ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密のレビュー・感想・評価
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マルタの特異体質が面白い
犬神家の一族みたいな遺産相続系のサスペンス。俳優が豪華で話題らしいけど、俺はメグ役(13の理由)の人しか知らないから純粋に話を楽しめた。登場人物が多く混乱するかと思いきや、全キャラ魅力的で性格が分かりやすいからすんなり頭に入る。特に好きなのはマルタとランサムだ。
マルタの特異体質が面白い。
嘘をついたら吐いてしまうという奇妙な設定に惹かれた。容疑者なのに嘘をつけないって致命的、それでも何とか尋問をかわそうとする姿が可愛らしい。美女が嘔吐するシーンなんてなかなか観れないから貴重だ。最後ランサムにぶち撒けのは爽快。
ドジっ子マルタちゃん。
ハーラムの計画をことごとくしくじるマルタも可愛いらしい。窓壊したり、泥や足跡残したり、駐車場所に迷ったり、お世辞にも完全犯罪とはいえない行動しちゃう。一見マジメそうにもみえて完璧にこなすかと思いもしたからギャップ萌え。
そんなドジっ子マルタが徐々に家族に立ち向かっていく姿が勇ましい。序盤はおどおどして意思のない女の子って感じだったけど、遺産相続に選ばれた辺りから力をつけてくのが良かった。お金の力とハーラムの信頼はそれだけ強かったってことか。一度でいいからめちゃくちゃ信頼されてみたいものだ。
ランサムとかいう無職クズ。
一度も働いたことがない祖父のすねかじり無職。絵に描いたようなクズなのにどこか憎めないキャラが好き。マルタに近づいてからは良い人かと思いきやまさかの黒幕。挙げ句の果てにはマルタを殺そうとしちゃう。マジモンのクズでしたね。最初から最後まで徹底してクズ道を通した彼には、呆れを通り越して賞賛を贈りたい。
登場人物が多い作品だと、どうしても複雑になりがち。でもこの作品はサラッと分かりやすく紹介してくれるので理解がしやすかった。人によってキャラの好き嫌いが別れそう。みんなは誰が好き?
気楽に観られる
話題になっていたので視聴。
思ったよりダニエルクレイグが出てこない…あの女の子ばっかり出てきた。ランサムいい人やなかったんやなあ。結局は自殺やったわけか。自作自演なのは読めたけど、その後は読めなかったなあ。あの後、あの家族はどうするんやろう。
お見事
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大富豪が85歳だかの誕生パーティの後、喉を切って自殺する。
この映画、割と倒叙的で、死の真相が早くから描かれる。
マルタはブラジルからの不法移民の娘で看護婦だった。
性格が良く、大富豪から気に入られ、話し相手のような存在だった。
正直で、嘘をつくと吐くという、面白いキャラ。
その夜、いつも通り大富豪に鎮静剤と睡眠薬用モルヒネを打った。
でも量をそれぞれ逆にしてしまい、中和剤を打たないと10分で死ぬ。
なのに中和剤が何故かカバンに見当たらず・・・。
これで死を覚悟した大富豪は、マルタを守る行動に出た。
誰にも会わず帰るよう指示した後、自殺したのだった。
で匿名の依頼人から依頼を受けた探偵による捜査が始まる。
また大富豪の遺言が開封され、全てをマルタに譲るとあった。
一族全員がマルタを敵視するが、大富豪の孫の青年は味方してくれた。
そんな折に「全てを知る者」からマルタの元に脅迫メールが・・・。
実は真犯人は、その内容を事前に知った、その孫だった。
でマルタの鎮静剤とモルヒネのビンを入れ替えたのだった。
またその時に中和剤も持ち去っていた。
マルタのミスによる死だと、遺言状の内容が無効になるため。
でそれを明るみに出すために、探偵を匿名で雇ったのだった。
ところがマルタが直感的に間違えたため、失敗に終わった。
こうして大富豪は全く意味なく自殺したのだったw
マルタが事件と関係あることを当初から見抜いてた探偵だが、
孫の犯行であることを悟り、そこから一芝居を打つ。
さらにマルタも一芝居打つ。これに孫が引っかかる。
そしてアホみたいにペラペラしゃべり、逮捕w
証拠なんて本当は無かったのに、アホ過ぎ。
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いやー、よく練られたストーリーやったなあ。
倒叙的な構成も良くて、見る者はマルタが犯人だと信じ込む。
とは言え事故やし、可哀想に・・・って感じ。
ところが実は真犯人がいて、マルタは無実だった・・・。
うまく騙されたー、これおもろいなあって思ったわ。
実際この孫だけでなく、一家の者それぞれ怪しいし、
探偵や刑事が怪しいと思う瞬間もあった。見事な演出。
マルタが実は悪魔のような裏人格なのかも、とかも。
映画って面白いなあ、って思った作品。
映画館で見たんじゃないのに5がつくのって珍しいわ。
気軽なミステリー作品
アガサ・クリスティーのオマージュとしてはとても良く出来た作品だと思った。
ちょっとダニエル・クレイグの話し方とかが芝居がかりすぎていたかも。
先祖代々のものを、というのが実は80年代にパキスタン人から購入しただけだったというのは笑った。
マルタ頑張れ!
