たく厳しい。
僕自身もある意味カタギではないので、まったくの他人ごとというふうには観ていられませんでした。
けっきょくは、母と子、家族からはじまるのだなぁ、と思ったり。
観終わったときは、少しだけ物足りないかも、と感じたけれど、それを補うようにあとからじんわりときました。
家に帰るあいだも、いろんな思いが胸に去来した。
先ほどのシーンがよみがえってきて、また涙がにじんだ。
とにかく、三上は生きた。
不器用だが、懸命に。
この「すばらしき世界」の中で。
追記
それにしても、役所広司は素晴らしい。
あれほど凄みの出せる役者はそうはいないでしょう。
日本の宝だ、と思いましたね。
助演の仲野太賀も好演だったし、脇をかためる俳優陣もいい味だしてました。
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