ロンドン・バーニングのレビュー・感想・評価
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原題どおり腐った奴ら
オープニング・クレジットで「事実に基づく物語」とでる、まあ、五輪の利権に絡む汚職収賄などは想像に難くないが英国市民ではないのでどんな事実関係なのか、よくわからないところが口惜しい。
これほどロンドン警視庁が腐敗塗れだったのが事実だったと思うとぞっとする。警察や司法が機能不全に陥ればアウトローの力技がものを言うのは西部劇でお馴染みだが現代の民主国家の英国でとは恐れ入った。
それにしても善人を装った悪党ほど始末に悪いものはない、ストーリーもそんな奴らに終始苦しめられるばかり、執拗に暗く描き過ぎでしょう。
アウトロー同士の闘いは一応決着のようだが、唯一正義感に燃える刑事も記者も抹殺され黒幕の大物が健在では突き放された思いで釈然としない映画でした。
結末が好きではない
主人公のリアムはサム・クラフリン、弟のショーンはジョー・クラフリンとなっているが、本当の兄弟なのかな?
出演者が多いけどどんどん出演者がなくなる。やはりイギリス映画だな。
悪玉のクリフィード・カレンも現在ではいきなり仕事をしくじったバイフォードを自ら殺している。悪事をあばこうとした記者のナヤンを後ろから置物で殴る、とバイオレンス満々。
しかしロンドンの警察には良い警官はいないのか。
ラストは私の好みではない。
なぬ!?
結局、警察側の巨悪は捕まらんのか!?特に女刑事は酷い。モヤモヤしたまま。展開は面白かったけど、出所したばかりの兄貴のこと考えず、危なっかしい弟というのは有りがちなパターン。ティモシー・スポールは呆気ない最期だった。兄貴はマイケル・ファスベンダーにしか見えなかった。
地味ですが、良作だと思います。
刑期を終えて出所した男性が、街の影の支配者であるギャングとのトラブルに巻き込まれてしまう物語。
地味ですが、しっかりとしたクライムサスペンスです。
街の顔役であるギャングと、腐敗した警察。その二つの巨大な犯罪組織の不気味さと恐怖が良く描かれていて、ラストの展開が期待されます。
アクションもリアルで痛さを感じられるシーンが多く、映画の緊迫感を盛り上げます。
あまりお金をかけていない為か派手さはまったくありませんし、手の込んだ仕掛け等もありません。それが逆にクライムサスペンスとしてのリアリティを高めているように感じます。
唯一マイナスなのは、ラストでしょうかね・・・どうしてもクライムサスペンスは暗い余韻を選択してしまうようですが、個人的にはカタルシスを求めたいと思います。
腐ってるな!イギリス
警察の汚職を扱った作品は数多くあれど、アメリカとは違い、警察しか頼る術がないところに警察全てが汚職にまみれていたという恐怖。実話を基にしたと謳ってはいるがどこまで真実なのだろうか。内部調査班の姿が見えてこないのも不気味だ・・・
出所したばかりのボクサー、リアム・マクドナーの目線と、正義のために重い腰をあげた雰囲気のベケット刑事が中心となり、警察腐敗の告発者“影の軍団”と記者ナヤンが事実関係を後押しする。時代設定はオリンピック後の話なのに、ITハイテク技術がまったく使われてない不自然さや展開が早すぎるという難点もあるが、見ている側とすれば市民の無力さに愕然としてしまう内容でもある。
オリンピックの会場誘致のための不動産利権。ティモシー・スポール演ずるカレンという親玉は麻薬密売、殺人をも厭わない悪徳不動産王だが、この不気味さ、憎たらしさは何だろう。記者を殴ったこと以外、自分ではほとんど手を下さないし、手下たちが確実に後処理を行う結束力も凄い。
今の日本のオリンピック利権を考えるにしても、なにか裏がありそうなのに、報道は全くされていない。現在は暴力ではなく、インターネットの力に頼っている時代。よほどのことがないと、腐敗した構造は明らかにされないのかもしれません・・・あぁ。
千葉真一は出て来ませんw
腐敗した警察上層部をも巻き込んだ不動産開発業者のCEO率いる犯罪組織に巻きこまれる武装強盗で9年間の服役を終えた元ボクサーの話。
ロンドンオリンピックの10年前、2002年の地上げ、というか土地強奪から話は始まり、殺された男の息子である兄弟が、親父が殺された事実は知らず自殺したものと思っている中で黒幕のカレンと絡んでいくストーリー。
せっかく更生して家族との距離を埋めようとする主人公に対し、弟のカレンとの繫がりがそれを邪魔する展開に、警察の腐敗と疑心暗鬼がドロドロと絡んでいく。
内部の腐敗に気づいた刑事との絡みや、曝いていく様は案外呆気なくて、せっかくスリリングになっていく筈の流れに深みがなく物足りなさを感じる。
"No destitute boy ever refused entry."
