ドロステのはてで僕らのレビュー・感想・評価
全89件中、1~20件目を表示
未来は変わったのだろうか?
ヨーロッパ企画の映画は、以前に「リバー、流れないでよ」2023年を観ました。
今回の「ドロステのはてで僕らは」は2020年公開の映画だそうです。
ヨーロッパ企画と言えば、タイムパラドックスもの。
「リバー流れないでよ」も面白く拝見。
いったい何回、階段を上がり降りするのかよ?と、心配になる穂ほどでした。
この映画は、カフェのオーナーが自分の部屋のテレビに自分が写っていて、
驚きつつ会話するところから始まります。
それが未来(2分後の)を写すテレビで、2回のマスターの部屋と
一階のカフェの店員、お客巻き込み、
更にテレビを持ち運ぶことで、更に複雑になっていきます。
そして隣に入っている理容室の経営する女性(藤谷理子)をマスターが
気に入っていて、自分のライブコンサートに招待したことから、
理容師の女性も巻き込まれてしまう。
単純なようでいて、アイデア豊富です。
5階のヤクザ事務所路の組員も参入。
理容師の女性が拉致されたことから、マスターの武勇伝につながる。
ケチャプやシンバルの小道具の使い方も絶妙。
ラストでは時空局が未来から訪れて、あり得ない展開へ。
巧妙にラブストーリーに落とし込むあたり絶妙です。
「リバー、流れないでよ」とはまた一味違うところに
タイムパリドッグスものの奥の深さを感じました。
技アリの、面白さでした。
なにより爽やかな香りが素敵です。
面白い撮影方法
荒削りだか面白いテーマ
たった2分間のタイムループ!?
めっちゃ好みな作品だった
2分後、4分後、6分後、8分後、、、
これを思いつける人間でありたかった
芸人を志してたこともある自分ですがたくさんの才能に嫉妬してきた人生でした。
音楽界もそう、M1王者たちもそう、色んな人に嫉妬してあいつみたいになりたいなと思いました。
それが全て覆されるほどこの映画には大きな衝撃をうけた。
この発想が出来ればもう他に何もいらないなとそう思えるほどやられたーって思えるそんな映画でした。
まぁ見てみなよ
全編ワンカットに見えちゃう不思議
ビルの中、未来(一階)と過去(二階)を行き来するSFコメディ。
ループや、2分間の縛りがのちの「リバー」を感じさせますね。
そしてやはりというか、すごい舞台っぽいです。
絶対編集してるんですが、何となく観てると全編ワンカットに見えちゃう不思議。
何と言っても脚本が素晴らしい。時間を弄ぶようで観ていてワクワクさせられました。
あとテンポが抜群に良いですね。
それと出演者のキャラが皆やたら立っていて、その会話劇だけでも面白い。それと藤谷理子がやはり可愛いですね。
1時間10分というコンパクトな尺も、アラが目立たないちょうど良い感じでした。何となくハッピーになるラストも嬉しいですね。
バレーボウイズの楽曲も最高にあっていました。
エンドロールで知る裏側はその手作り感が逆に暖かい。
アイディアが際立った、とても素晴らしい作品でした。
配線がやたら長い…
ストーリー構成の超絶(ややこしい)技巧
山口淳太監督、ヨーロッパ企画のオリジナル短編『ハウリング』のリブート作品。
【ストーリー】
カフェ店長のカトウは、客の引けた店を店員のメグミにまかせ、店舗二階の自室でギターを弾こうとピックをさがす。
すると据えおきのモニターから、自分自身が語りかけてくる。
「よう。俺、2分後のお前」
なんと店舗のモニターと部屋のモニターは、2分の時間差でつながっていたのだ。
永遠の自己言及ドロステ効果(フラクタル構造的なやつ)をその名に冠した、ヨーロッパ企画らしい、舞台演劇のようなつくりの日常SF。
キャラクターもドラマも軽いながら、展開はめちゃくちゃよく練られていて、これは凄いなあと思いました。
考えただけでも面倒なこんな長撮り演技にたえうるキャスティングは、劇団ならではの強み。
画面のあっちとこっちの会話タイミングとか、本当どうやって撮ったんだろうと思うややこしさ。
最後はきっちり伏線全部片付ける巧さも、演劇ならではですね。
あ、個人的な評価ですが、ほとんどの国内の実写映画よりも、演劇の方がシナリオ巧いと思ってます。個人の感想なので、反論は絶賛受けつけます。
ただ、画面づくりに関しては、もう少し高級感があったほうがいいかなあ。