マルタ役の女性(見た目というか性格とか話し方とか)が兎に角可愛らしくて、ブランクでなくとも応援したくなる。犯人の目処はだいぶ早く付いていたが、何が起こったか、に関しては思ったよりもはるかに複雑だった。オチのコーヒーカップの使い方は素晴らしいと思った。130分という長さを感じさせない映画。
倒叙のようでいて王道
倒叙ミステリーのようでいて、実は通常のミステリー。犯人は犯人ではなく善人で、本当の犯人が裏にいる。
自殺に見せかけた他殺、遺産相続、王道なミステリ的な展開でありきたりではあるが、見ている側は最初から死の真相を知っている一種の倒叙もの。
ものすごく意外な展開というわけではないけど、探偵の小気味いい台詞回しと、テンポの良い展開の面白さに惹かれる作品。
嘘をつくと吐くというのも非現実的な設定だけど、コメディとしての面白さや、ラストのオチとしての面白さも重なっていて、良いですね。
刃の館の秘密とは
作家の遊び心が詰まった屋敷とか日常がもう少し描いてたらもっとよかった。でも久しぶりに楽しめた作品だった。
難事件解決の有名な探偵が初めは、それなりの関わりでだんだんもしかしてポンコツ?とおもったり。
シンプルな事件と思いきや、なんのなんの。
マルタにはどうか幸せになって欲しかったけと、どうしたのか気になる。そんな所ではなしを終わらせたのもよかった。
今は余韻をたのしんでる
レビュー読んでいただけるならば、鑑賞後が良いと思います。
アガサ・クリスティものだと思う。
以外な人物が犯人って事かなぁ?
複雑な話になっているが、割と単純に見れば良いと思う。
犯人探しだけに、回想場面が多いのが欠点。でも、崖の近くで全員集まって、『そうです、あなたが犯人だ』が無いので、火曜サスペン○劇場では無い。
2回目の鑑賞だったが、結末を忘れていたので、楽しめた。しかし、結末を2度見るような映画とは言えないかもしれない。あとは何も語れない。
ライトに楽しめる今風の古典ミステリ
先に言っておくと本作はアガサ・クリスティの作品に影響を受けたミステリなので、登場人物全員怪しいけど特にこの人が怪しいよねという形のまま物語は最後まで進みます。(オリエント急行殺人事件みたいなポアロが主役の作品を見たことある人はあの感じと言われればすぐわかると思う)
じゃあそれがつまらないのかと言えばそういうわけではなく、ミスリードはあるもののしっかりと伏線が張られており、「どうしてこういうことになってしまったのか」という過程を丁寧に描きつつ最後に探偵がビシッと犯人を言い当てるという古典ミステリのお手本のような映画となっています。
基本的にシリアスに話は進むのですが、ところどころにキャストが真面目だからこそ面白く見えるポイントがあり、「いやいや…w」と笑わせてくるのも良かったです。
ツッコミどころはあるもののそれを野暮なこと言わない"お約束"として見られるのであればとても面白い作品でした。
ただ、謎が謎を呼び最後に大ドンデン返しが待っているようなカタルシスは無いので、それが好きな人には退屈に感じるとも思います。
2作目がNetflixで公開される前にまだ未鑑賞だった1作目を鑑賞したのですが高評価なのも納得。
2作目もとても楽しみです。
殺したのは誰だ!?