イギリスのNeo-noir映画。刑期を終えたリアムが向かったのは、妻子の元だったが、その敷居は高く、少しの時間だけですぐに弟のショーンのアパートへと向かう。すぐにでも仕事を捜そうと公共職業安定機関ジョブセンター・プラスに行っても
I'm afraid there isn't anything to take.
If anything comes up
you'll be the first to know. ...That's fine. Fine.
おざなりすぎる答えに諦めたのか...? リアム。
イギリスはロンドンを舞台にしているので、当然、映画自体が憤ってしまうぐらい暗く、画面を見てもアクションも演技もなぜか泥臭く、希望のない社会風景だけが目に先に届いてしまう。しかし、この暗さが反って、先の見えないリアムの未来を象徴しているようで、常に妻子の事を考え、泥沼の世界から何とか抜け出そうとするが、ジョブセンター・プラスの様な扱いを受けてしまう。しかも更生したくとも、周りがそれを許さないだけでなく警察も彼の事をただほっといたりはしない。
古代のオストロスの様な二面性?をもつ影の犯罪組織のボス、カレンがチャリティー・イベントの時に集まった人々の前で祝辞の言葉を述べる時、子供の養護施設の創設者であるアイルランド人慈善家トーマス・ジョン・バーナードの言葉を引用するシーンが印象に残る。
"No Destitute Child Ever Refused Admission" ここでは、Child➡boy
トーマス・ジョン・バーナードという方も2面生を持っていて、暗にこのことを映画では強調したいのか、彼は確かに貧しい子供達の家を作ったかもしれないが、その裏では、貧しく暮らす両親の承諾もなく強制的に誘拐まがいに子供たちを集め、そしてまだ未開であったオーストラリア、ニュージーランド、南アフリカといったコモンウエルス加盟国に送り込んで、その後、環境の悪さや性的暴行などの酷く、惨い仕打ちをされたことが記録に残っているが、何故か彼は、罪に問われることがなかった。情報伝達の欠如か、単にいわゆる貧しい人の言葉が届くのを阻むような、慈善活動家として人気がそうさせたのかもしれない。
話が進んでいくと、ベケット刑事が、一連の殺害事件や麻薬の密輸などを捜査していくうちに犯行そのものが、カレン一人の犯行ではなく、汚職警官の関与の問題も浮き彫りになっていく。シドニー・ルメット監督の映画「セルピコ(1973)」のようなエンタティメント性映画になるのかと思えば、それよりももっとどす黒いものが根底にあるように見える。
映画の中で面白いことがある。ベケット刑事が電話口でHello. Good evening.....といった後にGood morning.と言い直すほど時間を忘れて昼夜も問わず仕事をしているところや、悪党のカレンも一睡もできないようすで嫁さんから"寝てちょうだい"なんても言われている。よく考えてみたら、ラストの様子なんかを見ると、黒澤明監督の「悪い奴ほどよく眠る(1960)」のワンシーンにある巨悪の根源と思っていた岩淵がまさかの「お休みなさいませ」といった言葉に確か電話口の相手は「何を言っているんだ。朝だぞ。」と、また彼が、「なにぶん、昨晩は一睡もしなかったので……」という有名な場面を取り入れているのか、最後、関係者全員が.......。同じようになってしまうところなどよく似ていると個人的には思ってしまう。
色々なサイトで、今までやってきた甘いマスクの2枚目から、この映画「ロンドン・バーニング」でイメージを変えるかもしれない役柄に挑戦していると載っていたが、本人も今年33歳になり、新しい形の俳優に臨みたかったのかもしれない。
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