「確かにいい作品ですが…」劇場版「鬼滅の刃」無限列車編 おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5確かにいい作品ですが…

2020年11月1日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

単純

興奮

小学生の甥と姪にせがまれて鑑賞してきました。といっても、子守のためにいやいや行ったわけではありません。原作未読ながらテレビアニメは全話視聴済みで、公開を楽しみに待っていたファンの一人として観てきました。

本作は、テレビシリーズ26話の続きが描かれるのですが、その復習的シーンはなく、全話視聴済みが前提であるかのような展開がいっそ清々しいです。まあ予備知識がなくても、観ているうちになんとなくわかるとは思うのですが、一見さんは覚悟して行ったほうがいいでしょう。

ストーリーは、命令を受けた炭治郎、善逸、伊之助らが、多くの行方不明者を出している無限列車に乗り込み、煉獄杏寿郎と合流して鬼を倒すという、ごくシンプルなものです。しかし、敵である魘夢が血鬼術によって、炭治郎たちの内面を抉るところがなかなかエグいです。そして、そこからのバトルも劇場版ならではの迫力のある仕上がりなっていたと思います。

しかし、本作の見どころはさらにその後にありました。それは、煉獄VS 猗窩座のバトル!これがとにかく熱いです。本作の主役は完全に煉獄ですね。煉獄の男気、柱としての矜持など、炭治郎ならずとも心打たれるものがあり、目頭が熱くなりました。せめて最後はなんとしてでも猗窩座を討ち取ってほしかったのですが…。

「鬼滅の刃」のいちばんの魅力は、それぞれのキャラの背景として人生がしっかり描かれていること、そして炭治郎のやさしい眼差しを通して視聴者もそこに共感できるところにあると思っています。それは、たとえ相手が鬼であってでもです。だからこそ、琴線に触れる作品に仕上がっているのだと思います。しかし、本作では炭治郎との絡みが少なかったためか、そこがやや薄味だったように感じたのは残念でした。

あまりの混雑ぶりに公開から1週間待っての鑑賞でしたが、それでも場内はほぼ満席で、あらためて鬼滅の人気ぶりを確認しました。確かにおもしろい作品ではあるのですが、社会現象と言ってもいいほどの異常な人気ぶりなのには、首を傾げたくなります。なんとなく供給側のビジネス戦略に乗せられてる気がしないでもないです。本作もよい作品ではありましたが、テレビで第2期として放映してもよかったのではないかと思います。本作の続きはまた劇場版なのでしょうか。できればこの続きは、またテレビで最終話まで放映してくれることを望みます。

おじゃる