古典ミステリ
所々ユーモアを交えながら淡々と進んでいく
裕福な老人、貪欲な家族、誠実な雇われ人、いかにもな名探偵
かなりの王道なシチュエーションだが、はじめの供述で真実は明らかになってしまう
ここからはブランの言う通りドーナツの中のドーナツを埋める丸が必要
そのピースを埋めるために疑問を解決していく
トリックがフェア、超人的な推理をするわけでもなく親しみやすい
嘘がつけない偽の犯人をワトソン役にして、いかにもだがどこかぬけた名探偵が事件を解決に導く
偽の犯人は自分にできることを誠実にやり抜いたからこそこの結果を得た
ラストではコーヒーカップがシニカルに締める
My house, My rules, My coffee.
予告、キャッチコピー、先入観なしで観たかった
観客のミスリード、丁寧な伏線回収は見事
しっかりとした王道の探偵もの
三谷幸喜Lv.100みたいな映画! ミステリーの新たなマイルストーンがここに誕生💕
名探偵ブランが、ベストセラー作家ハーランの死の真相を解明していく正統派ミステリー。
ハーランの個人看護師マルタ・カブレラを演じるのは『ノック・ノック』『ブレードランナー 2049』のアナ・デ・アルマス。
ハーランの孫で一族の鼻つまみ者、ヒュー・ランサム・ドライズデールを演じるのは「MCU」シリーズや『gifted/ギフテッド』のクリス・エヴァンス。
名探偵ブノワ・ブランを演じるのは『007』シリーズや『ドラゴン・タトゥーの女』の、6代目ジェームズ・ボンドでお馴染みのダニエル・クレイグ。
ハーランの孫でネトウヨの青年、ジェイコブ・スロンビーを演じるのは『ヴィンセントが教えてくれたこと』『IT/イット』シリーズのジェイデン・マーテル。
また、マルタの妹が観ているドラマの登場人物、探偵ハードロック役で『(500)日のサマー』『インセプション』のジョセフ・ゴードン=レヴィットがカメオ出演している(声のみの出演)。
第91回 ナショナル・ボード・オブ・レビューにおいて、アンサンブル・キャスト賞を受賞!
いや〜!コレは面・白・いッッ!👏
正直、これまで観たどんなミステリー映画よりも面白かった!
何というか、レベル100の三谷幸喜が作った映画、って感じかな?
アガサ・クリスティを読んで育ったというライアン・ジョンソン監督。
本作はその影響を感じさせる、王道ミステリーど真ん中となっております。
しかし、だからといって古臭い映画、という訳ではない。
物語はスマートに、コメディ要素はたっぷりと、現代的な政治要素もひとつまみ。
非常に骨太だが、その一方でキュートな側面も持つ、正に娯楽100%の現代的な映画となっております😆
「嘘をつくとゲロを吐いちゃう女の子」という、あまりにもリアリティのない漫画的なキャラ付けをされた主人公マルタ。
本格派ミステリーにあるまじきキャラクターでありながら、マルタのこの特性が全く物語の邪魔になっていない。
ゲロ吐き女というとんでもない飛び道具を使うことにより、映画全体のリアリティ・ラインを下げ、「これは楽しいミステリー映画なんですよ〜。しかもリアリティ・ライン低めのミステリーなんで、難しいことは言いっこ無しですよ〜。」ということを暗に観客に伝えている。う〜ん、上手い。
ただ、この「嘘をつけない」という特性をもう少しストーリーに組み込んでも良かったかも、とは思うけど…。
ゲロを吐いちゃうというギャグ技は、使い所を間違えると凄くサムい感じになってしまう。
しかし、それを上手くコントロールしてちゃんと笑える映画に仕上げているところに、ライアン・ジョンソン監督の確かな手腕が感じられる。
これが邦画のダメなコメディ監督だったら、死ぬほどサムい映画になっていたことでしょう…🥶
豪華キャストな役者陣も最高!
