「“すばらしき世界”」すばらしき世界 プールサイドさんの映画レビュー(感想・評価)
“すばらしき世界”
役所広司×西川美和、これは観るしかないではないか。
“今回はカタイぞ”これは堅い=まともな人間になるということ、その決心が固いということ。
予告の時からかなり印象的でした。
誰に言うでもない短い台詞だけど、とても重みがあり、簡単に発することができない言葉だと感じました。
人が本当の幸せを掴むには“心の豊かさ・余裕”が必要なんですね。
その手段は様々でお金なんかはその内の一つ。
三上にとっては“社会で普通に生きること”と、そして“愛”だった。
ディレクターの津乃田に身元引受人の庄司夫婦、スーパーの店長・松本、ケースワーカーの井口、みんな自分のできる範囲で三上を助けてくれる。
誰も全く恩着せがましくなく、まさにそれは“愛”だった。
“人は1人では行けていけない”という言葉の意味について考えてみた。
それはただ“助け合わないと生きて行けないから”ということだけではなく、“その人たちがいるから=自分の為だけに生きることはできない”ということなのだと感じた。
仲野太賀くんは本当に素晴らしい役者さんですね。
何でしょうね、怖いけどビビリながらも答えを模索して行動している感じ?“情けないと勇敢が入り混じっている”のがとても魅力的でした。
もちろん他三上を囲むキャスト陣も良かったです。
それぞれ三上とタイマンでの繋がりだったのが、就職祝いで一同が集まるシーンはとても温かい気持ちになりました。
波風を立てないことが最善とされつつある現代。
三上のような“0か100”の人間にはとても苦しいですよね。
非常なこと、どうしようもないだらけで嫌になることばかり。
それでもこの映画に“すばらしき世界”という題名が付けられました。
歩道橋で一番星を見つけた時の三上の顔が忘れられません。