「a Way」Away uzさんの映画レビュー(感想・評価)
a Way
『Flow』が興味深かったので、過去作をリバイバルにて。
バイクに乗ってのロードムービーということだけ把握してたのだけど、なかなか旅立たず。笑
だいだらぼっちのような巨人が、ゲートのような岩からこちらへは来ない理由は不明。
持ち主が白骨化するほど時間が経ってるのに、バイクは何事もなく動くし、水も腐ってないのは何故?
主人公の表情が変わらないのもあり、巨人の存在を知ってたかなど世界観はずっと茫洋としたまま。
バイクにマフラーはあるのに排気が描かれないし、リアリティラインの置きどころにも困ってしまう。
出立後は、ひたすら数cmの深さが続く“鏡の湖”とか、間欠泉のような“眠りの井戸”へと続く。
途中で巨人を橋下に落としたり、鳥が飛べるようになってお別れしたり。
様々な動物とも出会うのだが、この辺の意味も読み取れず…
最後は街に辿り着き、いくつかの人影が近づいてくるという平和なのか不穏なのか曖昧なラスト。
巨人の存在も結局よく分からんし、他の動物の時は普通にまた歩き出したのに主人公の時だけ霧散。
事故被害者の怨霊?生き残った主人公の罪悪感?単なる不安のメタファー?
モーションに関しては結構残念。
冒頭のダッシュは腿上げトレーニングとの中間みたいだし、走り出しの数歩分の動きが皆無だった。
終盤の雪山も、あの傾斜でバイクを押す重みを感じず、下る時のスピードも有り得なさ過ぎる。
動物の動きのリアリティは必要ないにしても、水の質感は正直ヒドい。
ただこのあたりは『Flow』での進化を感じる部分なので、ある意味では感慨深いものもあった。
BGMは短いフレーズの連続ばかりで眠い…
本作単体としては個人的にはまったく評価できないが、監督の歴史としては興味深く観た。
そして、新海誠の凄さを再確認した。