主人公マルタを演じるアナ・デ・アルマス。
とにかく可愛い💕今世界で一番可愛い💕
もう1人の主人公である名探偵ブノワ・ブランを演じるダニエル・クレイグ。
渋い!そしてめっちゃ楽しそう🤣ウキウキしながら演じているのが画面のこちら側にも伝わって来た。
どら息子のランサムを演じるクリス・エヴァンス。
こちらもめっちゃ楽しそう!🤣キャップという大役を演じ切って、肩の荷が降りたのでしょう。キャップの面影を一切感じさせないゲス演技が最高ー♪
ハーラン一族を演じた役者陣も最高で、もう本当にゲスの極みな地獄絵面を完璧に表現し切っていた。
ハーラン一族はお爺ちゃんお婆ちゃんを除いては全員クソ野郎なんだけど、どこか憎めない可愛げがある。
これはやはり役者陣のスキルの高さゆえなんだろうな〜。
今日的な要素として、移民に対する差別意識や白人至上主義的な思想に対するカウンターが描かれている。
右の奴も左の奴も、移民がイニシアチブを握るのは気に食わねえ!と思っている。
こういう国民意識があるということを、決して押し付けがましくない形で、しかし強烈なインパクトを持って我々観客に突きつけてくるのがこの映画。
「先祖代々受け継がれてきたこの家を守る義務が俺たちにはある!」と言い放つランサムに爆笑するブラン。
「この家って80年代にパキスタン人の移民が作ったんですけどー🤣」というブランのセリフは、中々に印象的。
「アメリカに長い歴史なんてないし。そもそも白人だって元々は移民だし。しかもこのアメリカって白人がマイノリティを酷使して作り上げた国家じゃーん🤣」というライアン・ジョンソン監督の主張がこのセリフに全部集約されている。
政治的なメッセージは込められているのだけど、そこはあえて薄めに描いている。あくまでも本作は娯楽映画であるという姿勢は崩さない。
移民であるマルタが最終的に遺産を受け取るわけだけど、これだって結局はマルタが物凄く善人で働き者だったから。
見返りを求めない無償の愛、つまりアガペーを顕現させたものこそが最終的には恵みを得ることが出来る。
なんともキリスト教的なクライマックスは、まるで道徳の授業や童話のようなオチではあるが、物語的な落とし所としては最適解だったように思います。
中盤、少々中弛みしていると感じましたが、クライマックスに向かっての盛り上がりは素晴らしかった✨
特に、あのスローモーションからの「…shit」は、演出といい間といい最高でした👍
「あいつは本物の刃と芝居の小道具の区別がつかない」というハーランの発言が、見事な伏線として生きてきたところなんか、見事すぎて感動しちゃいましたよ〜!
久しぶりに純粋に面白い映画を観たような気がする。
このライアン・ジョンソンって、『スター・ウォーズ』ep.8の監督もしているんですよね?
『スター・ウォーズ』は観ていないけど、ライアン・ジョンソンが作ったんだからきっと凄く面白い…んだよね?…凄まじく荒れているけど…。
…まぁ何はともあれこの映画が傑作だということには異論の余地なし!おススメ!
