「意外と楽しめる佳作」ミセス・ノイズィ 東鳩さんの映画レビュー(感想・評価)
意外と楽しめる佳作
失礼ですが有名な役者さんも出演してない低予算の作品ながら、意外と楽しめました。
設定が面白そうなだけじゃなく構成もかなり凝ってて、そういうのは好みでした。
武蔵野館で観たんですが、作品のレベル的には佐々木ナンチャラよりこっちをたくさん上映してあげてほしいなと思いました。
あえて苦言を呈するなら、構成を成立させるために騒音おばさんがご都合で良い人なったり異常者なったりキャラがブレてるのが気になりました。
もっと言うと、この騒音おばさんはもう何十年も布団叩いてるんだから、その事情は周囲に知られているはずです。引っ越して来たときに主人公も騒音おばさんの事情を大家さんとか第三者から聞かされているのが自然だと思いました。
それだと話が始まらないのでご都合で情報を伏せるのは理解しますが、騒音おばさんが布団を叩く事情を最後まで語れなかった、納得できる理由を設けておくべきだと感じました。
で、さらにレベルが高いことを言うと、このトリッキーな構成にしたことで、騒音おばさんの真実を観客が主人公より先に知ります。
観客は騒音おばさんにも事情があって実は良い人
だったととっくに分かってるのに、主人公だけがゴチャゴチャ自分本意なことを言い続けます。
結果、主人公がどんどん魅力的では無くなっていくんですね。観客はどんどん感情移入できなくなります。
トリッキーな構成で観客を驚かせる代わりに、ドラマ性を犠牲にしてるわけです。
両立はできないので仕方ないことですが、ドラマ性を犠牲する構成だと分かってやったのか、それとも気付いてないのか、それは監督さんに聞いてみたかったです。
これに気付けると、もっと良い映画作れる気がします。