悪なき殺人のレビュー・感想・評価
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最初、ラストの意味がよく分からんかったわ
タイトルやチラシなどの写真からくるイメージとは全く違う展開で犯人探しの話というよりそれぞれの登場人物を掘り下げていく物語で序盤からいわゆる主役という人達が次々に変わっていく。
しかし、この展開がなんとも面白く興味深くてスクリーンに見入ってしまうのだ。余談だがエッチなシーンがサラッと幾度か差し込まれてくるし。
というわけであっという間に2時間経って終映するのだが、ラストが少し分かりにくい。
ここまで、広い世界の偶然の物語なわけで、ラストもう少し分かりやすくしてれば、よかったのに。
【優れた脚本と設定。ワンシーンを複数の人物の視点から描き出し、偶然の積み重ねで必然的に人を殺めてしまうスタイルに魅入られる作品。シニカル極まりないラストにも唸らされた作品である。】
ー 舞台はフランスの寒村。吹雪の夜、”富豪の夫”を持つエヴリーヌ(ヴァレリア・ブルーニ・テデスキ)が行方不明になり、翌朝遺体で発見される。
エヴリーヌが、夫の別荘に行く途中で出会ったマリオン(ナディア・テレスキウィッツ:東京国際映画祭で、最優秀女優賞受賞)と別荘で愛し合った後、彼女はマリオンを”一夜限り”と言って別れるが、マリオンは別れがたく、彼女を追って行く・・。-
◆感想
1.今作が秀逸なのは、舞台が吹雪舞うフランスの寒村が舞台のスケール的には狭い範囲の物語と思わせながら、後半描かれる現場から5000キロメートル離れたコートジボアールでインターネットを使って、世界中で詐欺を仕掛ける若者グループが絡んで来るという、設定の秀逸さである。
更に、物語は時系列ではなく、主たる出演者5人の視点で描き出されている点である。
2.フランスでは、殺害された女性を発見した孤独な男ジョゼフ(ダミアン・ボナール)と、彼を気遣い肉体関係になるアリス(ローラ・カルミー)の姿。
そして、インターネットの嵌るアリスの夫、農場主ミシェル(ドゥニ・メノーシュ:「ジュリアン」で狂気の父を演じた姿は忘れ難い)の姿が描かれる。
ー 二人は夫婦だが、恋愛関係が残っているとは思えない・・。ー
3.一方、コートジボアールでは、アマンディーヌ(マリオンの写真を利用している)を語るアルマンが、ミシェルと、チャットをしながら巧妙に金を巻き上げて行く姿が描かれる。
- こういう話は、嘘だろう・・、と思っていたのだが、結構あるらしい。そして、アルマンは前から気があった”フランス人の富豪の夫”を持つモニークに入れあげていく・・。-
4.アマンディーヌに金を送金し続けるミシェルが”偶然”見かけたマリオン。マリオンと言い争うエヴリーヌを見たミシェルは、マリオンが仮宿にしているトレーラーハウスを出た彼女を追って、凶行に及んでしまう・・。
<「偶然の連鎖」が惹き起こした必然的な殺人。
そして、殺された”富豪の夫”を持つエヴリーヌの後釜にやって来た”フランス人の富豪の夫”を持つモニークと娘が、エヴリーヌが滞在していた別荘にやって来るシーンのシニカルな事。
重ねて書くが、優れた脚本と設定に唸らされた作品である。>
練りに練って練りすぎちゃった…笑
本当によく出来たシナリオで、後半の登場人物たちの繋がり具合には感心したのだけど、最期は流石にちょっとやり過ぎちゃったんじゃ… 苦笑
偶然に偶然が重なり合うことでストーリーが成立していくのだけど、少し都合が良過ぎるかもね 苦笑
そうは言っても、製作陣のドヤ顔が浮かんでくる程の、練りに練った感がこれでもかと伝わってくる意欲作ですね!
このオヤジ、マジヤバくね?