めちゃくちゃライトなミステリーでした。 ※ネタバレは纏めて最下部
多分、この作品に興味持つ人の多くは「アガサ・クリスティに捧げる傑作ミステリー!」的なCMを見て期待したのでは。
結論から言うと、ミステリーを期待して観ると肩透かしかなと。アメリカで絶賛されたミステリーと聞いてワクテカ過ぎて禿げ散らかってたんですが、謎解き得意ってわけでもない自分でも、個人的にはそんな大した謎解きではなかったような。
じゃ何がそんなに評価されたかというと、ひとえに「移民問題と差別」をテーマとしてブチ込んだ皮肉の効いたストーリーをコミカルに纏めたからではないでしょうか。
多分移民や差別に関心がない人でも、にこやかな会話の中に棘を感じると思います。序盤からナチュラルにその「棘」を出してくるのが本作の自己紹介のようで、とても良い。
実は重たく悲しいテーマですが、コミカルでライトな作りのため、2時間なのにサクッと観られました。見終わった時「もっと長くて良いから丁寧に人物描写してほしかったなー」と思いながら時計見たら2時間以上経ってて目が吹き飛びました。
要注意シーンは盛大にゲロが出てくるのと、蜘蛛が1匹出てくる、オ〇ニーという単語が出てくる程度。
あらすじ:
ミステリー作家ハーランの85歳の誕生日を家族で祝った翌朝、ハーランは遺体で発見され、何者かに雇われたという私立探偵のブランと警察が聴取にやってくる。ハーランの専属看護師で移民のマルタは、ハーランの家族からも真面目でよく働く家族同然の女性と言われ可愛がられていたが、家族間のいさかいや相続の話になるにつれ、家族の本性が剥き出しになっていき…
"Knives Out"は「ナイフを突き付け合った状態」のような意味で、本気で罵り合う、攻撃し合う緊迫した状態を表すようですが、まさしくこの家族を表しています。ハーランの家にはナイフが大量に刺さったオブジェが置いてあり、海外版DVDジャケ写にもなっているのですが、それがストーリーの中で一つの意味を持っていることもあり、センスの良いタイトルだなと感じました。
上に書いた通り「アガサに捧ぐ」とのことで、大元のアガサミステリーはどんなんかというと、謎解きは意外と「な~んだ」って程度だったりするそうで、とにかく人間ドラマが緻密に描かれているそう。それなら本作の「な~んだ」なアッサリ感は「アガサに捧ぐ」と言われても納得できなくもない。
でも、あくまで「アガサ・クリスティーレベルの傑作」というよりは「アガサ・クリスティーに憧れてファンが模した『っぽい』作品」という雰囲気は否めません。アガサミステリーを狙ったにしては、人間ドラマが薄っぺらい。これは監督や脚本のせいというより、元々ミステリーは登場人物が多いことが多く、小説より映画の方が薄っぺらくなりがちなのもあると思います。映画だと1人1人きちんと描いたら何時間かかるんですか?って話で。
本作も1人1人のキャラはそこまで立っていません。で、中盤までいっても埋もれてるキャラの中から急に犯人が出てくることはないだろうから、じゃあキャラ立ってる奴らの中で犯人になりそうなのは…と考えると、大体わかってしまう。
上にアガサ・クリスティの作品は、謎解き自体は大したことない(ネタばらし後「そうだったのかー!」ではなく「なーんだ」となるタイプのやつ)ものが多いらしいと書きましたが、そう考えると本作は、謎解きも大したことない、人間ドラマもちょっと薄い、だからライトな作品と感じたのかも。
とはいえ、良い感じにコメディタッチでスピード感はないなりにテンポ良く進展はあるので、飽きた、まだ終わらんのか、ということはないんですが。
自分の中では、一言で言うと出来すぎているというか、完璧に整え過ぎたのではというのが見終わってすぐの感想でした。舞台脚本っぽいというか。とにかく無駄な台詞やシーンがなさすぎて、ミステリーにしてはヒントが多すぎるんですよね。意味のある台詞は最初から意味深に言ってくれ、重要アイテムも最初から意味深に置いてあるので「あ、ハイハイ」みたいな、テスト後の自己採点の空気感。
