劇場公開日 2021年10月30日

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「我々は見つめているのか、見つめられているのか」MONOS 猿と呼ばれし者たち 牛津厚信さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5我々は見つめているのか、見つめられているのか

2021年10月31日
PCから投稿

コロンビアのゲリラ組織に生きる少年少女たちの物語。と書くと、かなりシビアな作風のように聞こえそうだが、その実、本作はディテールを削ぎ落とし、冒頭から我々を幻想的な”状況”へといざなう。どこか文明を否定したかのような人気のない高地で、駆け足、整列などの規律訓練を受けつつ、緊張から解放されると途端に無邪気な表情をあらわにする彼ら。その任務は、人質を見張ること。後の細かいことは、彼らが何者で、どこから来たのかも何一つわからない。そんな中で不測の事態が重なり、運命は彼らを予期せぬところへと押し流していく。終始、動物の鳴き声のごとき音色が耳を支配し、「2001年宇宙の旅」の猿たちや「地獄の黙示録」や「蝿の王」を思わせる”物語を超えた深淵”に暗闇から見張られているかのよう。もしくは人間であるのをやめ、猿へと進化を遂げようとする子らの物語なのだろうか。その不気味さと底知れなさが観る者を虜にしてやまない。

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牛津厚信