「概ね楽しめたが、少し勿体無い点も」劇場版「鬼滅の刃」無限列車編 旅人さんの映画レビュー(感想・評価)
概ね楽しめたが、少し勿体無い点も
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私はファンではありませんが、一応、原作は全巻サラッと読み、アニメも全話視聴しました。
【良かった点】
・作画のクオリティが高く、技の演出等、改めてバトル漫画の中では群を抜く映像の迫力があった。
・原作を完全再現していると思われる。夢の中での炭治郎と家族のやり取り、別れるシーンは特に見応えがあった。
【残念な点】
・鬼滅の物語の醍醐味のひとつは、どんなに残虐性の高い敵キャラにも人間時代に辛い過去があり、読者として少なからず同情できる点にあると思うのだが、今回登場した下限の一・魘夢にはそれがない。本当にただの悪者キャラに成り下がっているのが非常に勿体無い。
・これは原作を読んでいても思ったことだが、私は煉獄さんに感情移入が出来なかった為、死んでも正直泣けなかった。それは煉獄さんの背景となる描写が描ききれてなかったからだと思う。例えば、なぜ煉獄さんは鬼狩りをしているのか(母親から「弱き人を助けなさい」という教えがあったが、それと鬼殺隊がイマイチ結びつかない)、なぜ柱にまで上り詰めたのか、現在の強い心を持つまでの葛藤等、そういった部分の描写が弱いため、「オレはオレの責務を全うする」というセリフがグッとこなかった。また、「老いることも死ぬことも人間という儚い生き物の美しさだ」というセリフは名言だと思うのだが、そういった思考の背景となる母親の死が上手くリンクしてないように思えた。
・尺の問題もあると思うのだが、煉獄さんが死んだ後、煉獄家での父親や弟とのやり取りも少々入れるべきだったかなと。母親の伏線は回収できたのかもしれないが、原作未読の方からしたら、「中途半端に出たあの父親は何だったんだ?」となると思う。
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