ファンシーのレビュー・感想・評価
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映画ですから何でもありです
ジャンルさえ不明デス
私の理解力が足りない所為なのか?さっぱり理解出来なかった。
多分、永瀬さんがグラサンに制服でエレベーターのドアが横開きになったシーンは原作のイメージにビッタリ合って(原作未読なので憶測デス)いるのでしょう。
あの雰囲気で淡々と進めればペンギンという設定もイキて面白かったかも。
でも、途中で任侠物なのか?というくらいヤクザが出てきて…意味不明に。
一番の原因はヒロインにあるかな?『初恋』の時に何だかなぁ~と思ったのですが、あれは大分上達されたのですね…(ファンの方々ごめんなさい)一番足りないのはお色気でしょうか?(またしてもごめんなさい)しかし、脱ぎっぷりの良さは誉めます。あまりの平坦さに驚きましたが…
宇崎竜童さんだけは、カッコ良かったデス。
群像劇としても楽しい愛すべきファンタジー
彫師で郵便局員の鷹巣(永瀬正敏)は自らの体にも刺青を彫り、常にサングラスをかけ郵便物の集配をしていた。ペンギンと呼ばれる詩人(窪田正孝)は寒い家で暮らし氷風呂に入るまさにペンギンだった。何故か馬が合う二人。鷹巣がペンギンの家で油を売るまったりとした時間が心地良い。
ペンギンのファンで「妻になりたい」という女性・月夜の星(小西桜子)の登場で物語が動き始めた。
性的に不能なペンギンが切ない。永瀬により女になっていく桜子。なんかリアルだった。てか、桜子の何にもない胸に感動した。
ロケ地は信州の戸倉上山田温泉。いい感じにさびれた温泉街で、そこで暮らす人々の群像劇としても楽しめる。特に田口トモロヲ、好きだなぁ。彼の郵便局長とポン引きの二足の草鞋が可笑しくて仕方なかった。
やっぱり原作のコミックを知らないと
ペンギン風呂かわいい!
不思議な余韻でまた、見たくなる!
しっかりしたストーリーを求める方には合わないと思うが、見終わった時にまた、あと不思議な世界に行きたいと思った!原作を読んでペンギンがどのようになるのかと不安だったが、窪田正孝演じるペンギンがどんどんペンギンにしか見えなくなる!!台詞は少ないが表情仕草で見せるのは流石!この映画が初恋より先に撮られたと言う小西桜子はちょっと堅い慣れない演技が山本直樹原作にガッツリハマってた!果敢にラブシーンも演じてて好感!ヤクザや怪しげな郵便局員などキャラが強い面々を永瀬正敏の郵便屋さんがリアルとポエジーな世界を行き来して一つの世界にまとめて作品を成立させている!
過去と今と未来が交差するときはすべて投げ捨てる勇気がいる。
好きな映画
公開前に原作の漫画を読んでみた。
40ページ程の短いお話。
登場人物は少なく、これをどうやって映画化するのか興味深かった。
予告を見ると、彫り師やらヤクザの抗争やら、原作のイメージとはかけ離れた内容に。
ところが、映画を観終わった感想は、原作通り、だった。
廣田正興監督の初の長編作品。
にもかかわらず、テアトル新宿で1日4回の上映があるのはすごいことなのでは。
主演の永瀬正敏さんと廣田監督の関係性がとても素敵で、永瀬さんは雑誌やラジオでも監督との17年程前の約束が実現した事を語られている。
また、小西桜子さんは、このファンシーが映画初出演。
ファンシーのクランクアップの翌日に、三池監督の初恋のオーディションを受け合格し、偶然にも相手役がどちらも窪田正孝さんというのもすごい話。
原作では本物のペンギンとして描かれているが、映画では窪田正孝さんが人間として演じている。
が、姿は人間でありながらペンギンに見える不思議。
演技力のなせる技なのだろう。
ジェイムス下地さんの音楽も最高。
原作を読んでから映画を観て、再度原作を読む事をおすすめする。
『まぼろしホライズン』
