もちのレビュー・感想・評価
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ストーリーはフィクションであるがそこに映る気持ちはノンフィクション
主人公の卒業とともに閉校になる本寺中学校の一年間を追ったドキュメンタリーであり、そこに暮らす人々の話からストーリーが生まれ制作された映画で
キャスティングもそこに住む方たちなので暮らしの情景がありありとあった。
主人公の友人宅で夕飯を囲むシーンは帰省した実家感がすごくて
家族を感じるとても良い食卓シーンだった。
お婆さんが嫁いできた時の餅つきは祝の儀式・風習的なものもあったのかもしれないけど
別れの時も餅をつきたかったのはお婆さんへの感謝そのもののように思えた。
文化祭から卒業式にかけての過ぎ行き日々と卒業を迎える生徒に言葉を添える先生のシーンは
胸を締めつけるものがあった。
全員役者経験無しであるが、それが良かったというものがあり、
そう演出し導いた監督の手腕はすごいものだった。
観た後に自分の故郷と家族に会いたくなる映画でした。
命の伝承
活字に例えると、小説やルポルタージュとも違う、一篇の詩のような作品。
60分という小作ではあるが、映像と台詞の間に間に、悠久の時を感じ、想いがめぐる。
正月や彼岸のようなハレの日に食される事が多い「もち」
全国どこでも食されている物が持つ意味と価値が、現在まで、組織的に伝承保存されている事に驚きを覚えた。
意識的に伝承しようとしなければ、その文化的意味と価値は忘れ去られ、「もち」は単なる食べ物の一つになっていくのだろう。
同じような事が、映像の中では「踊り」についても語られている。
一説によれば踊り念仏に起源を持つとされる東北地方の鹿踊りや伝統舞踊も、伝えよう、受け継ごうという意志がなければ、形さえも消えてゆく。
廃校を間近にし、卒業を迎える4名の中学生が中心となって、文化祭に向けて「踊り」を継承せんとし、授業で「もち」のしきたりを学ぶ。
一関は平安時代に藤原三代が栄華を極めた平泉に接し、旧仙台藩の北部に当たる。そこに今も残る豊かな餠文化を捉えたこの作品は、商業映画とは一線を画す文化的意味を感じる映像だ。
「餅つき」を男女の営みになぞらえる翁の話を聴いていると、この作品は「もち」や「踊り」を通して命の伝承について語っているのだと思えてくる。
感受性豊かな映像
とても良かったです。
本当に、実録のような、フィクションのような。決して、俳優では演技できないシーン満載でした❗️あのユナちゃんは、すごい原石発見ですね。他の出演者も感受性豊かで感動しました。
おじいちゃんとユナのシーンはなんとも言えない、素晴らしい映像でした。
あと、とても微笑ましいシーンは、みんなで横一で待っていたバス停のところ。トトロのシーンを思い出しました。
この「もち」が、もっと多くの人に観てもらいたいですね。
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