「もっと先まで描いてほしかった」許された子どもたち hzwrさんの映画レビュー(感想・評価)
もっと先まで描いてほしかった
主人公が成長して、自分の罪と自分の言葉で向き合えるようになるところまで描いてほしかった。自分の内面を表現する言葉を持たない主人公というのは、中学生という設定上自然ではあるが、それだけで終わっているのは映画表現として逃げではないか。
世間からの迫害にしても、風化してはいるものの完全に記憶や記録から消え去っているわけではないという段階の在り方を描いてほしかった。
また、リアルに描かれているところとそうでもないところが混在していて全体として不統一な印象を受けた。特にリアリティを感じたのが、学校でいじめについてのディスカッションをするシーンで、「みんなが夢に向かって努力していればいじめはなくなる」と発言した生徒がいて周りから笑われるところなどは実際にやらせてみないとなかなか出てこないだろう。逆にリアリティを感じなかったのが桃子に対するいじめで、やってることが古典的すぎないかと思った。
そもそも桃子がいじめられているという設定自体必要があったか疑問に思う。桃子が主人公にとって都合のいいキャラクター過ぎて違和感がある。
正義派ぶって迫害する側の人間をもっとまじめに描いてもよかったのではないかとも思った。転校先で主人公の正体をバラす、妙に芝居がかったことを言うが活舌が悪い男子生徒はコミカルで面白いが、そこをコミカルにしてしまっていいのか。主人公の母を殴ったニコ生主にしてもそうである。また、そのニコ生主がそのあとネットで称賛される流れには違和感を感じた。
緑夢という名前は見た瞬間笑ってしまった。スノーボーダーじゃん。匠音というのもダイアモンド☆ユカイの息子の名前だし、どうかと思う。