「ようやく劇場公開されたという思いで満足。ただ元々の物語の完成度は、他シリーズより劣る点は否めない?」ナイル殺人事件 細野真宏さんの映画レビュー(感想・評価)
ようやく劇場公開されたという思いで満足。ただ元々の物語の完成度は、他シリーズより劣る点は否めない?
まず本来この作品は2020年に公開されるはずが、新型コロナ等で公開が延びに延び、配信オンリーになってしまうのではという危惧がありました。そんな中、無事に劇場公開となったことが素直に嬉しいです。
「オリエント急行殺人事件」から続く本作では、若かりし頃のポアロから物語が始まります。
そして名探偵ポアロの背景が描かれ、本題のエジプトのナイル川をめぐる豪華客船へと話が進んでいきます。
この作品は、ミステリーの女王アガサ・クリスティによる名作「ナイルに死す」を映像化、という時点で物語の骨格は決まってしまうのですが、主演も務めるケネス・ブラナー監督のディレクションはキレもあり良かったと思います。
ただ、本作では「豪華客船の全員が容疑者である」ことを示すため、ポアロの言動が必要以上に攻撃的に見え、これは個人的には、やや残念に思えました。
論理は使い様によって「凶器」にもなってしまうので、ポアロほどの頭脳を持っていれば「論理という武器」を乱用し過ぎないのでは、と考えるからです。
そして肝心の「謎解き」ですが、これは原作の時点で「分かりやすい結末」ではあるため、総合的には前作の方が出来が良いと感じました。
さらなる続編があるのか現時点では分かりませんが、作品のベースは気に入っているのでシリーズ化を望みたいです。
コメントする