劇場公開日 2022年2月25日

「ミステリーの古典中の古典をケネス・ブラナーが再び映画化!!」ナイル殺人事件 バフィーさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0ミステリーの古典中の古典をケネス・ブラナーが再び映画化!!

2022年2月17日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

ディズニーさんに試写に招待されて、いち早く観てきたが、かなり公開延期が繰り返されていただけに、やっとという思いだ。

ゴールデングローブ賞にもノミネートされ、アカデミー賞の有力候補でもある『ベルファスト』や『マイティ・ソー』などの監督としても活躍するケネス・ブラナーが2017年の『オリエント急行殺人事件』に続き、アガサ・クリスティ原作作品を映画化し、自身もポワロ役を再び務めた。

今作では、ポワロのトレードマークである口ひげの意味が、過去のフラッシュバックを交えながら描かれる。今作のテーマは「愛」ということもあって、ポワロ自身が愛した女性の過去を描いている。ブツ切りのようにフラッシュバックされたり、セリフの中で語られるだけに留まっていることから、まだシリーズを続けるための伏線のような感じもする。

サロメ(ソフィー・オコネドー)が作家から歌手に変換されているといった、細かいキャラクター設定の変更や『オリエント急行殺人事件』にも登場したブーク(トム・ベイトマン)が再登場するなど、映画ならではの新要素もあるが、本筋はそのまま描かれているため、原作や1978年のジョン・ギラーミン版、『名探偵ポワロ』などで、あらすじや結末を知っている人にとっては、謎解きの部分での新たな驚きやミステリー要素というのは、薄れてしまう。

その代わりに俳優たちの演技や演出、ポワロの過去、エジプトの建造物シーンなどを盛り込むなどして、視覚的に楽しめるように工夫されている。

全く原作も映像化作品も観たことがない場合は、変に予習しないで、できるだけ初見で観た方が楽しめるだろう。

原作は古典中の古典。ストレートに描かれていることもあって、何か難解なトリックが隠されているのではないかとか、怪しい人物は逆に犯人ではない、逆にこの人は殺されない……とか、様々な変化球のミステリーやサスペンスとうものを、散々観てきてしまっている現代人だからこそ、あえて見過ごしてしまう、シンプルな着目点というものをメタ的に扱った作品であり、観客体感型ともいえるだろう。

事件が起こるまでに、映画の半分が消費されるだけに、何気ない会話のシーンは、かなり眠気を誘われるが、そのシーンを耐え抜くと、後半は事件が畳み掛けるように巻き起こっていく。

『モンスター』『ワンダーウーマン 1984』の監督パティ・ジェンキンスが、ガル・ガドット主演で『クレオパトラ』の再映画化を企画していることを知っていてのネタなのかは不明だが、ガルが劇中でクレオパトラのコスプレをするシーンがある。

もともとジャレッド・レトに似ていると言われていた、ラッセル・ブランドが今回は別人のように変身していることもあって、『ハウス・オブ・グッチ』などで変幻自在なカメレオン俳優としての印象を強くしていることから、逆にジャレッド感が増してしまっており、ジャレッドの変装と間違えてしまうかもしれない。そこも視覚的に狙ったのか??

バフィー吉川(Buffys Movie)