「エンドゲームに似た雰囲気を楽しめる」ラーヤと龍の王国 B25(海外出張の為一時休会予定)さんの映画レビュー(感想・評価)
エンドゲームに似た雰囲気を楽しめる
500年前に人間を石化する悪魔ドルーンが現れ、それを龍達が犠牲になりドルーンを魔法の石に封印し今に至る。
その魔法の石を巡って人々が争い奪い合ってしまった結果石が壊れ悪魔ドルーンを解放してしまい人々の多くが石化されてしまう。
主人公のラーヤの父達は争う人々を理解し合える関係を目指していた。ラーヤもそんな父の姿を見て敵対する村の長の娘を信じてしまった事がドルーン解放のきっかけを結果的に作ってしまった。そして父も石化してしまう。
そこから6年後がこの作品の舞台となる。ラーヤは割れた石の欠片を集め石を戻す事を目指す。
石を戻せば石化された父、そして人々が蘇ると考えるからだ。
その石を集める旅の途中で伝説の龍シスーを復活させる。
失った石の欠片は敵対する近隣の村々がそれぞれ抱えており、結果各々の村の石を集め最後は石を一つにしドルーンを封じ人々の石化を解くストーリーである。
この作品のテーマは「信じる」事だ。この作品においてヴィラン的な者は存在しない。
もちろんラーヤ視点に立つとよその村々の者が敵に感じる。彼らの背景が事細かく描かれているわけではないが、彼らもまた彼らなりに世界平和を望み幸せを願っている。
ただ各々の正義の違い、平和に導く方法や考え方が違う。各々が自分らがリーダーとして導こうとするからぶつかり合い争いが起きている。
ぶつかり合えば犠牲も生まれる。その犠牲を負ったものが今度は憎しみと化しさらに争いを生んでしまうのだ。
この作品でいえばラーヤの父、そしてシスーが信じる事を大切に考え、自らが相手を信じる事を率先してきた。ただ両者とも裏切られ傷も負った。側にいたラーヤは時には強い憎しみを覚えたり、復讐心が芽生えかけるもギリギリで堪え、そして敵対する相手を信じる心を少しづつ成長していく描写が楽しめる。
最終的にラーヤが6年前に裏切られた相手を信じ、500年前シスーの兄弟達がシスーを信じた事を同じように行いドルーンを封印し人々の石化を解き最後は敵対していた村々が一つになり作品は終わる所はとても興奮させられる。
この作品の良いところは、力のあるラーヤが自らの力で事を全て解決していくだけではなく、敵対する相手を信じ最後は過去に裏切られ敵対関係にあった者を信じ託すところが何より美しく、そしてこれまでのピクサー作品とは違う新鮮味を感じられる。
ほぼほぼ満足して楽しめたがストーリー展開が早く、信じるまでの心情的描写が少し淡白に感じるシーンも時折ある。
またラーヤ役の声優さんの吹き替えも時折違和感あるシーンがあった。
ディズニー作品の大ファンなだけに今作も十分に楽しむことはできた。
特に今作は歴史的な雰囲気や神秘的な雰囲気を扱う最近は少なくなってきたディズニー作品の原点なような物でもある為とても楽しめる。
序盤は説明描写が多く続く為そこだけは注意深く気をつけて見てほしいものだ。