劇場公開日 2020年1月31日

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「名作ミステリーへのオマージュ」ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密 しずるさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5名作ミステリーへのオマージュ

2020年2月8日
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ミステリーは、少し奇っ怪でほの暗く不可思議な、横溝系の作品が好きだ。そのせいもあるだろうが、この作品は私にはちょっと物足りなかった。だってOPの、不気味な洋館と犬のシルエット。どうしたって、パスカヴィル家的な暗怖いのを想像するじゃん…。

富豪の死、お屋敷、遺産を廻る一族、探偵など、古典的なミステリー要素と、現代的なテンポ感とギャグの融合。難解な所もなく、小物や伏線の使い方も破綻なく、それなりに面白いし、良くできている。
早々に犯人は解ってしまうし、主人公縛りの視点と、その特異な体質を見れば、大まかな真相は読めてしまうが、それを承知の上で、展開を見守るハラハラ感と、最後の逆転の爽快感を楽しむ作品なんだろう。

が、私の好みから言うと全体的に軽かった。事件の発端、動機、登場人物のキャラクター付け、行動、全てが型通り。欲、葛藤、傲慢、差別意識などの感情も、余り深みや怖さが感じられない。主役かと思われた探偵の役回りやキャラクターも、特筆するほどの癖も面白みもない。
結果、特段感慨も興奮もなく、ふーん、やっぱりね、うんうん、で終わってしまった。
定形ミステリーのパロディやオマージュとして、カジュアルに楽しむにはいいが、個人的には、TVの2時間ドラマ枠で良かったかな。

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しずる