漫画家山本直樹又は森山塔の作品が原作。やれ性描写が過激だわ、暴力性や負の側面が強いだわの内容に、世間的にはコントラバーシャルな評価を貼り付けられている漫画家である。しかし自分としてはそのオーバーな表現内容に人間の本質をあぶり出す手段としての手法だと思っているので、そこに描かれる人間の暴力に隠された“姑息さ”、“恥ずかしさ”、“情けなさ”を端的に晒してくれた希有な文学作家だと思っている。リアリティを表現できる引き出しの多さも又山本直樹の特長だ。淡々と冷酷に流れる世界観と、諦観や運命みたいなものに絡め取られて為す術無く流されていく人物像の描写など、シュールと一言では語ることが出来ない“卑劣さ”を画に叩き付けるイメージは、共感性を強く感じたものだ。描かれる女性も又、スレンダーで“ちっぱい”娘で、しかし性的好奇心が強く、女としての自覚を弁えていて、強かさは男の比ではないしなやかさを印象づけ、いわゆる“童貞男”の女神像然と描かれていたものが多かった。だからであろう、代表作である“RED”は彼のテーマと親和性が高い題材であることは容易に想像出来る。
然るに、そんな原作での今作は実は未読なので、どういう粗筋なのかは存じ上げていない。漫画では本当のペンギンという設定を映画では人間として描写している点、そして主人公自体を友人である郵便局員に変更した点を用いてスポットライトをズラす形を取っている。本来、漫画ではペンギンにはモデルがいて、その詩人は身体的に禍々しい状態であった為、その詩に憧れ抱いた女性ファンがギャップに苛まれ離れていってしまうという非常にドライで世知辛いテーマ性をベースに描いている。勿論、本作もそこをバックボーンに描いている節は感じられるのだが、別の要素を強く感じられる作りも試みている。しかし残念なことにそれが中途半端の仕上がりになってしまっているのも又露呈しているのだが。。。それは本作でもキーポイントの台詞として掲げられている「泥舟に乗っていようが、それは全て自分の時間だ」という、運命に嘆くことなく自分の思い通りに生きろとの解釈なのだろうか。しかし実はその部分、本作に於いてその補強や建付けが非常に薄くなってしまっているのも事実なのである。というのも、主人公として再構築された郵便局員がそのキャラ設定上、あまりエモーショナルを感じさせない演出なのである。父親役が宇崎竜童というのも主役が永瀬正敏というのも、その濃いキャラに頼ってしまって奥深さを演出出来なかった、又はストーリーをスカスカに薄めてしまったのが原因かと思われるのだ。父親の仕事場で父親と戯れる女性客、そしてこれ見よがしに多感な時期の主人公にみせつける背中の刺青、そこにかなり歪曲されたリビドーを植え付けられてしまった主人公の性的倒錯を、それでもそれを肯定し自分なりの“スジ”を得られた途中過程を描いていないから、共感性が得られない構造になってしまっているのである。ペンギンというペンネームの詩人と奇妙な友人関係を結んでいるのも、それはお互い通常の人生とは逸脱した者同士のシンパシー、否、共犯関係みたいなドス黒さ故なのだ。最終的にそこが本流の建付けだということならば、前述していた自らの肯定感は、すっ飛んで行ってしまっているのであると思うのだが。
しかし、その“人を食った”構成が本作の真の狙いとしても、その曖昧模糊な描き方はどれだけの観客が理解出来るのだろうか。良く言えば読解力を要求される、悪く言えば視点のボヤけた内容に落し込んでしまったのは残念ながら本音の感想である。濡れ場でのヒロインの騎乗位演技の浅はかさ等、原作の持つ女性の強かさの表現不足、演出下手さも極まって、原作を生かしていない、又は監督としての新たなテーマ性が結びつけられていない“脆弱性”を感じられる感想であった。ヤクザの抗争パートとの関連性の薄さも相俟って、もう少しピンぼけを廃すことに腐心して欲しいと思った次第である。平たく言えば、もっと濃淡が欲しかったということなのだ。それともこれを以て“シュール”という表現なのだろうか・・・