個人的には、何気なく言ってた台詞が後になって「そんな意味だったのか(゚д゚)!!!」とか、一見別の意味で言った言葉や日常の中の何気ない一言が実は…!!とかが好きなので、ここが最も肩透かしでした。日常会話(に聞こえる自然なやり取り)がもっとあっても良かったんじゃないかなと。キャラの設定をただちょっとした演技で自己紹介されただけのような気になってしまうのは何故なのか…何気ない会話で全体の人間関係を深堀りしてほしかった。
それがないと謎の大したことなさが目立つのか、俳優が豪華じゃなかったらTVドラマくらいのライトなクオリティだな、と鑑賞後ちょっと昔の火曜サスペンスを思い出した人もいる…
……
…いないか。流石に。
火曜サスペンスも昔はなかなか良い出来だったんですよ。
キャラは、長女夫婦のリンダとリチャードが不動産業、その子供は無職で働く気もゼロで金遣いだけは荒い放蕩息子ランサム、長男(故人)の妻はインフルエンサー、娘のメグは大学生で、マルタとは歳も近く仲良し。次男のウォルターはハーランの出版社のCEO、その息子ジェイコブはネット世代の今時少年。他にハーランの母ワネッタ、家政婦フラン、ハーランの専属看護師マルタ。
マルタは移民で、看護師協会を経ずに直接ハーランに話し相手として雇われ毎晩モルヒネや鎮痛剤を注射する専属看護師。
演技は、個人的に主演のダニエル・クレイグは今回あまり良くなかった感じがしました。わざとらしく、浮いてるように感じました。コメディだから別に良いのか。ゴールデングローブ賞で主演の2人ダニエルとアナ・デ・アルマスは賞獲ってますし、こんなとこで素人がガタガタ言ったところでしゃーないんですが、ダニエルはこの演技で獲れるならもっと他の作品で獲れたんじゃないかと…(失礼な)
↓↓
以下
ゴリゴリの
ネタバレ
↓↓
全体の人間関係を深堀りしてほしいと書きましたが、主人公?のマルタと犯人の周辺だけは割と詳しめに描かれているので、余計に容疑者が際立ってしまい気になりました。
ただ、本当に移民問題・差別についてがメインテーマなのであれば、もう犯人が序盤でわかっちゃうとか何とかどうでも良かったのかなと思ったり。何で「アガサ・クリスティに捧ぐ」だったのか気になってたんですが、監督はミステリーそのものも勿論好きなんでしょうが、恐らくアガサの、社会の底の方に横たわっている根深い問題とそれに翻弄される人間の心情をつぶさに描く手腕に惚れていたのかなぁと(アガサ詳しくないので頓珍漢だったら申し訳ないんですが)。そういう作品にしたかったのであれば、良かった…のか…?
上にも少し書きましたが、マルタの紹介をする時ほぼ必ず「移民」「〇〇から来た」「〇〇人」みたいな言葉が入る、しかもそれが人によって違っている。要するに「余所者であること」は強調するのに、その人のアイデンティティである「どこの国か」を覚える気はサラサラない。
作中でマルタはハーランの家族に「家族のように思っている」と何度も言われますが、特に仲の良かったメグは、相続の話の後にマルタに「うちの金だから返すべき」と電話してきます。視聴者には、実は家族に圧力を掛けられているメグの姿が映り、ここで一見「仕方なかった」ように見せています。メグも板挟みだったのだろう…と。
しかし、自分が前にマルタに言ったのと同じ台詞「心配しなくていい、私を頼って」をマルタから言われた途端電話を切ったことからも、「自分達から『奪った』金を手にした途端『上から目線で』『施しを与える』と言われた」ように感じ、不快に思ったんじゃないかと思います。
これが「要望が通らないとわかったから途中で切っただけ」としても、その後、マルタの家族は不法移民だと家族に話してしまう。マルタが信用したハーランとメグだけに話した情報なのに、わざわざマルタが追い詰められている状況で、自分が黙っていれば知られなかったはずの友人の秘密を、友人を脅かす相手に話したわけです。
メグは終始マルタに対し友人として親切に振舞っているように見えますが、実際には他の家族と変わらないということがわかります。
また、中盤に移民のことで長女の夫と次男が言い争いになりますが、ここで「アメリカはアメリカ人のための国だー!」と主張。
