「自分を押し殺すことが幸せなのか?」すばらしき世界 bionさんの映画レビュー(感想・評価)
自分を押し殺すことが幸せなのか?
正直このエンディングは勘弁してほしいというのが、見終わった直後の感想。空気を読んで力を持つ人間におもねることが「すばらしき世界」であれば、違和感が湧く。その「すばらしき世界」から逸脱しないように生きている自分にも情けなさを感じるが。
ラストの是非は別にして、役所広司の存在感は、改めて凄いの一言につきる。直情径行というか無邪気というか、自分の感情のおもむくまま行動する元極道を演じている。最初の旭川刑務所での刑務官とやりとりから引き込まれてしまった。気がつくと三上の感情に寄り添ってしまっている自分がいる。
原作は読んでいないが、30年以上前の作品なので当時は、携帯電話も暴対法もない。この作品では、昭和の元ヤクザが戸惑いながらもiPhoneを使いこなせるようになるところなど、コミカルな要素を若干織り交ぜながら話が進んでいく。
自分が止めどもなく泣いてしまったのは、三上が自分が育った施設で少年たちをサッカーに興じる場面。少年たちとふれあいで、三上は、無邪気な笑顔を見せるが、最後に、三上は積もり積もった感情を爆発させる。役所広司に完全にノックアウトされてしまった。
私もノックアウトさせられ、ラストの問いに勝手に悩んでます。
レビュー勉強になりました。
多くの人がラストに問いに悶々としているのでしょう。
多分映画の問いの答えはありませんよ。禅問答です。悩みや疑問を持つ人が多ければ多いほどこの世はすばらしいのでしょう。作者の術中にまんまとハマりました。すばらしい映画です。