追伸:ネガティヴなことばかり書いてしまったが、中盤の学生時代の父親の戯れを目撃したカメラワークが伏線となって、同じ構図でヒロインが待っている施術部屋へ向かう動きは、主人公の抱くデジャヴ感を醸し出していて、光る演出を作り出していた事は触れておく。綺麗な背中への性癖が美しく描かれている。
嘘のような世界、現実の世界
いろいろなレトリックを散りばめて、嘘なのか現実なのか、曖昧な世界をコラージュのように綴っていく。
(郵便配達)は、嘘のようなポエムの世界と、暴力と死が溢れる現実の世界を繋ぐ。
空想が支配するポエムの世界。
しかし、生きているという実感はあるのだろうか。
(月夜の星)に広がる疑問。
暴力や欺瞞が溢れ、人の命が軽い世界。
現実かもしれないが、実感の湧かない世界。
でも、それは僕達の周りの世界。
(月夜の星)がホテルのベッドの上で言う、
「ここはどこ?」
そう、ここ夢かもしれない現実。
(月夜の星)は(郵便配達)とのセックスの快楽を通じて、どんどん現実に引き戻されて行く。
しかし、決して(ペンギン)は、現実の世界に来ることは出来ない。
(ペンギン)は自ら現実の世界に足を踏み入れようとするが、無理なのだ。
不能だからだろうか。
とどまる(ペンギン)
戻って行く(月夜の星)
変わらぬ(郵便配達)
(郵便配達)は、(月夜の星)の背中に何を見たのだろうか。
そう、(郵便配達)が人の背中に描く世界は、現実の世界ではない。
(郵便配達)は夢の世界から人を現実に引き戻せるが、自らはとどまることしかできないのだ。
家族を遠くに離しても、(郵便配達)は、人の背中に描く世界を想いながら、とどまるしかない。
これは全部、実は、僕達の世界に重なる。
ファンシーとは、装飾的とか、空想とか、幻想という意味だ。
でも、やはり、このストーリーは、ひどく僕達の世界に重なる。
ケダモノ予備軍
彫り師にして昼間は郵便局の配達員をする男と、その友人で若い女性に大人気の南十字星ペンギンという詩人の周辺で起きる人間模様の話。
主人公の他にも怪しげなダブルワークをしている局長に、後輩でホテル経営をしているヤクザとかを絡めながら、ベンギンのファンで押しかけ女房の月夜の星とのやり取りと、彫鷹の過去等にも触れていくストーリー。
主なところ生い立ちから来る現在の彫鷹と、彼に影響を受けるベンギン&月夜の星の物語だけど、群像劇の様な感じも。
舞台上が上山田っていうのが又何となくリアルにも感じるw
(最後に上山田に行ったのは20年末近く前で、当時の私のイメージです。上山田の方ゴメンナサイ)
普通というか所謂カタギからはちょっとズレたチョイ悪やさぐれストーリーで、最終的には何事もなかったかの様に回って行く感じが何となく面白かったけど、これといって刺さったり唸ったりする程のことはなかったかな。
残念でならない
良くも悪くも何もない作品だった。エロもバイオレンスも、役者の芝居部分も特筆すべき点がひとつもない。今時よくありがちな残念作品の典型的なものだった。
きっと三池崇史好きなんだろうなあ、ああ、日活でよくある白石和彌のバイオレンスがいいんだろうなあとか?話は特に面白くはないんだけど、主役の永瀬正敏さんが可愛そうだった。出演した理由が、20年近く前に原作を渡されて、お願いされたから…まさに永瀬正敏を表すかのようなエピソード。
でも断ることも、またこの無名の監督の為だったのでは?
まず、自分が撮りたい映画が、過去の日活や東映でやってきたことの焼き回し?な事が先ず残念でならない。もっと勉強してから臨むべきだし、映画を撮るような演出方法ではないと。なんかの依頼で漫画やるならうまい具合にこなしそうだけど、この監督に任せるのは無理がある。
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