そして終盤、めちゃくちゃブラックジョークですが、ランサムの「代々続く由緒正しきこの豪邸をお前みたいな移民に誰が渡すか!」という台詞に対し、ブランが「ブワハハハwww お前のじいさんがパキスタン人から買った家だぞwww」と超ド級の煽りを入れてくる。
作中通して言われているのは、移民に対して、あるいは黒人に対して(ランサムが南部南部言ってる刑事)、表向き「差別反対!」「自分と違う人種の人にも理解あります」「移民とも平等にオトモダチやってます」風を装ってる人達も、一皮剥けばこうだろ、という嫌味なんではないかなと思います。
「移民に親切にしてあげる自分」「移民とオトモダチになってあげてる自分」に酔ってるだけで、本当に理解しようとも受け入れようともしていない、実際お前ら当然のように世話になった他人を押しのけて生きてる自覚すらねーだろ、とこのライトな空気感の中で叩きつけてくるわけです。この尖がった作風がアメリカでウケたんじゃないかなと。
メグが「『奪った』金を手にした途端『上から目線で』『施しを与える』と言われた」ように感じたのではと書きましたが、これと「アメリカはアメリカ人の国」、「代々続く家」に対し「少し前に買っただけ」という台詞を合わせると、「結局デカい面して自分達が住んでるこの国は他人(ネイティブアメリカン)から奪った土地だろ」という嫌味と共に、奪った相手(ネイティブアメリカン)に対し上から目線で「施しを与えた」気になって自己陶酔している成功者(主に白人)への痛烈な批判であり、更に「自分が奪った物は平然と『自分の物』と言い張るくせに、自分が奪われた物を『他人の物になった』とは絶対に認めない」人々の矛盾を遺産相続のシーンで表しているのでは。
「遺産相続でモメる」はミステリーでありふれた展開ですが、よくよく考えると「ああ、よくあるアレ」では済まないのが面白い。
ラストにマルタが豪邸の2階から家族全員を見下ろしているのも、結局所有者なんてものは時と共に変わるもので、マルタを見上げる家族の中に友人であったはずのメグが含まれているのも、本物の友人ではなかったことの象徴なんでしょう。
また、気になったのがランサムの「碁で勝てるのは俺だけだと思ってた」「特別な絆がなくなった」という台詞。この言葉が本気なら、(勿論金も欲しいんだろうけど)ハーランがマルタを可愛がってることを知り自分を見捨てたと思ったのかなーとも考えられて、ちょっと悲しい。自分だけが対等に話せ、遊びの相手も自分だけが対等にできたのに、と。
もし本気で特別な絆があったと思っていたなら、ハーランが支援を打ち切るのは愛故なのに、自分にくれていた支援をマルタに変えた=特別な絆(愛情)をマルタに奪われたと勘違いしたことによって、ランサムは唯一の理解者を失ったことになる。
ギャグシーンも結構あり、マルタから事実を聞いた後のランサムの沈黙、実は薬瓶を入れ替えといたのに逆に打ったと暴露されて「…えっ…?」ってなってた間なんですよね、あれ。「え?俺が逆にしといたのに更に逆に打ったの???」という困惑を想像すると何かジワジワ笑える。
マルタを刺すシーンも、視聴者はハーランの言葉から、ランサムが取ったナイフは偽物と予想がつくし、面白い感じにしないとと思ったのか、緊迫した空気だけ残してカッシャカッシャ刺し直す仕草が…笑
ランサムが、解説ではゴミクズなんだけど、ちょいアホで愛嬌がありすぎるんだよな…クリス・エヴァンス、悪役向いてなくないか?いや、下手とかじゃなくて。
『コラテラル』の時も書いたけど、やっぱ演技上手くても元の自分と余りにもかけ離れた役はできないと思う。持ってない物は出せないよな。
いやぁ〜まんまとやられました
謎解きのわりに、最初からいろいろわかりすぎてて、おやぁ?ってなってからの、最後のどんでん返しきたーってなりました。正直に優しさを持って生きていたいね。
陽動作戦
脚本・監督のライアン・ジョンソンさんがアガサ・クリスティの名探偵ポワロシリーズに思い入れて撮った探偵ミステリー。豪華俳優陣を集めて如何にもあの時代風のオーソドックスな遺産相続殺人事件をリブートしています。
この手のお約束として誰もが胡散臭く動機をもつ様に描いて気を揉ませます、そうなると観客は皆、俄か探偵、何か見落としや伏線がないかと必死でスクリーンを注視するわけです。
