「孤立」カット/オフ ワンコさんの映画レビュー(感想・評価)
孤立
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この原題タイトルは、「孤立」だ。
嵐で孤立してしまった孤島。
そこで人知れず発生する出来事。
ストーキングを相談できずに孤島に身を隠すリンダ。
「ストーカーは便利な言葉」
リンダは、ストーキングの恐怖を理解もせず、世間はこの言葉を安易に使っていると言いたかったのだ。
ハンナが誘拐され、脅迫され、単独で行動を余儀なくされた解剖医ポール。
娘をエリックに殺害され復讐心を募らせるイェンス。
司法や社会は存外、被害者や遺族の気持ちを汲み取ろうとはしない。
そして、映画は、リンダとポールを中心に、エンダーやインゴルフやを巻き込んで、徐々に構築される協力関係を対比さるように、事件を解決の方向に向かわせる。
僕は、このストーリーはサスペンスの形を取りながら、孤独と協力関係を対比させることに重きを置いているのではないかと思う。
特に、リンダとイェンスの孤独は、現代社会の抱える問題そのもので、僕達が見て見ぬ振り出来るようなものではないはずだ。
遺族の欲するまま量刑を決めるということではなく、社会として遺族とどのように関わっていくかも重要なはずだ。
サスペンスとしては、エリックとイェンスの犯罪を絡まった糸の塊のように仕立てたのは興味深いと思った。
ただ、映画は目を覆いたくなる解剖の場面も多く、ちょっと過剰というか思わせぶりな人物描写や、既視感の残るシリアル・キラーの異常性、そして、ありがちな展開もあって、イラッとすることもある。
でも、僕は、まあ、楽しめました。
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