「それぞれの立場でのボタンの掛け違いを描いた秀作です。」ミセス・ノイズィ 松王○さんの映画レビュー(感想・評価)
それぞれの立場でのボタンの掛け違いを描いた秀作です。
ミセス・ノイズィ…この言葉にベランダで布団を叩く姿が映れば、もう殆どの人がアレを思い出す。
良いのか悪いのかは置いといて、インパクト抜群のあの事件。
アレをモチーフに描いた作品と言う事で野次馬根性気分で観賞しました。
で、感想はと言うと、思ってたのと全然違った。
でも、凄い良く出来た作品です。
新しく引っ越して来た部屋の隣の騒音オバサンとのバトルと言えばそうなんですが、途中から騒音オバサンの事情と立場からの視点で描かれるのはベタであっても面白い♪
この事で真紀の見方が一気に変わります。
また、真紀の雑な部分も前半に散りばめられているので、無理が無い。
ここから、世間を巻き込んでのドタバタになるんですが、シリアスでもあるし、コメディ要素もある。
それでいて傍観者のつもりが実は加害者と言う、今の社会の歪みをシニカルに警鐘しつつも描いています。
真紀役の篠原ゆき子さんも良いんですが、インパクトで悪そうな感じを醸し出して、実は筋を通す良い人、お隣の騒音オバサン、美和子役の大高洋子さんも良い感じ。
ですが、一番のMVPは菜子役の新津ちせちゃんかなと。
天真爛漫で元気で笑顔が良い♪ お隣さんとも仲良しで実は両者の架け橋的存在。
一番の活躍ですw
普通なら騒音を出して、周りに迷惑をかけている側が悪い人になるんですが、それぞれの立場での事情があると言うのは宣告承知でもそこを理解するのってなかなか難しい。
かと言って、表面上被害を被っている側が実は加害者と言う事はあってもそこが明らかになる事ってリアルには難しい。
でも、この辺りの構成が見事ななんですよね。
また、騒音オバサンの旦那さんが自殺未遂をする事で事態は急変して、一気に真紀が悪役。
でも、美和子の菜子を思う気持ちから、一気に雪解けとはいかないが真紀の誤解がスッとほどけていくのも気持ちいい。
そう考えると周囲の無責任な者達の悪意無き悪意が罪なんですが、一番の悪いヤツは真紀の弟の直哉ですよねw
ラストもこうなる事も予想しつつも、理想の終わり方過ぎてこうなるとは思わなかった感じですが良い意味でベタだし、良い意味で気持ちの良い着地点。
野次馬根性で揉め事に興味があっても、他人を貶めたり、傷つけたりするのはやっぱり気持ちが良いものではないだけに良い終わり方です。
難点があるとすると、騒音オバサンの美和子の見方が変わってからの美和子が良い人過ぎるぐらい。
前半の乱暴な口の聞き方が嘘になるくらいにちょっとやり過ぎかな?と思わなくはないです。
子供を放ったらかした真紀が悪いと言えば真紀が悪いし、最初の出会いから乱暴な口の聞き方をした美和子が悪いと言えば美和子が悪い。
人の見方はちょっとした切っ掛けで良くも悪くも見えるだけに他人事と思わずにと言うか、いつ自分に身の回りに起こって、いつ自分に降り掛かるかもしれない。
まぁ、勝手に動画をアップロードして火種を作った直哉はもっと悪いんですが、こやつにお咎め無しと言うのはなかなか解せん所ではありますがw、この辺りも今の動画問題の難しい所で、出来ればそこにも切り込んで欲しかったかなぁと思いますが、ちょっと論点がズレる感じもするので、そこに踏み込まなかったのは結果的にマルなんですよね。
それぞれの立場でのボタンの掛け違いで、売り言葉に買い言葉になっているのが秀逸です。
この作品、個人的には結構どころでない位の当たり作でかなり「来る」作品かと思いますが都内では3館しか上映してないし、新宿武蔵野館では今のところ1日1回のみの上映(しかも午前中だけ)となかなか厳しい感じですが、ご興味がありましたら是非是非。めちゃくちゃお勧めな作品です♪
中ちゃんさん
コメント有難うございます♪
こちらこそ共感頂きまして至極光栄です。
上映館も割りと少なくてそんなに注目されていない作品ですが、観た人の満足度は凄く高いんですよね。
個人的にも最近観た「佐々木、イン、マイマイン」と同じぐらいに当たり作でした♪
自分もまだ観てない人にお勧めしまくってますw
また、お暇がありましたら、覗きに来て下さいね♪