「1作目と4作目の主題の重みが消えてしまった」ランボー ラスト・ブラッド Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)
1作目と4作目の主題の重みが消えてしまった
総合:65点 ( ストーリー:55点|キャスト:70点|演出:65点|ビジュアル:75点|音楽:65点 )
第一作『First Blood』から37年、五作目の最終作は『Last Blood』になった。ベトナム帰還兵の苦悩を描いた傑作の第一作から、その後の連作ではただの派手な娯楽活劇へと迷走したが、第四作目は第一作目のような良さが戻ってきた。今作もその流れで良作となっているのか、期待が出来る。
ところがこの最終作、どうにも良くない。物語はありきたりで陳腐で、まるで80年代の作品の脚本のよう。大事な人が悪者の被害にあったので、ただやっつけるという話になっている。これだとわざわざランボーが活躍しなくても誰でも良かったのではないか。第一作と第四作の持っていた重みがほぼ綺麗に消え失せた。それでもガブリエラを安易に助けなかったことで、彼の喪失感と寂寥感は残った。
代わりに派手な戦闘が最後に待っていて、ここで一応ベトナム帰りの経験が活用されるしし、見どころになっている。最後は地下洞窟の中でランボーも死ぬのかなと想像したが生き残ってしまって、その後が警察にどう言い訳するのか・メキシコの組織との抗争の続きはどうなるのか気になった。
それにしてもアメリカにあるランボーの家まで悪者の親分がわざわざ国境を越えて襲撃にやってくるかな。普通に考えればメキシコの犯罪組織が地元で自由に犯罪を出来るのも地元の警察を買収しているからで、アメリカであれだけ派手な戦いをしてアメリカの司法に逮捕されればアメリカで裁かれるだろうから、部下を派遣するだけで済ませるのではないの。今回はたまたま親分の弟が殺されたから親分自ら復習にわざわざやってきたけど、そんなことは準備している段階ではわからなかったことだし。
ランボーも1人でこれだけの準備するのは大変そう。多数の敵がいい銃を装備しているのに、ランボーは連装散弾銃と弓矢で戦うのは苦しそうで、せめてベトナム時代のM16自動小銃くらいは準備しておけばよいのにと思う。その割にはどうやって軍からちょろまかして手に入れたのか、指向性対人地雷を設置しているのは驚く。
そして今まではお約束だった、ランボーがやたらと露出が多くて鍛えられた体を見せつけていたが、今作ではずっと服を着ていて裸体どころか上半身すら見せなかった。やはりスタローンも70歳を超えて衰えたのだろう。それでも乗馬などで見せ場は作った。