「三谷幸喜Lv.100みたいな映画! ミステリーの新たなマイルストーンがここに誕生💕」ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密 たなかなかなかさんの映画レビュー(感想・評価)
三谷幸喜Lv.100みたいな映画! ミステリーの新たなマイルストーンがここに誕生💕
名探偵ブランが、ベストセラー作家ハーランの死の真相を解明していく正統派ミステリー。
ハーランの個人看護師マルタ・カブレラを演じるのは『ノック・ノック』『ブレードランナー 2049』のアナ・デ・アルマス。
ハーランの孫で一族の鼻つまみ者、ヒュー・ランサム・ドライズデールを演じるのは「MCU」シリーズや『gifted/ギフテッド』のクリス・エヴァンス。
名探偵ブノワ・ブランを演じるのは『007』シリーズや『ドラゴン・タトゥーの女』の、6代目ジェームズ・ボンドでお馴染みのダニエル・クレイグ。
ハーランの孫でネトウヨの青年、ジェイコブ・スロンビーを演じるのは『ヴィンセントが教えてくれたこと』『IT/イット』シリーズのジェイデン・マーテル。
また、マルタの妹が観ているドラマの登場人物、探偵ハードロック役で『(500)日のサマー』『インセプション』のジョセフ・ゴードン=レヴィットがカメオ出演している(声のみの出演)。
第91回 ナショナル・ボード・オブ・レビューにおいて、アンサンブル・キャスト賞を受賞!
いや〜!コレは面・白・いッッ!👏
正直、これまで観たどんなミステリー映画よりも面白かった!
何というか、レベル100の三谷幸喜が作った映画、って感じかな?
アガサ・クリスティを読んで育ったというライアン・ジョンソン監督。
本作はその影響を感じさせる、王道ミステリーど真ん中となっております。
しかし、だからといって古臭い映画、という訳ではない。
物語はスマートに、コメディ要素はたっぷりと、現代的な政治要素もひとつまみ。
非常に骨太だが、その一方でキュートな側面も持つ、正に娯楽100%の現代的な映画となっております😆
「嘘をつくとゲロを吐いちゃう女の子」という、あまりにもリアリティのない漫画的なキャラ付けをされた主人公マルタ。
本格派ミステリーにあるまじきキャラクターでありながら、マルタのこの特性が全く物語の邪魔になっていない。
ゲロ吐き女というとんでもない飛び道具を使うことにより、映画全体のリアリティ・ラインを下げ、「これは楽しいミステリー映画なんですよ〜。しかもリアリティ・ライン低めのミステリーなんで、難しいことは言いっこ無しですよ〜。」ということを暗に観客に伝えている。う〜ん、上手い。
ただ、この「嘘をつけない」という特性をもう少しストーリーに組み込んでも良かったかも、とは思うけど…。
ゲロを吐いちゃうというギャグ技は、使い所を間違えると凄くサムい感じになってしまう。
しかし、それを上手くコントロールしてちゃんと笑える映画に仕上げているところに、ライアン・ジョンソン監督の確かな手腕が感じられる。
これが邦画のダメなコメディ監督だったら、死ぬほどサムい映画になっていたことでしょう…🥶
豪華キャストな役者陣も最高!
主人公マルタを演じるアナ・デ・アルマス。
とにかく可愛い💕今世界で一番可愛い💕
もう1人の主人公である名探偵ブノワ・ブランを演じるダニエル・クレイグ。
渋い!そしてめっちゃ楽しそう🤣ウキウキしながら演じているのが画面のこちら側にも伝わって来た。
どら息子のランサムを演じるクリス・エヴァンス。
こちらもめっちゃ楽しそう!🤣キャップという大役を演じ切って、肩の荷が降りたのでしょう。キャップの面影を一切感じさせないゲス演技が最高ー♪
ハーラン一族を演じた役者陣も最高で、もう本当にゲスの極みな地獄絵面を完璧に表現し切っていた。
ハーラン一族はお爺ちゃんお婆ちゃんを除いては全員クソ野郎なんだけど、どこか憎めない可愛げがある。
これはやはり役者陣のスキルの高さゆえなんだろうな〜。
今日的な要素として、移民に対する差別意識や白人至上主義的な思想に対するカウンターが描かれている。
右の奴も左の奴も、移民がイニシアチブを握るのは気に食わねえ!と思っている。
こういう国民意識があるということを、決して押し付けがましくない形で、しかし強烈なインパクトを持って我々観客に突きつけてくるのがこの映画。
「先祖代々受け継がれてきたこの家を守る義務が俺たちにはある!」と言い放つランサムに爆笑するブラン。
「この家って80年代にパキスタン人の移民が作ったんですけどー🤣」というブランのセリフは、中々に印象的。
「アメリカに長い歴史なんてないし。そもそも白人だって元々は移民だし。しかもこのアメリカって白人がマイノリティを酷使して作り上げた国家じゃーん🤣」というライアン・ジョンソン監督の主張がこのセリフに全部集約されている。
政治的なメッセージは込められているのだけど、そこはあえて薄めに描いている。あくまでも本作は娯楽映画であるという姿勢は崩さない。
移民であるマルタが最終的に遺産を受け取るわけだけど、これだって結局はマルタが物凄く善人で働き者だったから。
見返りを求めない無償の愛、つまりアガペーを顕現させたものこそが最終的には恵みを得ることが出来る。
なんともキリスト教的なクライマックスは、まるで道徳の授業や童話のようなオチではあるが、物語的な落とし所としては最適解だったように思います。
中盤、少々中弛みしていると感じましたが、クライマックスに向かっての盛り上がりは素晴らしかった✨
特に、あのスローモーションからの「…shit」は、演出といい間といい最高でした👍
「あいつは本物の刃と芝居の小道具の区別がつかない」というハーランの発言が、見事な伏線として生きてきたところなんか、見事すぎて感動しちゃいましたよ〜!
久しぶりに純粋に面白い映画を観たような気がする。
このライアン・ジョンソンって、『スター・ウォーズ』ep.8の監督もしているんですよね?
『スター・ウォーズ』は観ていないけど、ライアン・ジョンソンが作ったんだからきっと凄く面白い…んだよね?…凄まじく荒れているけど…。
…まぁ何はともあれこの映画が傑作だということには異論の余地なし!おススメ!
たなかなかなかさん、私はそこまで深く考えずに観てましたが、言われてみればその通りのレビュー、さすがです。
ep8は映画としてはすごく面白いと私は思いましたが、設定を若干変えたのが不評みたいでした。で、ep9はep8を無理に元に戻したみたいになっていて、それもどうなのかな~