劇場公開日 2020年6月26日

「スタローンのスタローンによるチャールズ・ブロンソン映画」ランボー ラスト・ブラッド 村山章さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0スタローンのスタローンによるチャールズ・ブロンソン映画

2020年7月31日
PCから投稿

『ランボー』シリーズとは何か?ということを人がどこまで真剣に考えるものかはわからないが、少なくともジョン・ランボーというキャラクターに一貫していたのは、国から見捨てられて暴力の世界に起き捨てられた絶望と、それでも国(大義と言い換えてもいい)を愛することをやめられない希望とのせめぎ合いだと思っていた。

なので本作がランボーの最終作(スタローンの最後宣言はあまり信憑性がないけども)と言われても、本当にこれがランボー映画なのだろうかという疑念がずっと頭の中に貼り付いた。実際、スタトーンはこのプロットを前作『最後の戦場』完成直後に閃いたらしく、同作の宣伝キャンペーンで「続きを思いついた!」と話し出し、『最後の戦場』を最終作として売り出すつもりだった宣伝マンを戸惑わせていた。

ただ、その際は国境の人身売買問題をより主軸に置いていて、ランボーの義憤に直結していたように思う。ところが完成した映画はよりストレートな復讐劇になり、ランボーというよりブロンソンの映画のようだ。ランボーという看板は一旦忘れて、ゴア描写満載のB級バイオレンスとして楽しむのが正解のように思う。

村山章