序盤は犯人候補が次々とややこしいお話かと思いきや以外と解りやすい。派手なアクションや緊迫したサスペンスは無いけど見応えは充分あり。淡々と進むのが良い。
なりすまし詐欺のシーン観てるうちに犯人なんかどうでも良い感じになってしまった。こんなあっさり騙されるバカオヤジって実際にもいるんだろうな。
けっこうよかった
点と点が線になっていく感じが面白いのだけど、最終的に黒人の女の子が、被害者の旦那の愛人であの家に来るのはちょっと話ができすぎた。全体的にストーリーがダイナミックで面白い。また、フランスの山奥の酪農での暮らしぶりがリアルに感じられる。
アフリカの特殊詐欺集団が、大金を得て散財している様子がとてもピュアだ。黒魔術で偶然を司るのも面白い。だからこそ、黒人の彼女がフランスに行くのがしらける。
ネカマに熱を上げる、主人公の旦那さんが哀れ。
【必然のような偶然】
こんな必然のような偶然があったら、本当に怖い。
ゲラゲラ笑いながら観ている年配の男性がいたけれども、まあ、こんな状況は、コント・レベルだなと思う反面、人には、多かれ少なかれ、秘密にしてることがあって、お墓まで持っていかなくてはならないようなものは、こんな寒村だと尚更なのかなと考えたりもした。
それにしても、やっぱり、あの男性は、笑い過ぎだと思う…。
ところで、何を書いてもネタバレになりそうなのだけれども、少しだけ……。
なんか、フランスでも寒村は、こんなふうに鬱々としてしまうのだろうか。
監督は、キャストそれぞれに共感できる人はいるんじゃないかと言っていたらしいけれども、皆さんは、どうだったのだろうか。
僕は、アバンチュールは求めないし、死体に寄り添う気持ちもないし、ネットで出会いを求めないし、暴力は嫌いだし、そう云う意味での共感は出来なかった…。
ただ、必然っぽく仕立てられた偶然の数々を背景にしたストーリーや、別の角度から繰り返し同じ場面を見せる手法も面白かったし、フランスの田舎の鬱々とした感じが、物語を引き立てて、内容云々より見入ってしまう作品だった。
円環が美しく閉じました
章立て構成が好みで洒落ていた。フランス🇫🇷映画的。好きな女優さん、テデスキが出ていて嬉しかった。ミシェルの最後の笑みがあんまりにも可愛くてつられて笑ってしまった。あと味悪くなくて良かったな。これが人生だーーー💕
雪国ミステリーの新たな名作誕生!
雪国ミステリー(って書き方すると日本の推理小説みたいだけど)って、重厚なものが多い。しかも広大な土地で起こる事件だから目撃者もいないだろうし。だから「動物だけ(が見ている)」って原題も納得。
ミステリー的な物語と思っていたが、実はそれぞれの人物から観た物語で全貌を語っていく群像劇のような話だった。最近観た「最後の決闘裁判」と手法が似ている。そういう意味ではかなり練られた脚本だ。もちろんリアルではありえないような偶然が重なってさらに重なった感じなので、それを受け入れるかどうかが楽しめるかどうかの大きなポイントかもしれない。
私は映画として受け入れたのでとても面白く鑑賞できた。こんな話が好きなんだよな。チャットのやりとりのすれ違いについては、アンジャッシュのコントを連想してしまったことも事実なんだけど。それも含めて好き。雪国ミステリーに新たな名作誕生だ。
誰も寝てはならぬ、映画館で
映画館で寝てしまう人へのリベンジか?プロローグの羊に釘付け!これが後の展開のカギなのかも?と思うと、画面の隅々まで目配りして、(人物がこんがらないよう)役者の顔を目に焼き付けて、セリフを反芻して…。疲れました。時々寝落ちしてもストーリーが追える映画が私には必要です。耐えきれず睡魔に負けた方、アリスはどこ行った?てな思いでしょうか。
原題 動物だけが知っている
原題 動物だけが知っている
とある場所で殺人事件らしき事が起き、関係する何人かの男女の事件前後が描かれてゆく。
最後にこの事件の真相が明かされるのだが、その真相を知る者は無く、彼らの近くに居た家畜やペットだけがその真実を見ていた・・・
と言うお話。
ん?いや、動物以外にも真実を目撃した者が居るじゃないですか。
そう、私たち客ですよ。
つまりは、この映画を見て、この事件の真相を知っている私達もペットや家畜なのだ!