それなのに早々に観客にはネタバラしのような展開、陽動作戦ですかね?、興を削がれた気もします。
お約束だから致し方ないとしても基本、残念な人達ばかりなので気が滅入るし、雰囲気づくりは凝っていますが肝心の謎解きのカタルシスは今一でした。
観終わって思ったのですが、いくら田舎警察でも死因鑑定はイの一番にやる筈でしょうに、主役が探偵とは言え警察の存在感が薄すぎでしょう。
それに、ダニエル・クレイグさんなのに聞き上手なだけ、ヒロインのピンチを救うアクション・シーン位見せるかと思ったら肩すかし、ジョンソン監督はコメディもいけるのですね。もっともデヴィッド・スーシェのポワロでなくコメディアンのピーター・ユスティノフの演じるポワロのファンというからさもありなんというこですか。
「倒叙物」の良さをもう少し・・・
著名小説家の自殺を調査する名探偵の活躍を描く物語。
ダニエル・グレイク主演の、本格ミステリーです。ただし、映画序盤で投薬ミスが描かれる『所謂「倒叙物」』の形式で、犯人役となったアナ・デ・アルマスの苦悩と恐怖を中心に描いていきます。
医療事故とはいえ、親しい人を殺してしまった罪悪感。しかし、不法入国者の母親を守らなければならない責任感。彼女の苦悩が良く描かれていて、物語に没入していきます。
サスペンスとしても、ラストのどんでん返しが素晴らしく、伏線もしっかりと張られていて見事でした。
唯一感じた弱点が、主人公である名探偵が目立たないことでしょうか?倒叙物の有名な作品の「刑事コロンボ」でいえば、コロンボと犯人役の駆け引きがストーリーの重要な魅力になります。この映画では、それがあまり描かれていません。
良い映画だと思いますが、少しだけ物足りなさが感じられた、そんな映画でした。
普通に面白い、が。
演技もカメラワークも
イギリス名探偵映画の風合いがあって
楽しくみることができた。
ダニエルクレイグに関しては
もう少し早めに心を掴んで欲しかった。
序盤に魅力的なシーンが少なく感じた。
全体を通して普通に面白い。
しかし、こういったミステリーモノは
ちゃんとして欲しい部分が絶対的にあって。
気になる2点
結局、爺ちゃんはモルヒネを過剰摂取してなかったわけで。
死んだのは偶然。それも急に死にたがりジジイすぎる。
モルヒネと良薬が同じ瓶に入っているなんてことある?
3mgしか使用する予定のないモルヒネを
瓶にパンパンにして持ち歩くのはいい看護師なのか。。
爺ちゃんの無駄死にが可哀想すぎる。
ただ、またこのコンビでシリーズ化を希望はします。
絶対に続編が見たい。
ダニエルクレイグがめっちゃ喋ってる!!
面白かったです!
ベタな感じとか、オチとか、安心して最後まで観れるというか。
僕の世代だと古畑任三郎てきな、もうちょい上だと刑事コロンボ的な面白さがありつつの〜?、、、
展開がどんどん変わるので退屈しなくて楽しかったです。
最初、もしかしてミステリー好き大富豪の自作自演的なだったらどうしようかとドキドキ。
そんなことより、マルタちゃん可愛いぞでドキドキ。
そりゃ、こんな可愛いくていい子のためだったら、死ぬわ。
このエロじじいが!グッジョブ!!
でも、大学の金くらい残して欲しいよね。
あの子はトラウマになっちゃうんじゃなかろうか?でドキドキ。
一個だけ嫌なとこが、こんなけ善であることが素晴らしいよねって推してくるくせに、しかもその聖母ちゃんが、犯人をひっかけるために、使用人が生きてるって嘘つくとこ。
実は死んでました〜って方にカタルシスもってかれると、なんかあの人の死を喜ばないかんくなるから、
観てる側の感情と物事の善悪が一致しなくなっちゃって気持ち悪いなってなりました。使用人のあの人だって悪い人じゃなかったのに…。
嘘つくと吐いちゃうのは面白いし可愛いやね。
豪華出演陣…
が、まず魅力的作品。シリアスな推理モノかと思いきや、アルマスの嘘付けない体質や、クレイグのオーバーな演技!?でコメディタッチ。犯行の種明かしは序盤からあるので、後はどうバレないように進むのかが鍵かと、見ていたら真犯人がいたのか!!という展開へ。初めからもう一度見直したい。
全94件中、1~20件目を表示