「なんの情報も仕入れなかったのが仇になってしまった…。アクション描写は一見の価値あり。」羅小黒戦記(ロシャオヘイセンキ) ぼくが選ぶ未来 たなかなかなかさんの映画レビュー(感想・評価)
なんの情報も仕入れなかったのが仇になってしまった…。アクション描写は一見の価値あり。
中国発のWEBアニメ『羅小黒戦記』の劇場版。
人間により住処を追われた精霊・シャオヘイと最強の執行人と称される人間・ムゲンとの出会い、そして人間を恨む精霊と人間との共存を望む精霊との戦いが描かれたファンタジー・アクションアニメ。
主人公である黒猫の姿をした精霊・シャオヘイを演じるのは『言の葉の庭』『君の名は。』の花澤香菜。
最強の執行人・ムゲンを演じるのは『バケモノの子』『亜人』の宮野真守。
中国産のアニメーションを初鑑賞。
かなり日本のアニメーションに近い感じ。相当ジャパニメーションを研究しているという印象を受けました。
そもそも日本のアニメーションも、元を辿れば中国のアニメーションを研究することで発展したのだから似てくるのも当然か。
本作の最大の美点はアクションシーンの迫力!
『NARUTO』っぽいアクションといえばわかりやすいと思うのですが、スピーディーな体さばきと忍術のような攻撃の応酬が楽しい。
この作画レベルのアニメーションは、日本でもなかなかお目にかかれないと思う!中国のレベルの高さを感じます。
現代が舞台でありながらキャラクターは武侠映画のような出立ちをしており、中国映画をみているという感じがしてワクワクする。
アクション楽しい!バトル凄い!…んだけど、はっきりいって何が何やら。
2時間の映画なのに登場人物がやけに多い。
属性?術式?境界?霊域?専門用語が多すぎる…。
意味ありげに登場するキャラクターたち、あんたら誰?
人間なのに長生きで強いムゲンさんって何者?
シャオヘイの力が特別だということをなんでフーシーは知っていたの?
ゲンリ様って誰?
明らかに詰め込みすぎでついていけない。
というのもこの作品、単体の映画ではなくアニメシリーズの劇場版だったんですね。鑑賞後に知りました。
通りで特に説明もなくキャラクターが登場したり、専門用語が飛び交う訳だ。
新鮮な気持ちで映画を楽しむ為、事前に調べることをしないというスタンスが仇になってしまった。シリーズものだとわかってたら、いきなり劇場版を鑑賞するなんて愚行は犯さなかったよ…。
シリーズ初見の人でも楽しめる作りにはなっているものの、自分のような完全な初心者には正直飲み込みづらいところもある…。Webアニメ版を鑑賞しておくに越したことはないだろう。
とはいえ、『羅小黒戦記』のアニメシリーズって邦訳されているのかな?
アニメシリーズを鑑賞していないので、シナリオや設定について文句を言うのは控えます。
が、シリーズ未見だということを踏まえても気になるところはある。
まず、2Dのアニメーション部分に比べて3DCGの部分が明らかにショボい。
2Dアニメの出来がいいだけにCGの出来の悪さが目立ってしまう。
本作のヴィランとして立ち塞がるフーシー一味。彼らのキャラクター像がつまらない。
それぞれイケメン&イケボなので女性ファンは喜ぶかもしれないが、性格とかルックスがありきたりで、彼らに全く興味を持てなかった。
精霊たちが暮らす「館」がクライマックスで描かれる。この空間は非常に面白いんだから、もっとシナリオに組み込んでほしかった。
都会に暮らす精霊たちという設定も面白い。それなのにそこの描き込みが不足しているのも勿体ないと感じてしまう。
正直、前半のシャオヘイとムゲンのロードムービー的な展開を削って、館の暮らしと都会の暮らし両方を経験することにより、精霊と人間、それぞれの生き方や考え方をシャオヘイが学んでいくという展開にした方が面白くなったんじゃないの?
クライマックスのシャオヘイとムゲンの感動的なシーンも、取ってつけたようで気に食わない。
あのシーン、別にムゲンとシャオヘイの今生の別れとかそういうことじゃないんでしょ。あんなに泣くことかね
?🤔
全体的なお話も、正直よくある感じで真新しさはない。
良くも悪くも少年漫画的。
黒い半球が街を覆うの、『AKIRA』みたいだなー、と思った。
評価が高いからといってなんとなく鑑賞すると後悔することになると思う。
まず、下調べをして世界観やキャラクターを把握したうえで鑑賞することを薦めます。