ファンシーのレビュー・感想・評価
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映画ですから何でもありです
6月5日より映画館が再開されるというので早速見に行きました。広い館内に一桁しか居ませんでした。
原作は未読です。
映画ですから荒唐無稽でよいのです。
実際にあんな郵便局員がいたら、即刻クビでしょう。
温泉街の寂れた風景が良かった、それだけです。
群像劇としても楽しい愛すべきファンタジー
彫師で郵便局員の鷹巣(永瀬正敏)は自らの体にも刺青を彫り、常にサングラスをかけ郵便物の集配をしていた。ペンギンと呼ばれる詩人(窪田正孝)は寒い家で暮らし氷風呂に入るまさにペンギンだった。何故か馬が合う二人。鷹巣がペンギンの家で油を売るまったりとした時間が心地良い。
ペンギンのファンで「妻になりたい」という女性・月夜の星(小西桜子)の登場で物語が動き始めた。
性的に不能なペンギンが切ない。永瀬により女になっていく桜子。なんかリアルだった。てか、桜子の何にもない胸に感動した。
ロケ地は信州の戸倉上山田温泉。いい感じにさびれた温泉街で、そこで暮らす人々の群像劇としても楽しめる。特に田口トモロヲ、好きだなぁ。彼の郵便局長とポン引きの二足の草鞋が可笑しくて仕方なかった。
やっぱり原作のコミックを知らないと
ペンギン風呂かわいい!
不思議な余韻でまた、見たくなる!
しっかりしたストーリーを求める方には合わないと思うが、見終わった時にまた、あと不思議な世界に行きたいと思った!原作を読んでペンギンがどのようになるのかと不安だったが、窪田正孝演じるペンギンがどんどんペンギンにしか見えなくなる!!台詞は少ないが表情仕草で見せるのは流石!この映画が初恋より先に撮られたと言う小西桜子はちょっと堅い慣れない演技が山本直樹原作にガッツリハマってた!果敢にラブシーンも演じてて好感!ヤクザや怪しげな郵便局員などキャラが強い面々を永瀬正敏の郵便屋さんがリアルとポエジーな世界を行き来して一つの世界にまとめて作品を成立させている!
過去と今と未来が交差するときはすべて投げ捨てる勇気がいる。
好きな映画
公開前に原作の漫画を読んでみた。
40ページ程の短いお話。
登場人物は少なく、これをどうやって映画化するのか興味深かった。
予告を見ると、彫り師やらヤクザの抗争やら、原作のイメージとはかけ離れた内容に。
ところが、映画を観終わった感想は、原作通り、だった。
廣田正興監督の初の長編作品。
にもかかわらず、テアトル新宿で1日4回の上映があるのはすごいことなのでは。
主演の永瀬正敏さんと廣田監督の関係性がとても素敵で、永瀬さんは雑誌やラジオでも監督との17年程前の約束が実現した事を語られている。
また、小西桜子さんは、このファンシーが映画初出演。
ファンシーのクランクアップの翌日に、三池監督の初恋のオーディションを受け合格し、偶然にも相手役がどちらも窪田正孝さんというのもすごい話。
原作では本物のペンギンとして描かれているが、映画では窪田正孝さんが人間として演じている。
が、姿は人間でありながらペンギンに見える不思議。
演技力のなせる技なのだろう。
ジェイムス下地さんの音楽も最高。
原作を読んでから映画を観て、再度原作を読む事をおすすめする。
嘘のような世界、現実の世界
いろいろなレトリックを散りばめて、嘘なのか現実なのか、曖昧な世界をコラージュのように綴っていく。
(郵便配達)は、嘘のようなポエムの世界と、暴力と死が溢れる現実の世界を繋ぐ。
空想が支配するポエムの世界。
しかし、生きているという実感はあるのだろうか。
(月夜の星)に広がる疑問。
暴力や欺瞞が溢れ、人の命が軽い世界。
現実かもしれないが、実感の湧かない世界。
でも、それは僕達の周りの世界。
(月夜の星)がホテルのベッドの上で言う、
「ここはどこ?」
そう、ここ夢かもしれない現実。
(月夜の星)は(郵便配達)とのセックスの快楽を通じて、どんどん現実に引き戻されて行く。
しかし、決して(ペンギン)は、現実の世界に来ることは出来ない。
(ペンギン)は自ら現実の世界に足を踏み入れようとするが、無理なのだ。
不能だからだろうか。
とどまる(ペンギン)
戻って行く(月夜の星)
変わらぬ(郵便配達)
(郵便配達)は、(月夜の星)の背中に何を見たのだろうか。
そう、(郵便配達)が人の背中に描く世界は、現実の世界ではない。
(郵便配達)は夢の世界から人を現実に引き戻せるが、自らはとどまることしかできないのだ。
家族を遠くに離しても、(郵便配達)は、人の背中に描く世界を想いながら、とどまるしかない。
これは全部、実は、僕達の世界に重なる。
ファンシーとは、装飾的とか、空想とか、幻想という意味だ。
でも、やはり、このストーリーは、ひどく僕達の世界に重なる。
ケダモノ予備軍
彫り師にして昼間は郵便局の配達員をする男と、その友人で若い女性に大人気の南十字星ペンギンという詩人の周辺で起きる人間模様の話。
主人公の他にも怪しげなダブルワークをしている局長に、後輩でホテル経営をしているヤクザとかを絡めながら、ベンギンのファンで押しかけ女房の月夜の星とのやり取りと、彫鷹の過去等にも触れていくストーリー。
主なところ生い立ちから来る現在の彫鷹と、彼に影響を受けるベンギン&月夜の星の物語だけど、群像劇の様な感じも。
舞台上が上山田っていうのが又何となくリアルにも感じるw
(最後に上山田に行ったのは20年末近く前で、当時の私のイメージです。上山田の方ゴメンナサイ)
普通というか所謂カタギからはちょっとズレたチョイ悪やさぐれストーリーで、最終的には何事もなかったかの様に回って行く感じが何となく面白かったけど、これといって刺さったり唸ったりする程のことはなかったかな。
残念でならない
良くも悪くも何もない作品だった。エロもバイオレンスも、役者の芝居部分も特筆すべき点がひとつもない。今時よくありがちな残念作品の典型的なものだった。
きっと三池崇史好きなんだろうなあ、ああ、日活でよくある白石和彌のバイオレンスがいいんだろうなあとか?話は特に面白くはないんだけど、主役の永瀬正敏さんが可愛そうだった。出演した理由が、20年近く前に原作を渡されて、お願いされたから…まさに永瀬正敏を表すかのようなエピソード。
でも断ることも、またこの無名の監督の為だったのでは?
まず、自分が撮りたい映画が、過去の日活や東映でやってきたことの焼き回し?な事が先ず残念でならない。もっと勉強してから臨むべきだし、映画を撮るような演出方法ではないと。なんかの依頼で漫画やるならうまい具合にこなしそうだけど、この監督に任せるのは無理がある。
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