劇場公開日 2020年7月17日

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「マ・ドンソクの立ち振る舞いと陰気にならない雰囲気で普通に楽しめる」悪人伝 ミラーズさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0マ・ドンソクの立ち振る舞いと陰気にならない雰囲気で普通に楽しめる

2020年8月2日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

ヤクザのボスとはみ出し刑事が協力して連続殺人鬼を追う定番のアクション物だか、色々な要素を含んでおり見せ場も多くて楽しめるが、若干とっ散らかった印象。

ただ、全編ある互いに立場や矜持もあり単純な友情方向に陥らないところは良い。

マ・ドンソク演じるヤクザは、違法賭博機器を扱って利益を上げ、大きな組織を持つボスで、自分に歯向かう者には、容赦ない暴力も辞さない男だか、堅気には優しい側面もあり、観客には好感を持てる様に描かれている。
そして彼の振るう数々怪物的暴力場面の凄味が、この映画の見せ場でもある。
ほとんど武器を使わずに拳と腕っ節で相手を倒すところもいい。

刑事役のキム・ムヨルも、マ・ドンソクと比べると体格で存在感的に不利なところを、ちょっとした愛嬌と素早い体技もあり好演。役柄的にも結構なはみ出し者だが、有能で警官としての矜持もある点が印象的。

中年男性専門の珍しい殺人鬼のキム・ソンギュのサイコパス振りも悪くない。

繁華街の中で起こるカーチェイスは、狭い路地を猛スピードで走るなどの工夫もあり、短いながらも迫力場面になっている。

ヤクザの組員と警官達が協力しながら犯人を捜すヤクザの組員と警官達が協力しながら犯人を捜す場面などは、フリッツ・ラングの名作スリラー映画「M」を連想したり、お互いを認め始めるところや居酒屋での交流もユーモアがあり、それぞれの人物の振る舞いも巧みで印象に残る。

ともかく、マ・ドンソクの立ち振る舞いと質の高い演出とアクションが、変に陰気ならない雰囲気も含め普通に楽しめる良作

本作のハリウッドでのリメイクも期待して待機します。

ミラーズ