全体的に、テレビのスペシャルドラマよりも安っぽいので。
上映時間も70分とほどよく短めで、サッとなにか見たい時なんかにぜひぜひ。
深く考えたら負け
”2分”が絶妙でいいよね。
撮影中、楽しそうに映画作りしているんだろうなぁ。
と、思えるあたたか~い作品でした。
出演者もみんな普段から仲良しなんだろう。
アイデアもみんなで出し合ったんだろう。
大変な撮影もあっただろうが楽しかったんだろう。
と、見終わった後思えれば
それだけで価値のある映画でした。
合わせ鏡のようにモニターを置けば、
理論上、遠い未来も見えちゃう…。
そこから物語は進むんですが、
私はそこは「否」です。
せっかく”2分”という設定にしたなら、
2分で何ができるかだけを追求したら
むちゃくちゃバカバカしくて面白かったろうに。
1階と2階の往復だけで疲れちゃうとか、
2分後を見逃しちゃうとか、
2分じゃ何も起きてないとか…。
ついついモニターを運ぶシーンで
「ケーブル長くない?」って
思っちゃいました。
一言一句同じセリフや動作を
しなくちゃいけない。というのも
違和感ありました。
最初の方で、「怖くて違う台詞言えないよ!」とかの
くだりがあれば、”舞台演技”も納得できたのに。
延々と舞台演技が続いた後(否定的ではないですよ)
ラストの二人の会話シーンが、とても良かった。
床や階段で寝ている仲間を気にもせず、
せっかく生まれた二人の時間を楽しむ。
未来を変えてでも作りたかった時間だもの。
あたたか~い最後で良かったです。
藤子・F・不二雄イズム
2分先の未来と繋がったモニター。スゴイはスゴイけどたった2分じゃなぁ〜というところから、その小さな可能性をドンドン広げていくアイディアが最高です。
舞台演劇調の脚本と演技に初めは違和感がありますが、アイディアの素晴らしさに引っ張られて直ぐにそんな事は気にならなくなります。
未来を知ることができる驚き、惑い、興奮、そして不安。登場人物達が抱く感情がどれも無邪気で小市民的なのがいいのです。
特になまじ未来を知ってしまったがために、その未来が示す通りの行動をしなければならないという強迫観念にとらわれ、未来に矛盾を生じさせることを不安がる様は個人的にとても共感できました。登場人物と感情が一致した事によって、このとんでもなく荒唐無稽な作り話にもすんなりノれました。
本作はとてもスケールの小さな物語ですが、だからこそとても気軽に自分ならドロステレビで何をするだろうか?主人公は最後あんな事をしたが、その後彼らの世界はどうなったんだろう?違う行動だったらどうなっただろう?と物語の可能性をアレコレ夢想する楽しみを与えてくれます。そしてそこには確かに藤子・F・不二雄の「SF(少し不思議)」が内包されているのです。
自分はこの様に作品の中に何かの影響(ルーツ)を発見するのが好きです。(この作品はあからさまに表明しているので「発見」は大袈裟ですが)
「元ネタ」という言葉を何かを軽んじるために用いる時もあるかもしれませんが、この作品が藤子・F・不二雄から影響された様に、藤子・F・不二雄にも、影響を受けた手塚治虫という師がおり、その手塚治虫にも影響を受けた作品があるわけで、それこそドロステ効果の様に何世代にも渡り受け継がれてきたものの存在を感じるのが好きです。
そしてこの作品を通して藤子・F・不二雄イズムが今もなお生きているのだと感じることができて嬉しいのです。
真相はどうでも
1階のカフェの店長カトウが2階の自室でギターを弾こうとすると、TVにカフェにいる自分が映り、2分後の自分だという。カトウのTVと、カフェのTVは2分差の過去と未来を映していた。2分後の未来を知ることができるなら、それぞれを向かい合わせにしたらもっと未来を知ることが。カフェの店員、常連、隣人の理容師、そしてヤクザも巻き込まれ。
ドレステは、ドロステ効果から。ドロステココアパウダーという商品が由来。そのパッケージに、さらに小さいパッケージが描かれ、それにはもっと小さいパッケージが、というあれです。
未来を知ったものの、だんだんそうしなければという義務感が生じていくのが楽しいです。そして綿密に構成され、さらに長回し風に仕上げた演出に驚きました。どうしてそんなことになったのかという、真相がどうでもよくなる面白さでした。
全89件中、1~20件目を表示