と言う社会性とファンキーなメッセージを込めた深みの有る一作。
って、やかましいわ!wwwwwwww
世界狭過ぎ
人口10人くらいの村の中で繰り広げられるみたいな、そんな偶然重なりますか?というような話。
あと、オジサン浮かれ過ぎ。
今時、そんなに簡単にやられちゃいますか?
途中から殺人事件なんかどーでもよくなっていくし、都合よくまとめてみたらこんな感じになってしまいましたという、なんだかなぁという話。
悲しいのはみな同じだ
不思議な作品である。登場人物ごとにエピソードがあって、それぞれの登場人物に感情移入する。人間の弱さを描いた作品で、その弱さに感情移入してしまうのだと思う。
山崎ハコは「流れ酔い唄」で ♫誰でも弱いうそつき ♫ 弱いほどに罪深い♫ と歌った。当時二十歳の山崎ハコが人の世の何を見て、この唄を作ったのかは不明だ。多分、本人に聞いてもわからないだろう。
アリスは独善的だが悪意はなく、奉仕の気持ちがある。無口で真面目でおそらく巨根のジョゼフが好きだ。アリスはセックスが好きなのだ。一方のジョゼフは人間が苦手である。会話が不得意なのだ。無口な女性がいたらと思う。アリスの夫のミシェルは冴えない中年の農場主で、多分アリスとはセックスレスだ。だからネットに慰めを求める。
フランス映画の「アデル、ブルーは熱い色」は最初から最後まで強烈なレズビアンの作品だった。アメリカ映画の「キャロル」はケイト・ブランシェットとルーニー・マーラという有名女優二人のレズビアンで話題になった。この2作品を鑑賞していたおかげで、本作品のエヴリーヌとマリオンの雰囲気もあっさりと読めた。性を楽しむだけの筈だったエヴリーヌと、愛をぶつけてくるマリオン。破局は必定だ。
コートジボワール共和国は貧しい国だ。格差も大きい。人々はいい暮らしだけを求めている。平和や寛容などといった概念は人々の脳裏に浮かびさえしない。若者は仕事がなく、悪事ばかりを考えている。アルマンも例外ではない。同世代の女性に産ませた子供を面倒見ることも出来ない。
アリスとジョゼフ、エヴリーヌとマリオン、そしてアルマン。それぞれの視点からの物語をつなげていけば、物悲しい全体像が浮かび上がる。性欲に抗いきれない弱さ。誘惑に負ける弱さ。虚栄心のために金を求めてしまう弱さ。虚栄では愛を買えないことに気づこうとしない弱さ。原題の通り、みんな獣と変わらない。
本作には人の欲望と弱さ。そして誤解がある。行き着く先は悲劇しかない。それぞれの登場人物は他人事ではない。いつ彼らと同じ行動をしないとも限らない。その差が紙一重だということを感じるから、彼らに感情移入してしまう。そして同じ悲劇を味わう。悲しいのはみな同じだ。
生物としての愛
ブラックだし、出てくる人物達も大概な方々なんだが、最後には何故かほっこりしてた。
アリスの「哀しき囚われ人」みたいな振る舞いと、自己中の極みの様な「旦那の鼻血をふきふきしながらのトーク」が気持ち悪くて後半まで尾を引いていたけれども、それすらもスッキリしたから、上手い作品なんだなーと感心しきりでした。
「羅生門」スタイルと言ってみれば、少し前の「最後の決闘裁判」が流石の出来だったので、小粒に映るのは仕方がないのだけれども、サイドキャラの一言一言にまで注意の払われた快作だと思います。ちょろっと出てくるお婆さんの「愛」への一言と呪い士の「愛」への一言が特にぐっときましたね。
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